裏事情を知った
俺達は所長さんの案内で廊下を歩いていた。
「ふわぁ~、神殿みたいですぅ……。この世界はこんな建物が建っているんですか?」
「安心しろ、俺だって初めてだ。」
こんな広い施設なんて映画とか空想の物だと思っていたが、実在するとは思っていなかった。
「此処は必要上広くないとダメなんですよ。」
「必要上?」
「此処は異世界から来た生物を保護する目的もあるんです。当然だけど空を飛んだり、炎を出したりする生物もいるので。」
なるほど、なんか納得した。
廊下を歩いて俺達は食堂らしき部屋に入った。
「食事もしてないでしょうから、こちらでどうぞ。無料ですから。」
食堂はバイキングみたいになっており食べ放題になっているらしい。
「メニアはどうする? こっちの食べ物とかわからないだろ?」
「はい……、でもどれも美味しそうに見えます。」
目がキラキラしている、やっぱりお腹空いていたんだな。
「じゃあ、俺が適当に選ぶよ。」
俺はメニアとライズの分を取り、席に着いた。
俺はご飯にから揚げ、サラダとか数品、メニアはカレーライス、サラダ、ライズは肉類多め。
「食べながら聞いてもらいたいんだけどいいかしら?」
「あ、はい。」
「まずはこの施設について説明させてもらうわ。」
所長さんの話だと、この施設は異世界に関する情報を管理しているらしい。
情報をどのように調査するのか、と言えば長年の観察で一定期間で『時空のゆがみ』が発生しているらしい。
それはいつどこで発生するかは長年の調査で大よその場所は特定していて定期的にパトロールを行い、異世界から来た生物や人物を保護している。
この施設は生物の保護、それから異世界人がこの世界で生活出来る様にサポートしているらしい。
更にたまにだが異世界から帰還する人たちもおり社会復帰もサポートしているらしい。
「て言う事はライズやメニアは保護対象と言う事になるのか。」
「えぇ、その為にはこうして直接会う必要があるんです。それに貴方の様に民間の方が保護するというのは異例ですから。」
どうやら、俺がライズを拾った事は珍しい事だったみたいだ。
「ただ、民間でも異世界と交流している会社もあるらしいんだよ。そういう奴らは異世界の商品をこっちで販売して大儲けしているらしい。」
「それって、犯罪になるのか?」
「『密輸』や『密売』になります。そこも警察や国税庁と相談して対応しています。」
「実は……、お前の元カノと結婚した男、異世界との闇取引で結構大儲けしているらしい。」
ノブの発言で俺は固まった。