表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星間のハンディマン  作者: 空戸之間
3rd Verse Betrayed
70/304

Betrayed 2

 自由業である便利屋には定期の依頼は稀であり、この稼業を続けていくにおいて重要なのは、飛び込んできた依頼を確実にこなし、信頼を獲得、維持し続けることだ。積み上げられた信用は、残念ながらピラミッド型ではなく、縦に伸びる柱と同様に高くなり、悲しいかな崩れるときは実に容易い。


 急ぎ進めていたラスタチカの整備も一段落し、機体を眺めながら葉巻を燻らしていると、まるで手が空くのを待っていたかのようにダンのケータイが鳴った。

 仲介は馴染み深い情報屋、ルイーズ。報酬は頷くに相応しく支払は前金と後金で半々、しかもキャッシュだ。詳細を聞いても悪い話じゃあない。実りを期待出来る依頼であり、かつラスタチカの傷んだ部品を調達する必要がある現状では、渡りに船。この宇宙に数多ある便利屋の中から我々に依頼した事を誇れるくらいの手並みでこなしてみせよう。


 彼の持つ職人気質は、機械整備に限らず職という概念全てに当てはまる。一度引き受けたならば完璧を求め妥協はしない。真面目な中で怠惰的なヴィンセントとは対照的だが、だからこそ上手く回っているのであろう。

 例えエリサが戻らなくとも船は出す。これは便利屋としての決定事項だった。


 とはいえ、孤児(みなしご)獣人少女がいなくなる事を望んでいるわけでもなく、願わくばヴィンセント達がエリサを見つけてきてくれればと思うばかりだ。子供がいても不思議ではない歳の所為か、あの年頃の子供にはどうしたって弱い。だから船で預かる事も許した。


 だが、ゼロドームの内情を熟知している身としては望み薄なのも承知していた。


「…………」


 燻らせていた葉巻を揉み消してから、のそりと腰を上げると今度は艦内備え付けの電話が鳴る。その呼び出し音(コール音)は不吉な予感をダンに与えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