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10.最後の戦いへ






 ――日本の高校を海外マフィアが占拠。

 このニュースは、世間を大きく賑わせることになった。テレビでは連日のようにこれを取り上げていたし、フランスの『イ・リーガル』とはどんな組織で、目的はなにか。有識者が見当違いな話をしているのは、ある種でどんなバラエティーよりも面白かった。


 だが、それと同時に取り上げられるのは――俺のこと。

 事件当日から行方不明となった男子高校生。マスコミは俺の家を囲んで、家族から事情を聞き出そうとしていた。泣き崩れる海晴に、両親。

 その姿に胸は痛んだが、それでももう戻ることは出来なかった。


 迷惑をかけている。

 それでも、これが俺の選んだ道なのだから……。


「俺の家族には、被害が及ばないようにしてくれたか?」

「あぁ、当然な。これはオレの義務の一つだ」

「そっか、ありがとう――アレン」


 俺はとある一室の窓際に立つアレンに訊ねた。

 すると彼は、すぐにそう頷いてくれる。感謝しかなかった。

 せめて海晴たちは『イ・リーガル』と無関係であってほしい、と。それが日本の学生であった俺の、最後の願いだった。


 もっとも、海晴は俺がどうなったかに感付いてそうだが。

 寿命を見る限りは、無理をすることはなさそうだ。


「それで、兄弟――お前の寿命について、だが」

「あぁ、あと1週間だよ。それまでに、一連の事件に決着をつけないとな」


 なんてことない、と。

 そう思って答えたのだが、アレンは少し沈んだ表情になった。そして、



「……オレは、お前と出会えてよかったと思っている」



 静かに、そう口にする。

 その言葉は本心からのものだろう。

 今にも泣き出しそうなアレンの声に、俺は――。


「ありがとうな、兄弟」



 ただただ、感謝を込めて。



「さて。それじゃ、もうそろそろ作戦を決行しますか!」


 俺は勢いよくソファーから立ち上がった。

 ここからは、本当に一か八かの選択が続く修羅の道。

 そのことを理解しているからだろう。アレンは最後にこう訊いてきた。



「ミレイお嬢様には、なにも伝えないのか?」――と。



 それは、微かに俺の胸を揺さぶる。

 しかし小さく微笑んで、こう伝えるのだった。



「大丈夫。この気持ちは『最期』まで――」



 ――胸の中に、仕舞っておくから。



「さぁ、行こう!」



 俺はあえて、それを呑み込んで歩き出した。



 


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