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闘技大会の景品

「ちょっとまて!それはいくらなんでもやり過ぎだろ!」

「大丈夫だって。どうせ優勝するのは俺だしな。」

「俺も出るんだぞ!」

「俺の為に負けてくれるだろ?」

「嫌だ!」

「まぁいいや。どうせ負けないし。」

「洋平本気で言ってるのか?」

「あぁ。どんな汚い手を使ってでも勝って見せる。」


俺とルドルフで睨みあう。そこへクリストが割って入る。


「ちょっと待て!二人共落ち着け!ルドルフの言い分がもっともだ。わかってるのか闘技大会は魔術使用が制限されるんだぞ?」

「あぁ知ってる。防魔結界を貼るんだろ。魔術を使いににくくするやつ。でも使えない訳じゃない。」

「身体強化だって出来ないんだぞ。」

「高度な次元での身体強化なら出来るはずだ。」

「だがそんな事出来るのか。」

「出来るじゃなくてやるんだよ。正直今この場でルドルフと戦ったら勝てる気はしない。ルドルフの方が強いのは明らかだ。覚醒したら一瞬だろう。」

「じゃあなんで景品に封炎剣をやるんだ?」

「優勝は俺かルドルフだろ。どっちが勝っても同じじゃないか?」

「「・・・」」


三人を沈黙が包み込む。


「ただいまなのにゃ。って三人とのどうしたのにゃ?」


その時セリーヌとリンセが帰ってきた。リンセはどうやら落ち着きを取り戻したようだ。また俺にそっと寄り添って来る。


「セリーヌ様聞いてください。この封炎剣を次の闘技大会の景品にするって言うんです。」

「にゃ~・・・」


セリーヌは考え込み。みんなの顔を見渡す。


「それはいい考えだにゃ!だが負けないのにゃ!」

「ちょ!セリーヌは出ないだろ!?」

「出るのはリンセなのにゃ!」

「にゃ?」

「リンセ聞くのにゃ。今度みんなで戦う場所があるのにゃ。そこでよーへーに勝てばよーへーと一緒に居れるにゃ!負けたら僕と一緒に住むにゃ!」

「何を勝手に!」

「よーへーがリンセに勝てばいいだけの話なのにゃ!言ってわからないやつには拳で語るのにゃ!そしてリンセをよーへーに押し付けて僕が封炎剣をごにょごにょ・・・」

「心の声が漏れてるぞ!」

「洋平。下手したら負けるんじゃ無いのか?」

「いや・・・まぁ・・・たぶん大丈夫だろう。」

「じゃあさっさと闘技場作ってヴォルグに見てもらって景品を渡すのにゃ!」

「よっへいっしょ・・・よっへいっしょ・・・ずっといっしょ・・・」


リンセの体が青白く光り出して俺は先行きが不安になった。だがまずは闘技場の建設に取り掛かろう。闘技場の跡地ともいえる場所に着いた。


「にしてもひどい有様だな・・・」

「まぁ文句言ってても仕方ない早速取り掛かろう。ファング!」


ファングを呼び出す。ここなら余り人目を気にせず作業出来るから問題は無い。


「じゃあクリストは結界の方を頼んだぞ。」

「あぁ。任せてくれ。」

「じゃあルドルフとファングはとりあえず瓦礫を一か所に集めてくれ。セリーヌはリンセを頼む。」


各々作業に取り掛かる。クリストは家から持ってきた結界の本を取り出し設計図らしきものを書き始めた。ルドルフとファングで瓦礫を集める。これは俺も参加する。二人は手で運んでいるが、俺は水で押して運ぶ。あっと言う間に瓦礫の山が出来上がった。セリーヌはリンセと離れた所で特訓をしている。俺マジでピンチかもしれん。瓦礫の山の石だけポケットドラゴンにドンドンしまっていく。心なしかポケットドラゴンの容量も増えた気がする。残った木材はルドルフに焼いてもらう。封炎剣を帯刀していればルドルフも普通に魔術は使えるらしい。ものの数時間で更地が出来上がった。


