日常
この物語は、1人の普通の少し暗めの高校生を主人公に視点を向けたファンタジー物語であります。
その部屋は、漫画本がたくさんあり特撮物などのフィギュアが飾られていたりと、普通の男の子の部屋である。
黒いシーツのシングルベッドに黒と赤のチェック柄の枕で寝ているその部屋の主が今、目を覚まそうとしていた。
(ん。今何時だ…)
枕元の横に置いた充電器に挿したままの携帯の時刻を見る。
(んだよ、あと10分ちょいあるじゃん)
といい再び深い眠りに入ろうとするが朝の時間は、不思議な事に早く過ぎるもので直ぐに携帯アラームがなってしまう。
チャララン、チャララン、チャララン
と携帯のアラームが4畳半の部屋に大音量で響き渡る。
(ウルサイなぁ)
男の子は、携帯のアラームを一時的に止めスヌーズ状態にしてもう一度眠りについた。
それを何回か繰り返しているにつれ徐々に目が覚め始める。そして、いつも大体のパターンが…
「やっちまったーーーーー!!!もう、8時じゃねぇか!」
そう大声を出したと思ったら、上下揃いの左胸に猫の顔のワンポイントが上着に入ったスエットを即座に手馴れたスピードで脱いでいく、そして学校の制服に2分で着替え歯磨きと顔洗いトイレと必要最低限の事を済ませワックスと携帯ゲーム機とバッテリー型の携帯充電器を薄っぺらい通学鞄に入れ、自転車の鍵をポケットに入れ家を出ようとする。
起きてからここまでの所要時間、約15分である。
そして、家のドアを開けようとした瞬間後ろから母の声がかかるこれもいつもの事である。
「ご飯食べないの?」
「うん、無理だよねこの状況的に」と苦笑いする。
「全くいつもいつも…ちゃんとアラーム合わしてるクセに何で、朝ごはんも食べる時間がな…」バタン。
と呆れて、下を向いてた隙に家を出た。
「人の話を聞かない所と朝弱い所なんて誰に似たのかしら…」深いため息をつきながら後ろで新聞を読んでる父親の方を見る。
「俺って言いたいの?」
コクリ。とすぐさま頷く。
「君だって、昔は…」
何かを思い出した様に父は、口を堅く閉ざす。
「昔は…の続きは何ですか?」と満面の笑みで聞き返す。
「ゴメンなさい」と言いいきるとそそくさとコーヒを飲み干し黒の上着を手に取り羽織ることも無く手に抱えたまま家を出る。
ドタバタと階段を降りていくと団地の下に停めてある自転車の鍵をあけて、カバンをカゴに入れ時計を見る。
(よし、8時17分いける)
ペダルに思いっきり力を込めて、漕ぎ出す。
「ガラガラ」
(ふぃ〜間に合った)
息を少し切らせながら、教室の窓際の1番前の席に座る。
と落ち着いたと思ったら隣から声がかかる。
「今日も真は、ギリギリだな」
「あっ、おはよ勇哉」
「おはよ、また夜遅くまで動画サイト見てたんだろ?」
「まぁ、そんなとこ」
他愛ない会話から挨拶が始まる彼は、長谷川勇哉小学校からの幼なじみで、勉強は出来るが運動は平均男子高校生並で、眼鏡をかけていて身長も168cmと至って普通の親友である。
すると後ろから、俺と勇哉の首筋に腕をかけてくる奴が来た。
「オイスー!2人とも元気か?」と笑いながら絡んで来る。
「お前は、いつも元気だな」と呆れる勇哉。
「少しは、お前の元気を分けてくれよ」と言う俺。
「俺は、元気しか取り柄がないからな!」
笑いながら満面の笑みを浮かべて金髪でカチューシャをつけてるこいつの名前は、神道英傑身長184cmでスポーツは1度見て覚えてしまえば何でも出来る凄いやつ。しかし、勉強は全然ダメで赤点のトップランナーでもある。英傑も勇哉と一緒で、俺の幼なじみの親友である。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り響く。
(また、1日の起きている半分以上の時間をこの狭い空間で過ごすのか…)
「ガラガラ」
茶色のスリッパを履いた、50代前半のくたびれた感じの担任の先生が入って来た。
