使えないチート
冒険者ギルドで使い物にならない事を知り、うなだれてセリーヌの家に入る。
「よーへー座るのにゃ」
セリーヌに言われるままに椅子に座る。アイヴィは飲み物を入れ直しに行った。
「ではよーへーよ。お前は魔術が使いたいかにゃ?」
「そりゃあ使えるもんなら使いたいですよ。」
「じゃあ使えるようにするのにゃ。」
「は?」
「家の前に湖があるにゃ。あそこには水の精霊が住んでるのにゃ」
「!!!」
「その水の精霊にお願いすれば使えるようになるのにゃ」
「まじか!行ってきます!」
「話は最後まで聞くにゃ。湖の中央に小島があるにゃ。あそこにいけば精霊が出した問題がおいてあるにゃ。それをクリアすれば大丈夫だにゃ。」
「そういえば無理難題があるってアイヴィから聞いたな。んでその問題とは?」
「自分の目で確かめるにゃ。」
「この世界の文字読めないんだが」
「にゃー・・・アイヴィ一緒に行ってやるのにゃ。」
そう言って飲み物を持ってきたアイヴィに促す。
「わかりました。洋平殿行きましょう。」
そういってアイヴィは先に家を出ていった。俺も続けて後を追う。
「ではあそこの小島まで飛びますよ」
「え?」
そういってアイヴィは俺をお姫様だっこしてジャンプする。10メートルはあろうかと思う距離をひとっとびだ。着地の衝撃も無い。
「ありがとうございます。」
「私も水の魔術が使えませんからね。また挑戦してみようと思います。」
小島は半径5メートル位の小さな島だ。中央には台座があり、その上には聖杯が置かれている。その聖杯に近づくと文字が宙に浮かび上がって来た。
「汝、我の力を求める者よ、その聖杯の中の水の上に火をつけよ。さすれば我が力貸し与えん。ですって前と変わって無いですね。」
聖杯を覗きこむと聖杯の中には水が入ってるようだ。聖杯は動かすことが出来ずに中の水も触れられないなんとも不思議な水が入っている。
「ではやりますか。」
そういって呪文を唱え始める
「火の精霊よ、全てを燃やす柱を、我に力を、フレイムピラー!」
聖杯のある台座ごと火の柱が包み込む。というかこれじゃダメなんじゃ。聖杯の中の水の上でしょ?たぶんあの水の特殊な力をなんとかしないと無理なんだろうな。
「ダメですね。」
アイヴィがあっさりと引く
「問題はわかりました。帰って作戦を考えます。」
「洋平は出来そうですか?」
「たぶん・・・あ~いや~ちょっと無理かもなー」
今思いつく方法は一つある。しかしこれをやると俺の今後が心配だ。出来ればこれを使わない方法を考えたい。なにか他の物で代用できないかな。
そんな考えをしながらまたお姫様だっこで家に戻る。
「無理でしたー」
「諦めるのが早いにゃ!もっと頑張るにゃ!」
「だってあの問題は難しいですよー」
「よーへーが魔術を使えるようになったらやってほしい事が沢山あるのにゃ!だから頑張るにゃ!」
「人を道具みたいに使わないでくださいよー」
「今は道具以下なのにゃ」
このガキめ・・・てかセリーヌって何歳なのだ?プレートを見せてもらえればいいがどうせ文字が読めないしな。
「とりあえずよーへーは僕の実験台になるのにゃ。明日からみっちりしごくのにゃ!アイヴィよーへーに空いてる部屋をあげるのにゃ!僕は創造師について調べてるにゃ。ご飯が出来たら呼ぶのにゃ」
「わかりました。では洋平殿、部屋へ案内いたします。」
セリーヌは階段を駆け上がって行ってしまった。三階がセリーヌの研究所らしい。俺はアイヴィに連れられて二階にある一つの部屋を使わせてもらうことにした。ベットと机と椅子位しかない質素な部屋だ。まぁ客室みたいな感じなのかな。
「すいません。空いてる部屋がここしか無くて。洋平はここで寝てくださいね。私の部屋は隣ですので、なにかありましたらいつでもお越しください。」
「わかりました。ありがとうございます」
「明日から頑張りましょうね」
「はい・・・」
アイヴィの隣!!夜壁に耳を当てるのを日課にしよう。てかアイヴィはここにずっと居るのか。四大巡業中じゃないんだっけか。まぁこまけぇこたぁいいんだよ。
「よし!やるか!」
俺は気合を入れて家を出る。アイヴィは晩御飯の準備をしている。声をかけられたが散歩といって出てきた。エプロンも似合うな。いい嫁になるぜ。
「さてと・・・」
俺はシルバーの目の前に居る。シルバーを自分の部屋に入れる方法について考えた。一人でも持てない事はないだろうが。ちょっと重いな。階段あるしな。てか肉体強化すればいけんじゃね。ということで肉体強化の練習をする事にした。
「・・・アカン」
全くわかんねー。どうやってやるのかすら聞いてないんだからしょうがないっちゃしょうがないけどな。大人しく調理中のアイヴィにお願いしてシルバーを部屋に運んでもらった。まぁ明日から教えてもらえるだろうし。今は焦る時期では無いな。てか俺本来の目的忘れてないか・・・