異形の者との遭遇
ー勇哉邸ー
良くも悪くもいい誕生日を迎える事が出来た真。
3人で、リビングでいつもの他愛もない話をテーブルを囲みコンビニで買った炭酸飲料とスナック菓子をつまみながら話をしていた。
「そういえば、真18になったんだから何か抱負と言うか夢はないのか?」と勇哉が切り出す。
「夢ねぇ…特にないかな?俺ってお前たちと違って何の取り柄もないし尊敬する人やなりたい職業もないし先の事は、分かんないから今が少しでも楽しければそれでいいかな?」
「そうか、真らしい答えだな。まぁ、人生は長いが俺達の将来の選択を迫られる時は、直ぐにそこまで来てる事だけは頭に入れておくんだな」
「分かってるよ、そんな事ぐらい。そうゆう勇哉は、夢はあるのかよ?」
「俺か?俺は…」
「親の跡を継ぐだろ?」
「違う!断じて違う!俺は、親の敷いたレールの上をそのまま走る気は毛頭ない!」
いつもクールな勇哉が突然血相を変え大きな声で、反論してきた。
「ごめん」
「いや、俺こそ急に感情的なってつい大声を出してしまった…すまん」
「まぁまぁ、2人共!今日は、楽しい真の誕生日なんだからそんな難しい話は今日は無しで行こうよ!俺も今3人集まれてる事が超嬉しいし楽しいしさ!」
「ふっ、英傑の割には良い事言うじゃないかそうだな今日は…いや今日も俺達は仲良くやっていこうか」
「なんだよ〜勇哉、英傑の割にはって結構俺でも凹むぞ…」
「本当の事を言っただけだ」
とテーブルの上にまだ残っているコロッケパンケーキを英傑に向かって投げる、勇哉。
それを上手く大きな口を開けてキャッチするまるで犬の様な英傑の姿を見て笑う真と勇哉の2人。
(やっぱり、俺勇哉と英傑と親友でよかった)
その刹那扉の方から
「ドォウン!!!」と何かが壊れる音が家全体に響き渡った。
3人は、何が起こったのか調べるために一斉に玄関へと向かう。
「さっきの音は、何なんだよ勇哉?」
「分からん!しかし、何かただ事ではない気がする…」
「2人とも何かあったら俺の後ろに隠れろ、俺も何か凄く今までに出会った事のない嫌な予感がする…」
英傑は、決して自分の為に暴力は振るわない過去に一度だけ自分の為にその強大な暴力を振るった事はあるがそれが原因で学校からも親からも一時は、つまはじきにされていたが真と勇哉により救い出されて以来英傑は、他人の為にしか暴力を振るわなくなり、それ以降も英傑は、相手がどんなに悪人だろうとその悪人すらも気にかけ手加減するほど優しくなった、英傑であるが今回の英傑の顔の表情から2人は過去の英傑の面影を感じとり英傑の言っている予感が現実である事が感じ取れた。
「な、なんだよこれ…」
「扉が壊れ…いや、吹き飛んで粉々になっている?」
焦る真と勇哉。
その後ろから英傑が叫ぶ。
「そこに誰か隠れているな?出てこい!」
2人を押しのけて前に出る英傑。
「へぇー」パチパチパチ
拍手の音と少し高めの男の声がなくなった扉の外の柱のうしろから聞こえてきた。
「微弱な魔しかない割には、俺の魔の気配に気づけたのか?」
と目元まで隠れる、顔が確認出来ないぐらいボロいローブの様な物を纏っている存在がそこに姿を現した。
その瞬間雨雲すらなく稲光もないのに突如雷がその存在の後ろに落ち一瞬ではあるがその得体の知れない存在の姿、形、顔を確認出来た。