「凄いな。一瞬だな。これなら本当に三日で出来るかもしれん。」

「出来るじゃなくてやるんだよ。じゃあファング行くぞ!」

「オマカセクダサイ」


俺はウィンストハイムの町を作った時と同じ要領で石のパーツをドンドン出していく。それをルドルフとファングが運び形を作って行く。元の闘技場の姿は頭に入っている。それとだいたい同じ感じにすればいいが、色々と手を付けくわえたくなるのが男の子ってもんだ。まずは床を全面に敷いていく。だいたい200メートル四方か。そして中心に闘技場の舞台を仮設置。結界を貼る時にどかすことの出来るように仮で当たりをつけていく。4隅に巨大な柱を4本立てる。そしてそれに沿うようなような形で円形の土台を作っていく。そして外側から徐々に高くしていき中心に向かって低くする。観客席を作る。来賓貴賓席や王様の居る場所も作らないといけない。選手の控室。救護室。二階への階段。売店スペース。俺しかしらない地下通路。ドンドンパーツを出していって暗くなる頃にはもう既に元通りの形になっていた。


「まさか・・・一日で出来るとは・・・」

「まぁこれだと同じ物だろ。まぁ以前とはだいぶ大きいが。こっから装飾やら小物やらなんやら作るので二日だな。まぁあとは俺一人で出来るから休んでていいぞ。」

「にゃ~い。食事買って来たにゃ~」

「ちょうどこっちもひと段落ついたとこだ。休憩しよう。」


セリーヌとリンセが夕食を買って来てくれた。みんなで集まってたき火を囲み食事を取る。クリストが結界の設計図をセリーヌに見せながら意見を聞いている。ほとんど良さそうな感じに見える。


「クリスト。ちょっといいか?」

「ん?なんだ?」


俺は手招きしてみんなから離れた所でクリストと話し合う。


「実は~・・・で・・・なんだ。出来るか?」

「いや出来る出来ないで言ったら出来るけど、それはずるくないか?」

「負けたら洒落にならんだろ。頼む。お前にしか頼むやつが居ないんだ。」

「まぁ僕が専門だからいいんだけど・・・他の人に悪いだろ?」

「あーだめかー俺リンセもセリーヌも仲いいから一緒にお風呂とか入るんだよなぁ」

「なに!?」

「協力してくれればクリストも誘ってもいいんだけどなぁ。」

「やる!是非やらせてくれ!頼む!この通りだ!!」

「よっし。じゃあよろしく~」


再びみんなの輪の中へと戻って行く。みんなに何をしていたが聞かれたが男の話だ。と言う事で誰にも言わなかった。ルドルフには今度勝利祝いに町の西区に行こうぜと言う話をしていたと言う事にしておいた。まんざらでもない表情を浮かべまたみんなで笑いながらの楽しい食事へと戻る。そうして夜は更けて行った。

次の日からも闘技場の修復作業は続く。売店コーナーの充実や王様の座る椅子を作ったり巨大な柱に細かい装飾をしたりやることはまだまだあった。クリストは結界の準備をしている。ファングは俺のお手伝い。主に足場になってもらったりしている。セリーヌとリンセはリンセの家に一度帰り荷物を全部持ってくるそうだ。俺渾身のミラーボールもちゃんと持って来てくれよ。ルドルフはと言うと、暇そうにだらだらしている。俺の装飾作業も手伝わせてみたがどうやら不器用に分類されるらしく、俺の理想にはほど遠かった。たまにルドルフが笑い出すが何がおかしいのか聞いても教えてくれない。おまけと言う事で家も数件建てておいた。警備の人が休息をとったりする場所も必要だろうしな。外に出店をずらっと並べるのも面白そうだ。同じ形の物ならある程度組み立てて出せるのでドンドン出していく。


