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天国から追い出されて不老不死  作者: ラムネ便
雷魔法と不老不死
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雷のように煌めいて

 雷。それは神の声。日本なんかじゃ稲を育てることから稲妻なんて名前をつけられている。

 人は雷ではないが雷に近いものなら出せるのかもしれない。自分自身の意志、力、そして身体。それらが呼応すれば自身の限界以上を出し切ることが可能だ。

 だが残念なことにこの世界ではそんな限界以上の力を出したところで勝てない相手がいる。


「俺は雷だ!本物の雷だ!さあ!お前らの命の輝きを見せてくれ!」


 それは俺だ。術式解放されてから魔法の出し方が分かってきていて身体も軽く感じている。

 アニメにいた龍人族のキャラをイメージして羽を出せるかな?と思ったら案外簡単に出せたので今もびっくりしてたり。だがこれならやれそうだ。

 ジュリアさんがなんかずっとこっちを見てるけどウェスターさんも戦ってるし始めますか。

 えーっと技の名前は・・・よし。雷神術だな。


「行くぜ!雷神術零型!『円雷』!」


 俺は手に雷を溜め込んで塩を撒くように扇型で繰り出すと油断していたのか固まっていた領主達は周りの護衛と感電して黒焦げになった。一応手加減はしたはずなんだが。ウェスターさんとしては無傷で捉えたかったんだろうなぁ。

 だがそんなことすらどうでもいいと感じてきた俺は無意識に雷を更に発生させていく。

 俺が出す雷に怯えたのか周囲の冒険者や護衛達は一歩も動かずに足が震えていた。


「来ないならこっちからいくぞ!雷神術Ⅰ型!『雷神降臨』!」


 悲鳴をあげながら雑魚が倒れいくさまは半端なく気持ちいい!

 適当にやっただけで雷がどんどん敵の頭上に落ちていく!シールドらしき魔法を展開した奴もいたけど貫通していく!

 凄い!これが・・・これが雷の力なんだ!俺は世界を託された守護龍だ!雷の守護龍なのだ!


「凄い!素晴らしいぞハインド君!もっと私にその煌めきを見せつけてくれ!」

「旦那様ぁ!こんなんじゃ私来た意味ないですよぅ!」

「斬り裂け!雷神術Ⅱ型!『轟雷』!」

 

 しかし調子に乗りすぎた俺は『轟雷』を使ったあと魔力を使い果たし意識を失いかけ、殆どの敵を完全に殲滅したことを確認したあと、そのまま倒れた。

 城内のベッドで目覚めた時には丸一日経っていたそうで、雷による被害は会議室どころか色んなところに発生し、あの時に引き留めてくれていなければ民家にまで影響していたらしい。ついでに城内の医療ベッドまで運んでくれたのはウェスターさんらしい。ありがとうございます。

 実は雷魔法で領主を黒焦げにしてからの記憶がなくなっていて俺自身もかなりハイテンションだったと後からジュリアさんに聞いた。

 ウェスターさんはかっこよく三分割して援護してもらい自分が領主達に引導を渡すどころか俺がさりげなくやってしまったので少し残念な気持ちだったらしいが、俺の雷を見て凄く興奮したので、それでチャラにしてくれた。

 今はウェスターさんとベッドにて雷魔法の考察中です。


「やはり雷魔法というのは感情によって変わるようだな。怒り・悲しみ・喜び・楽しみ」

「そしてそれらを超えてしまった狂気、ってところじゃないですかね?」

「ハインド君。狂気というより君の場合は単純に暴走しただけだと思うのだが?」

「本当に申し訳ございませんでした!」


 ベッドから降りて平謝りするとウェスターさんは胸ポケから紙を取り出して俺に渡してきた。文字はギルドの時いつの間にか読めたので大体把握出来る。

 幾つかあったが気になる内容としては


 ・今回の戦闘による被害額は請求しない。

 ・グロムメント家以外の領主を全員拘束。処罰は審議を通して決まる。

 ・褒美の審議をするので今回の戦闘に参加したウェスター、ウェスター夫人、流浪人の3人らは玉座の間に招集をかける。


 の3点だ。

 王様も他の領主の横暴過ぎる予算の使い方や振る舞いに問題有りと指摘しており戦闘が行なわれる事を専属の占い師から告げられ一時的に避難していたとウェスターさんは教えてくれた。