「じゃ、またな」英傑の手が首筋から離れる。
「規律、礼、おはようございます!」
「おはようございます!」
「はい、おはようございます」
「着席!」
ガラッ、ガタガタ、ガタッ。
「出席をとります。出席番号1番、阿比留陽菜さん」
「はい」
どんどん出席確認が終わっていく?次は、俺の番。
「出席番号8番黒羽真君」
「はい」
(俺は、黒羽真。至って普通の18歳の高校生だ家族も普通に専業主婦の母さんとサラリーマンの父さんと中二の妹と一緒に生活をして、勉強もスポーツも中の下ぐらいだが学校にはちゃんと友達も少ないけど居て楽しくて、生活に何の不満もない。ちなみに、彼女はいないし好きな子もいない。昔幼稚園の頃に好きな子はいたが今となっては顔も思い出せない。それ以来、人を好きになった事もなられた事もない。)
「じゃ、今日は朝からで悪いがちゃんと前から予告してた通りに英語の単語書き取り小テストをしてもらうからプリントを後ろに回してくれ」
(う…動画サイトなんか見ずに勉強すれば良かった…半分くらい書けるけど正解するのが知れてるから点数は、満点の3分の1ぐらいかな…)
「先生!!!」
「どうした?神道」
「全部分かりません!」
「毎回じゃないか…また、補習だぞ?」
「すんません!分からないものは、分からないんで寝てていいですか?」
「はぁ…好きにしろ」
教室中が笑いに包まれる中先生は、肩を落としていた。
そして、昼休み屋上でいつも通り男3人で購買で買ったパンを食べていた。
まだ、5月だというのにかなり暑いまるで夏のように日差しも強い。
「なぁ、勇哉」
「なんだ、真?」
「まだ、5月だよな?」
「真も英傑のようにカレンダーすら分からなくなったのか?」
「ん?呼んだか?」コロッケパンを頬張りながら答える。
「別に呼んでない例えで出しただけだ」
「そうか、分かった!でも、俺でも今が何月かぐらい分かるぞ?真分からないのか?」英傑に馬鹿にされると凄く辛くなる。
「違うよ2人とも!ただ、最近凄く暑いからさ」
「そうゆう事なら先にそれを言わないと分かりにくいぞ?」勇哉が眼鏡をあげながら答える。
「しかし、この暑さが以上なのは確かだな地球温暖化の影響だけでここまで暑いと説明が難しいな、異常気象も最近よくニュースで流れる事だしな。ここから、長い話が始まるが聞くか?」
「いや、ありがとうございます。大丈夫です」
(前に他愛もない話から深く聞きたいと言ったら、分からない単語ばかりで頭パンクしたからなぁ…)
暑い汗と冷や汗が一緒に出た変な瞬間だった。
「ほういぇばさ」
「食ってから、話せよ英傑。てか、それ何個めだ?」
ゴクン。
「8個目かな?」
「英傑は、本当にコロッケパン好きだな」
「で、英傑さっきは何て言おうとしてたんだ?」
「あっ、そうそう今日5月7日だよな?真の誕生だよな?」
「そういえば、そうだったな。おめでとう、真。」
「ありがとう勇哉。英傑もありがとう。でも英傑さ英単語は、覚えられないのによく俺の誕生日覚えててくれたな。嬉しいよ」
「親友の誕生日を忘れる訳ないだろ?そうだ!今日真の誕生日パーティー開こうか!」
「いきなりだな、しかし今日は塾が休みだし真の誕生日祝いをするか」
「2人ともありがとう!」
放課後になり各々一旦家に鞄を置きに帰り私服に着替え
駅前に6時半に集合する事にした。
約束の時間になり駅前に着くと仕事帰りの人で、駅前が賑わっているがよく見るカチューシャをした金髪の頭が見えたので、そこに2人が居ることが直ぐに分かったのである。
「おーい!2人ともー!」
駆け寄ると英傑と勇哉がいた。
「また、ギリギリだぞ真。せめて約束したら5分前行動を心がけるのが常識だ」
「まぁまぁ勇哉。真は、別に遅刻してないし今日の主役だからいいじゃんか!そんな事より早く買い出し行こうぜ!」
「あのさ、それより聞きたいんだけど2人ともその大きい茶色の紙袋は何?」