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洋平VS古代魔術師


俺は控室にあるトーナメント表を覗き込む。


「やっぱウィルゴーか。」


ドワーフの古代魔術師。ランクはSだとすると土魔術がメインだろう。でも古代魔術師だから他の属性も使えると見て間違いはないだろう。正直セリーヌを相手にすると考えると勝てる気がしない。どうにかして勝つ方法を見つけなければ。俺は控室を出て外の空気を吸いに行く。


「ルドルフの試合も見たいけど、まぁ心配する方が野暮だな。」


俺は闘技場を後にして外の出店が並んでいる所を一人で歩く


「お?これ美味そうだな。あ、これもこれも。」


俺は美味そうな食べ物を片っ端から食べ歩きしていた。


「あ~食った食った。満足満足。」


俺は得も言われぬ幸福感に包まれていた。満腹感から来る。幸福感か。俺は食べ物には五月蠅い。美味しい物は沢山食べたい。今はアイスが食べたい。でもアイスはこの世界には無い。店でジュースを買い即席でアイスを作り食べる。周りの人が物珍しそうに覗いてくる。この世界には無い情報を俺は持っている。この情報を駆使してウィルゴーを倒さねばならないな。俺は時間が来るまで外をうろつき控室へ早めに向かう。中に入るとウィルゴーはすでに中に居た。


「やはり来たな。洋平殿。戦いは余り見てはいないが噂では結界をものともしない魔術を披露したそうではないか。」

「・・・」

「そうそう、彼女の加護の話だがな」

「あの・・・ウィルゴーさん?」

「ん?なんだ?」

「勝ちを譲ってください・・・」

「いいよ。」

「無茶を言ってるのはわかります。ですが俺には勝たなければいけない理由が・・・って。え・・・いいんですか?」

「うむ。別に優勝したくてこの大会に出た訳じゃないからな。」

「ありがとうございます!」

「だが・・・。ただで勝ちを譲る訳にはいかないだろう?」

「それなら大丈夫です。知識に関してはこの世界の誰にも負けませんから。」

「ほう。古代魔術師を前にして大きく出たな。」

「だって俺、この世界の人じゃないですから。」

「・・・・・・・・・」


ウィルゴーの時間が止まった。ここはもう勝ちを譲ってくれると言ったのだから押しの一手しかない。


「あれ?セリーヌ様から聞いてないですか?あぁそっかこれは余り人に言っちゃいけない事だったか。じゃあこの話は内密に。でも俺が知ってる知識ならなんでも教えますよ。100人を乗せてドラゴンより早く空を飛べる乗り物とか同じように水中を進む乗り物とか。大陸を吹き飛ばす程の爆弾とか。ちなみにセリーヌ様はこれをもうすでに知ってますよ。」

「異なる世界。100人。ドラゴンより早く。空も水中も。エーテリオン以上の破壊力。してセリーヌ様は既に・・・。」


ウィルゴーは顎に手をやり考えを巡らせている。これはもう落ちたと見ていいだろう。やはり頭のいい人には知らぬ知識と言う物はとてつもない御馳走に見えるだろう。俺もこの世界の本を読んだ時は全てが新鮮でいつまでも味わっていたいような感覚に襲われた。ウィルゴーも今そんな気分なのだろう。


「わかった。ではその知識を頂くとしよう。次の試合は棄権する。」

「あ、棄権はダメですよ。ちゃんと戦って負けないと。」

「何!?この私に辛酸を飲めと言うのか!?」

「あー聞こえが悪かったか。優勝するんで大丈夫です。それならみんな納得するでしょう。」

「だが、ガーディニアやルドルフやファングとか言うゴーレムまで居るんだぞ!」

「ガーディニアは知りませんがルドルフは親友ですし、俺の目的の為に勝ちを譲ってくれる手筈になっているんです。あとファングはセリーヌ様の物じゃなくて正式には俺の物。」

「なんと!私の知らない所でそんな・・・。洋平殿の目的とは一体?」

「当面は四大巡業をする事なんですよ。そのうちドルドフスにも行くのでその時はよろしくお願いします。」

「なるほど。試練を受ける為にこの大会で優勝すると言う事か。」

「はい。この大会は通過点に過ぎません。」

「なんと・・・。この大会に人生を懸けている者に居ると言うのに通過点とな。」

「大きな目標がありますからね。四大巡業も通過点です。」

「むむむ・・・。どうやら洋平殿は何か凄い事をしそうだな。おっとこの続きは試合の後にしよう。」


ウィルゴーと話していると試合の為に声がかかった。二人で舞台へと向かう。


「会場の皆さん!お待たせしました!本日最後の試合となります!南の古代魔術師にして土魔術を極めし者!一回戦はSランクのキクノスを全く相手にしない程の力の差を見せ見事に一回戦を勝った!ウィルゴー!!!」


会場から盛大な拍手が巻き起こる。


「対するは、精霊の使いというのを徐々に信じざるを得ない実力を見せ一回戦を見事に勝ち抜いた悪の魔術師!洋平!!」

「おい!悪って・・・。あぁリンセに勝ったからか。」


会場からブーイングが起こる。もう慣れたものだ。


「では本日最後の試合となります!本戦二回戦第8試合!開始!!」


キャッチーマンの声と共に鐘がなり戦いが始まる。だがすでに打ち合わせは済んでいる。


「土の精霊よ!大地を裂き出でよ!我に力を!アースビュードラゴン!!」


ウィルゴーの魔術に呼応し巨大な土の龍がウィルゴーの頭上に出現する。観客は皆息を飲み次の展開を待っている。


「水の精霊よ!愛の限り戦わん!我に力を!トリシューラ!グングニール!ブリューナク!」


俺の頭上に三体の氷の龍が出現する。観客は既に言葉を失っている。そしてお互いに手のひらを相手に向け、龍達が衝突する。俺の一体はウィルゴーが作り出した土の龍と相打ち。二体をウィルゴーに向かって放つ。一体はウィルゴーの咄嗟の魔術で相殺され、無防備な所へ最後の一体が襲う。そのまま場外まで吹き飛ばしウィルゴーを氷漬けにする。


「・・・そ、そこまで!!勝者!洋平!!」


一瞬の出来事過ぎてキャッチーマンも宣言が遅れる。だが観客は未だに誰も動かない。俺はウィルゴーを氷漬けのまま残し会場を後にする。もうブーイングは聞きたくない。それにウィルゴーにもあまり絡まれたくないのが本心だ。


「なんと言う事でしょう。余りの出来事に私も含めここにいる全員驚いてしまいました。古代魔術師を凌ぐ魔術。これはもう認めるしかありません!彼こそ精霊の使いだと!!」



この話長くなりそうなんで色々カット!

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