ノブの上司に会いました
「なんか、こういう黒塗りの車に乗せられると変な気分になるな。」
「言うなよ、表には出来ない仕事なんだから。」
車に乗ってどこかに移動はしているんだがガラスにはスモークが張っており外を見る事が出来ない。
「あらためてだけど、俺が所属しているのはこういう所なんだ。」
ノブが名刺を渡した。
名刺には『国立異世界研究センター 生物管理部 三宅信之』と書かれてあった。
「聞いた事無いな。」
「当たり前だろ? 表沙汰にはできない仕事なんだから。」
「よくそんなとこ就職できたなぁ。」
「俺だって驚いたよ。本当は外務省に入ろうとしたんだぞ。それが入省と同時にこっちに移動されたんだから。」
「外務省の機関なのか……、まぁある種外交には変わりないだろうけど。」
俺とノブは話をしてるがメニアはちょっと固まっている。
「メニア、大丈夫か? 気分悪くないか?」
「だ、大丈夫です! この『ジドウシャ』というのに初めて乗りましたけど、凄いですね! 何もしないのに移動できるなんて!」
「ケェケェ」
「メニアのいた世界には自動車は無いのか?」
「はい、移動は魔方陣を使うか、ドラゴンに乗ったりとかですね。」
「あ、ドラゴンに乗れるのか?」
「はい、免許は必要ですけど。」
免許、必要なんだ。
そう話している間に車が止まった。
「着いたみたいだ。」
ドアが自動的に開いて降りたら地下の駐車場みたいな所だった。
「場所が秘密なんだ。勘弁してくれ。」
そりゃそうだろうな、て思う。
「あっ! 所長!」
所長?
「お疲れ様、貴女が田所信也さんですね、はじめまして、異世界研究センターの館長を務める『三沢綾子』と言います。今回は無理を行って来てもらいありがとうございます。」
眼鏡をかけてクールな感じの女性、それが俺の第一印象だった。