Ⅰ 灰色世界
初めまして、蒼ノ遥かと申します。
今回は短め…?になっています。
よろしくお願いいたします。
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「ああああああああああああッッ!!」
そこは一面、 灰色に染まっていた。
辺りにはドロリとした朱が流れてゆく。
それはあまりにも無情に、 終わりなく。
そして響く、 嘆きの絶叫が。
憎しみにまみれながらも哀しみに満ちた泣き声。
どうして、と少女は呟く。
目の前には確かな“現実”が転がっている。
糸切れた人形のように、
少し前まではいつものように笑っていた。
まるで雪を溶かす日だまりの如く、
笑っていた。
頭がきしむような痛みが走る。
認められない、 認めたくない、こんなものは夢だ、 絶対そうだ、 そうだろう?
こんなものは笑い飛ばしたいほどの冗談に決まっている。
理由なんてどうでもいい。 “違う”と思い込めるのなら何でもいいのだ。
青年は最期にこう言った。
「守れなくて……ごめん」、 と。
まるでお別れだと言わんばかりに、-----。
…………分かっている。
もう彼は笑ってくれないことも、 声を掛けてくれないことも、 二人で歩めなくなることも。
知っていたに決まっている。
けれど、そうだとしても……
「好きだって伝えられていない…!」
涙が絶え間なくこぼれてゆく。 その度に地面の雪が溶けていった。
掠れた声は泣き叫ぶ声とは反対に弱々しい。
顔だって、 綺麗とは思えないほどにグシャグシャだ。
後悔が、 燃えさかる炎だと錯覚するほどに熱く、 痛い。
何に憎悪し、 激情しているのか分からなくなりそうだった。
頭は全く機能していない。
ただ、 大切な人の体から赤い液体が流れていて、一切どこも動いていない。
“死んでしまったのだと”
それだけは、覆しようもないものだということだけが確かだった。
少女は空を仰ぎ見た。
いつもは灰色の風景が黒に染まる。
あれは“夜ではないと”彼女は気づいていた。
夜闇を光り導く星も、 月さえも無い。
ただただ闇に塗りつぶされてゆく。
そんな事は今の彼女にはどうでもよかった。
もはや心が欠けたか、 抜け落ちたように、
瞳に輝きを失っている。
終末の如く変わってゆく世界を見て、 彼女はただ、
過去にしがみつくように、 もう逢えることのない 記憶を想い出していた……
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いかがだったでしょうか?
序盤は悲しい話になってしまいましたね。
これからは少女と青年の関わりや、 今までの日常等を書いてゆくつもりです。
あまりプロットは立てたりしないのでどう転ぶのかは未知数ですが、気に入ってもらえたのなら何よりです。