覚醒
再び狼男の毛並みが真っ赤に燃え上がりゆっくりと真に近づいてゆく…
まだ、真は目の前に起きた現実を受け入れられないまま放心状態である。
「じゃあな…人間」
狼男の蹴りが真の顔に入る瞬間狼男の右足が真の顔を捉えきる事なく右足が真の顔を通り過ぎた。
いや、通り過ぎただと表現が違う…どちらかというと狼男の右足が真に当たる時に消えてなくなったのだ。
(な!!?一体なんだ!?どうゆう事だ?俺の右足がなくなった。切断された?いや、痛みはないし攻撃された感覚もなくただスネから下がなくなっている…。落ち着け、理由は分からんが接近戦が駄目なら遠距離で葬るまでだ)
狼男は、真から距離をとり片足を失っているで本当の狼男のように四つん這いになり口を大きく開けた。
「今度こそくたばれ!!!人間!!!」
今度は狼男の身体をが黒色に変化し口から黒い1本のレーザーが放たれその周りに赤い螺旋の光が黒いレーザーに巻き付きながら真に向かい放たれた。
※おい、早く目醒ませ。死んじまうぞ?
真の頭の中にそう声がこだまする。
(誰?誰なんだよ?)
※俺か?俺は、俺だよ。
(俺って誰だよ!お前の事何か知らねぇよ!)
※知りたいか?俺が誰か?お前が誰か?あの狼男が何者なのか?
(!!?違う!!!そうだあの狼男…いやあの俺の友達を殺したクソ野郎は何なんだよ?!!それを教えてくれ!それと…あいつの倒し方を知ってたら教えてくれ!!)
※ハッハッハー!!!その眼だ!いい眼をしてやがる少し俺に任せな!!あいつをお前の望どおりにしてやるよ!
頭の中で見知らぬ男と会話が終わり意識が現実に戻ると目の前まで、狼男のビームが迫っていた。
真はずっとうつ向いたままゆっくり右手をレーザー目掛けて、伸ばした。
「ぬるいな」
真の声が二重になってこだました。
狼男から放たれたレーザーを右手1本で、受け止めている。
そして、まるでブラックホールの様に右手の中に狼男のレーザーが吸い込まれていていった。
(な、な、なんだ…俺の攻撃が吸い込まれた??さっきの俺の右足を奪ったのと同じ能力か?しかし、あいつの魔は低級クラスそのもの…)
ギュルギュル、ヒュウィィン、ギュルギュル
と大きな音と黒い突風の様な物が真の身体の周りに発生している。
(こ、この魔はなんだ!!??初めて体験する魔だ…そして、遥かに俺より遥かに上の魔だ、こんな魔はアナザー世界でもそうはいない…ヤバイ逃げなきゃ殺られるが俺も戦士の端くれ最大の能力を使って刺し違えてでも倒す)
「ゆくぞ、人間よ」
「ん?あぁ、お前ウルフか?ただの犬っころが俺様に牙向ける気か?あぁん?」
そう真が狼男に言い放つと狼男の背後に回り込み素手で軽く「コツン」と小突くと狼男は、白目を向いたまま勢いよく地面に叩きつけられ小さなクレーターの様な窪みが狼男の周りに出来上がった。
「わりかし綺麗なお座りだ。よく出来ました」