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第103 現代の技術ですら解明されていない事を人力で解明しようとする脳筋

冬馬がゲートから出ると顔を真っ赤にするティアと不服そうに眉を潜めるメアとアシュの姿があった。


「どういう状況だ」

「ピエロ。僕はいらない子?」

「なんの話だ」

「ピエロが置いてけぼりにするから。アシュが不安がってるのよ」

「危険な場所なんだ。連れて行けるか」

「そんな事言ってアシュが離れたらどうするの?」

「盗る」


その一言で冬馬がなにをしようとするのか分かってしまったメア。

冬馬の相変わらずさと自分の染まり具合にため息を着いた。

その瞬間、冬馬の体に鎖が巻きついた。


「どういうつもりだ」

「4人も駒も持ってるのにそれを放置とか主人としての自覚が足りないんじゃないの?」

「なら1日丸々管理されたいのか。トイレも風呂も監視付き、自由に歩くことは出来ず鎖で縛られる。そういう生活がお望みか」

「そうじゃないでしょ……ピエロなら分かるんじゃなくて?その切れる頭を使えば」

「知らん。考えたくもない」

「なら大人しくしなさい」


メアはニコニコとした笑顔で冬馬の体を弄った。


「うーん。おかしい箇所はないわよね……」

「なにを探している」

「この大きな胸よ!なんで大きいのよ!」

「知らん」

「徹底的に調べるから」

「お好きにどうぞ」


冬馬は鎖に繋がれたままメアとアシュに体を触られた。

腰回りからメアは上に上がり、アシュは下に下がった。


「なんでこんな……」「ピエロ。足細い」「胸は大きいくせに腕は細い」「足長い」

「まだかかるか?ここカフェだろ」

「マスターには許可は取ってあるわ


冬馬がマスターの方を見るとそこには朗らかな笑顔があるだけだった。

そもそも、身体検査にすら引っかからない冬馬の変装を人力で破ろうとしていること自体不可能に近いのだ。

金属探知機でも指紋認証ですら冬馬は突破する。

叶恵についた盗聴器で罠の作戦を盗み聞けば対策は取れる。


「もういいだろ」

「ええ。叶恵、ちょっと」

「え、あ、はい……」


叶恵を柱の影に連れて行くとメアは叶恵に詰め寄った。


「本当に引っ張るだけで変装は取れるのよね?」

「ええ、本当の皮でないのなら隙間ができるはずなので、そこを引っ張れば破ることが出来るはずです」

「そんな隙間なかった。音響魔法で調べたから絶対に」

「ではピエロは女性ということではないでしょうか」

「でも強化なしでドワーフに敵うとは思えないっすけど」


それでも変装の形跡がないのも確かでまさか、自分達の会話が漏れているとは思わないだろう。


『どう?調子は』

「今のところバレてない。バレるわけがない。日本の警察を欺く変装がバレるはずもない」

『慢心してるとバレるよ』

「ああ、気を付ける」


未だに疑問の目線を投げかける叶恵達だが突破口が見つからないことには話が進まないのだ。


「ピエロ。ホースという人に変装してみてください」

「なぜ」

「ピエロの謎を解きたいのです」

「必要ない」

「いえ、日本のみならず世界中の警察機関はピエロの正体を知ることに必死なんです!」

「知っているとも。未だに有力な情報がどこの諜報機関にもないこともな」

「だから知りたいんです」


知ってどうするというのか。

この世界から帰る方法は見つかっておらず、冬馬と八重が頭を悩ませても現実的な回答は出てこなかったのだ。

叶恵の魔力や冬馬の結界魔法を使えば帰れなくもないとの見解だが、叶恵の魔力がなくなった時点で入り口が閉まり、二度と出られないために没となったのだ。

この世界の力に頼らずに絶対に帰れるという保証がなければ動けない。

そんな不確定なことのために知りたいというのは些か頭の出来を疑う。


「まあ、変装を見せたところで損はないから構わんが」


冬馬が外套を脱ぎ去ると現れたのは小柄な少年。

ティアが知る冬馬の姿だった。


「それが私の知るホースの姿だ」

「なぜこの姿になったんですか?」

「ではティアに聞く。道化があの黒い外套を羽織ってきたらどう思う」

「不審者すぎて警戒する」

「そういうことだ。何事にも事の運びやすさというのはある。叶恵達は最初からこの姿で警戒はしなかったがティアのように危機管理がしっかりしている奴にはそれなりの姿というものがある」

「それってアタシ達に危機管理がないってことかしら?」

「実際ないだろ。初見の道化に助けを求める奴に危機管理があるとは思えないんだけどな」

「あれは……どうしようもなくて……そうじゃなくて!なんでそんな少年になったのって聞いてるの!怪しさ軽減というのなら普通に外套を脱ぐだけでいいはずでしょ?」


冬馬は回答に困った。

メアの指摘は真っ当で怪しさ回避ならば外套とピエロの面を脱ぐだけで十分なのだ。

わざわざ少年に変装する必要はないのだ。


「気分だ。その時の気分だ」

「嘘。ピエロは気分で効率を無視したりしない」

「効率にさして影響はないとかんがえたまでのこと」

「でも「子供には紹介できない」って言われたらどうするつもりだったんすか?その姿じゃ……見た目15歳くらいで子供と言われても文句は言えない体格ですけど……」

「その時点で効率に影響が出てるわけだし、気分てことはないわよね」


パルの一言で逃げ道を塞がれた冬馬。

どう切り返しそのあとどう逃げ切ろうか考える。



「本当に気分だ。たまにはいろんな年齢、性別、種族になっておかないといざという時に困るからな」


効率を無視していたわけではない。気分で変装をしたわけではない。

全ては「おねショタ」のために変装した姿なのだから。


「もういいだろ。正体を暴こうなどと馬鹿なことは止めることだ。道化が信頼するに値すると評価した時点で素顔を明かす。それがないということは頑張りが足りないということだ」

「じゃあ、もっと頑張る」

「頑張りすぎて道化に迷惑をかけることもマイナスになるから頑張り過ぎにも注意だ。あと、わざとらしいのも嫌いだ」

「面倒な怪盗ね」

「怪盗が単純だったら既に牢の中だ」


なんとか切り抜けた冬馬だがそれを怪しむのが2人。


「ホースは本当に男なのではないか?」

「ティアさんもそう思いますか?」

「ああ」


実際に男冬馬として触れ合ったティアと日本からの宿敵、叶恵だった。

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