「まぁだいたいこんなもんでいいだろ。」

「こんなもんて・・・」

「じゃあ王様をここへ連れて来てくれ。」

「じゃあ今から早速行って来るよ。この剣ともしばしのお別れか・・・」


ルドルフはゆっくりと城へと向かって行った。俺は帰ってきたセリーヌとリンセと共に

持ってきた荷物を眺めている。セリーヌが興奮気味に色々説明するのをクリストと俺で熱心に聞き入っていた。ミラーボールの為に壊したオクトパススクライドに関しては怒られた。クリストも結界の方は終わったらしく。あとは王様待ちだ。広げた荷物をクリストが研究に必要そうな物で2割持って行き、あとはセリーヌのマジックバッグにしまっていたら町の方から立派な馬車が走ってきた。護衛も沢山引き連れてきている。


「見事な物だな・・・たった三日、いや二日程でこれ程の物を作り上げるとは・・・」

「お褒めに預かり光栄に御座います。早速中を紹介しましょう。」


俺を先頭にみんなで中を見て回る。見事な造りと装飾に俺は褒められまくって少し痒い。王の座る椅子は俺が丹精込めて作り上げた一品だ。これもすばらしく褒められた。玉座の椅子と交換するなどと冗談を交えながら説明は続いた。闘技大会の舞台となる場所に行き、王自ら舞台に上がり結界の具合を確かめる。セリーヌとクリストのお墨付きで結界は問題無かった。舞台に上がると体中に不快では無いノイズが走り上手く魔術を使う事が出来ない。身体強化も同じだ。セリーヌ、クリストはその結界の中でもある程度の魔術は使える事が出来た。俺も少しなら出来たのだが実践で使うとなるとまだまだ程遠い威力だ。


「素晴らしい出来だな。これに関してもまた別に褒美を考えねばなるまい。」

「でしたらなるべく早くの開催を・・・」

「うむ。わしも早くこの闘技場を他の国にも自慢したくなってきたぞ。だがまぁ皆にも準備はあるだろうから遠方の国の事を考えると20日は必要そうじゃの。それでよいか?」

「わかりました。私もご子息に負けないように奮闘してみせます。」

「うむ。期待しておるぞ。」


王とその一行が馬車に乗り込み走り出そうとした時何か忘れている事に気づいた。


「なんか忘れてないか?」

「いいいいや。なにも忘れてる事なんて無いぞ!」


ルドルフが食い気味に言う。


「封炎剣を景品にするのにゃ。」

「あぁそっか。ルドルフ。寄越せ!」

「嫌だ!それに今手放したらまた暴走してしまうだろ。」

「じゃあ今じゃなくていいから一緒に王の所へ行くぞ。」

「ぐぬぬぬぬ。俺に味方は居ないのか。」


俺はルドルフを引きずって王が乗った馬車の所へ行く。


「すいません!言い忘れてました。ルドルフ王子が持っているこの剣を闘技大会の景品にしたいんです!」

「ほう。それは実にいい提案じゃが、その剣はどのような物じゃ。」

「それは僕が説明した方が説得力がありそうなのにゃ。この剣は封炎剣なのにゃ。簡単に言うとランクはSSS以上。あの剣一本でこの国丸ごと買えるレベルなのにゃ。僕とクリストが保障するから間違いは無いのにゃ。」

「そんなに巨大な代物なのか・・・」

「これを景品にすれば大儲け出来るのにゃ。」

「だが・・・他の国に取られてしまうと言うのはいかがなものか。その様な物は我の目に見える所に置いておきたい物だがな。」

「安心するのにゃ。どうせ優勝するのはルドルフかよーへーかうちのリンセなのにゃ。それも保障出来るのにゃ。」

「確かにその様な物を景品にすれば過去に例を見ない程の盛況に見舞われるであろう。よろしい。ではその剣を優勝賞品として闘技大会を開く事としよう。」


王とその一行は帰って行った。ルドルフもその馬車に仕方なく乗り込んで行った。闘技大会まであと20日。それまでに俺も鍛えなければ。頼みの綱はクリストだな・・・。



もっと細かく書いてもいいのですが、だらだら話が進まないと読み飛ばされる可能性を加味して話はガンガン進む予定です。

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