 しかも今回は四人の領主の財産を法に基づいて全て没収するらしくウェスターさんは研究費が増えるかもしれないと意気込んでいる。

 領主達による地位剥奪も取り消され伯爵に戻る。

 しかし俺はこの国から見てみれば、どこから来たのか全く分からない謎の人物だ。場合によっては国から追放なんてのもあるかもしれない。天国から追放されるよかマシだけどな。


「玉座に招集されるのは明後日の朝8時だ。ハインド君の功績はきっと讃えらるから褒美の少しくらい期待してもいいんじゃないかね」

「そうですね。ってかそれよりも王都を案内してくれるのでは?」

「ああ!そうだったな!すまんすまん。彼らに少し挨拶してから案内しようと思ったらこれだったからな。今から行くか?」

「お願いします!」


 ベッドから降りて背中が少し裂けている革ジャケットを着ると城外へ出て王都を案内される俺。

 市場って色々売ってるんだな。

 様々は小売の屋台を見てまず目に入ったのは街頭販売の肉屋。オーク肉の串揚げとかなんだよコレ。見た目が完全に串カツなんですけど。


「お。オーク肉の揚げ物か。店主。これを三つ頼むよ」

「あいよ!鉄貨3枚ね!」

「三つ頼むんですか?」

「ハインド君。後ろを見たまえ」


 後ろを振り向くと何だか見たことがある怪しげな格好した女性が一人、こちらに歩いてくる。

 ウェスター伯爵は既にたべながら俺にオーク肉の串揚げを一本くれた。

 残りの一本は後ろからきた女性、ジュリアさんに渡して再び歩き始める。なんかすごいがっついてるんですが。


「どうだ?美味いだろ?」

「はい!街頭販売にしては中々イケます!」

「あそこは常連でなぁ。ジュリアの好物なんだ」

「私はあと800本は食べれますわ!」


 いや食い過ぎだろ。胃もたれするわ。

 次に案内されたのは様々な加工がなされたチャームの屋台がひしめく御守り販売所みたいな場所。色んな指輪やらネックレスやらと売っているものは様々。

 ジュリアさんから今回の御礼にと発動魔法を少し増幅してくれるネックレスを買ってくれた。こういうのは下手に遠慮するより有難く受け取るのが礼儀だ。


「本当は女性用らしいけど坊やにぴったりよ!」

「女性用・・・でも綺麗ですね。有難く受け取らせて頂きます」


 ネックレスを首から下げて更に市場を進んでいく俺達。すると伯爵があるポスターをじっと見つめたまま険しい表情をし始める。

 そのポスターにはアニメで見たようなアリーナであろう施設にて岩が合体した人形モンスターが暴れている写真が印刷されていた。多分モンスター同士を戦わせるみたいな感じなんだろう。


「最近旦那様は『ゴーレムアリーナ』に夢中なのよ。仕方ないわ」

「ゴーレムアリーナ?」

「ええ。最近はゴーレムも人工的に創り出せるようになったからアマチュアでも参加できるイベントなのよぉ。旦那様は一回参加したの」

「で、負けたと?」

「そうなのよねぇ。旦那様のゴーレムはそもそも立てるかどうかってレベモガッ⁈」

「ジュリアさん!それ以上は止めて下さい!伯爵が半泣きしてます!」

「あ、あっれぇ。おかしいなぁ。目から汗が」


 半泣きどころか未だに悔しかったらしい。

 この先の案内は殆どジュリアさんが担当してくれたがウェスター伯爵は終始ずっと沈んでいた。

 ゴーレムって言えば岩とかで構成されてるモンスターとしか考えられないな。ゴーレムって言われて真っ先に考えつくのはドラゴンの名前を冠する某有名ゲームのレンガ造りの方だ。

 最近のゴーレムは岩や砂製も出てきているらしくジュリアさんが言っていた自作ゴーレムも普通に市場や雑貨店などで販売している『ゴーレムコア』さえあればいいという。

 俺も褒美を貰ったあとに参加してみようかな。

 今夜も俺はウェスター伯爵の屋敷に邪魔になって夜を明かすことを勧められ、昨日案内された部屋に服をかけてシャワーを浴びると、元の世界で寝ていた煎餅布団とは違うフカフカのベッドに身を委ねた。


いつもPV・ユニーク、ありがとうございます!

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