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王子の苦難

まーにあわなかったー

~ルドルフ視点~


洋平がタナスと旅の風の団のアジトに向かった後、俺はタナス達全員と話をした。生きる為には仕方のない事ではあるが、その原因を作ったのが俺達王家の人間なのなら、俺も少なからず責任を感じずにはいられない。生まれて来る子供に罪は無い。洋平の言葉は確かに俺の胸に突き刺さった。奴隷の子は奴隷。そんなの間違ってる。洋平は世界を変えようとしている。俺は洋平のその大きな志に惹かれた。一人のヒューマンが世界を変えるなんて出来る訳もないが、洋平は別だ。色々と次元が違う。俺は洋平なら世界を変えれると本当に思っている。俺はその世界が変わる時が見たい。洋平と一緒に旅がしたい。洋平が世界を変えようとするなら、俺のこの小さな力も少しは役に立つのではないか。俺はそんな風に考えるようになっていった。タナス達大人は名目上ではあるが罪を償ってもらうが、直接手を下していない。女子供は免除しよう。俺の中でのタナス達に対する結論は出た。早速ウッドの所へ行き、事情を説明する。包み隠さず全部だ。ウッドもわかってくれたのか、俺の意向を尊重してくれるらしい。


「ふぅ・・・」


ギルドを出て一息つく。これから忙しい。まずは闘技場の人払いか。事前に連絡をしてくれるがそれから闘技場の人払いをしても間に合うが、念には念を入れて事前に話しておくべきだ。


「ルドルフ様!お疲れ様です!」


闘技場へ着くと門番が挨拶をしてくれる。俺はそんなに堅く挨拶されるのが正直苦手だ。もっと洋平みたいに気軽に話してくれる方が気持ちがいい。まぁ立場上そうもいかないのはわかっているが。


「今日の予定は何かあるか?」

「いいえ!特にありません!」

「見張りはいつも通り6人か?」

「はい!」

「よし。全員集めてくれ。」

「わ、わかりました!」


こんな俺でも王子なんだ。これが洋平の成すべき事なら俺は王子と言う肩書すらも洋平の為に使おう。


「集まりました!」

「よし、みんな聞いてくれ。これから・・・じゃないな。近々ここに旅の風の団を集め一網打尽にする作戦を進行中だ。みんなには到着する前にもう一度伝えにくるが、その時はここで激しい戦闘が行われると予想される。皆は危険だからその時は退避してくれ。・・・何か質問は?」

「失礼ながら質問させていただきます!我々は明日の朝に他の者達と交代するのですが、その時はどのようにしたらいいのでしょうか?」

「それなら交代する人にも全員に言っておけ。ただし、この作戦は内密に行われている。誰にも話すな。だとえ俺の親父にもだ!」

「わかりました!!」


よし、これで闘技場の人払いはすんなり出来そうだな。あとは戦闘の準備か。とりあえずクリストの所に行くか。


「おーい。クリスト~」

「なんだ。ルドルフか。」


クリストの家に着いて中に入るとクリストはのんびりくつろいでいた。


「なんだじゃないだろ?戦闘の準備をしに来たんだ。」

「王家の宝物庫から勝手に取ってくればいいじゃないか。」

「そんな事出来る訳ないだろ。なんか見繕ってくれよ。」

「わかってるよ。当然ルドルフのも準備しておいた。ほらよ。」


クリストは一本の剣を放り投げてきた。


「あぶねーな。俺じゃなければ真っ二つだぞ。」

「ルドルフにしかそんな事しねーよ。それよりも見てみろよ。ようやく届いたんだ。お前の為にわざわざドワーフに頼み込んで、ようやく完成したから届いたんだ。」

「へぇ・・・」


剣を見てみると、刀身は薄い赤色で装飾も見事だ。大きさもちょうどよく振りやすい。


「馬鹿。部屋で振り回すな。やるなら表でやってくれ。あとそれは使用者の魔力を吸い取って力にするからな。普通の剣とは違うぞ。魔剣に近いが、そこはドワーフの技術で自由自在だ。しっかり練習しておけよ。」


俺は剣を持って表に出て試しに魔力を込めてみる。すると魔力が若干吸い込まれる感じがした。俺は魔力操作が苦手な方ではないと思う。何故か魔術は制御出来ないが。これを本番までに使いこなせるようにしないといけないな。俺はその日から毎日クリストの家の前で剣を振るう。そしてその時は突然訪れた。


「ん?」


懐に入れていたコンパスが振動を始めた。俺は急いでクリストの家に入る。するとクリストも家から出ようとしてドアの所で鉢合わせした。


「おい!これは!」

「あぁ間違いないだろう。もうすぐ時間だ。」


気持ちが一気に高ぶって来た。すると一人の兵士が走って来た。


「ルドルフ様大変です!」

「どうした。こっちはこれから忙しいんだ!」

「見慣れない空飛ぶ魔物が急接近しています!」

「なに!?」


くそ!これから忙しいって時に!迷惑なやつだぜ!


「どこだ!?」

「えぇっとあれです!」


兵士が空を指差しクリストと二人で空を見る。空には確かに動く物体がいる。それはどんどん近づいてくる。よく見るとあれは人型だ。人に翼が生えている。空飛ぶ人。魔族か。様々な思考が錯綜し空を見ているが。その人はこちらへと真っ直ぐ向かって来る。


「こっちに来るぞ!気をつけろ!」


俺は剣を構え様子を伺う。その空飛ぶ人はあっと言う間に急降下し、目の前に大きな音と土ぼこりをあげ着地した。俺は緊張しながら様子を伺う。


「おーいてて。もうちょっと優しく着地してくれよ。」

「にゃ!」


あれは・・・まさか・・・


「洋平!!」

「幼女・・・」


目の前には背中に女の子を背負った洋平が居た。


「おー久しぶりだな。ルドルフ。」

「コンパスで合図もらったのは今だぞ!どうなってるんだ。」

「あー三時間後位には来るだろ。別に間違っちゃいない。それよりも準備は出来たか。闘技場の人払いは?」

「合図を貰ったから今から行く所だ。戦闘の準備は出来ている。なぁクリスト?」

「幼女・・・」

「よし!じゃあ準備おっけーだな!じゃあ三時間後に闘技場で!リンセ!飛べ!」

「にゃ!」


俺とクリストの時間が止まった・・・


初めて他人視点を書いてみました。次からまた戻ります。

他の人の視点で書くのって難しい

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