冒険者登録
どうやらほんとに移動したようだ。ここはウィンストハイムの城下町。見慣れてはいないが見たことのある風景が広がっている。
そこを俺はアイヴィと手を繋ぎながら歩いている。アイヴィもまんざらじゃなさそうだ。
そして歩いていくと一つの大きな建物が見えてきた。どうやらここが目的地のようだ。
「ここが冒険者ギルドです。洋平には資質を確認するために冒険者ギルドに登録してもらいます。あとそろそろ手を離した方がいいと思います。」
しぶしぶ手を放す。ここが冒険者ギルドか。なるほどわからん。
アイヴィの後に続いて冒険者ギルドに入る。
冒険者ギルドは木造の建物で奥に訓練場があるらしくかなり奥に広い建物だ。中に入るといかにも冒険者と言わんばかりの人で溢れかえっていた。毎日このような盛況らしい。カウンターが3つと依頼が貼られている掲示板が3つあり、あとはテーブルがいくつも置かれていて情報交換やパーティ募集をしている。
「こちらの方の冒険者登録をしたいのですが」
アイヴィに着いていきカウンターの女性に話しかけている。この女性はガフ族だろう。猫耳が可愛い、線が細いがかなり強そうな感じを受ける。
「アイヴィ様いつもありがとうございます。では手続きを致しますのでそちらの方はあちらの扉に入ってお待ちください。」
「この方は文字が読めないのでよろしくお願いします。」
「かしこまりました」
アイヴィが向き直ってニッコリ笑う。
「私は少し買い物をしてきますので、洋平一人で頑張ってください。」
「わかりました。頑張ってみます。」
「では終わるころにまた迎えに来ますね。」
そういってアイヴィはギルドの外に出ていった。俺は指示通りにカウンター横の扉に入る。扉の中は小さな小部屋で、小さいテーブルとイスが二つ置いてあり。部屋の隅に大きな水晶が置いてある。俺は水晶を興味深く覗き触らないようにしていると扉が開いた。先ほどカウンターに居た人とは違う女性が入って来た。ヒューマンと見受けれる。白い生地に青いラインの入ったギルドの制服みたいなものだろうか。受付の人も着ていたし。というかこの世界って美人ばっかだな。銀の名詞位のサイズの板と書類を持っている。
「お待たせしました。私はギルド職員のライラと申します。どうぞお座り下さい。冒険者登録と言う事ですので、冒険者ギルドの説明と登録を担当させていただきます。」
「はい、よろしくお願いします。」
「ではギルドの説明をいたしますね。冒険者ギルドはガルガンティアの大きな町にはどこにでもあり、住人の依頼や、モンスター討伐、遺跡の探索、アイテムの採取等様々な依頼を斡旋している場所です。その依頼を受ける為には冒険者登録をしないといけません。この銀のプレートがギルド会員の証となります。」
ライラが銀のプレートを渡してきた。表も裏も何も彫られていない普通の板だ。
「登録をするにはそのプレートを持ち、そこの水晶に触れて下さい。では水晶に触れながら話を聞いてください。」
ライラが水晶をテーブルの隅に置き言われるままに水晶に触れる。すると文字が浮かび上がって来た。読めないから何か書いているかわからないが、プレートの一番したの文字がぐにゃぐにゃとしている。
「そのプレートには名前、年齢、種族、職業、魔力の資質、精神力が書かれます。それがこの世界での身分証明になります。水晶は古代兵器の技術を応用したものでギルドの最高機密の一つです。」
なるほど、これが身分証明書になるのか。無くさないようにしないとな。というか職業って俺だとどうなるんだ。大学生とかこの世界には無いだろう。ちょっと期待するがニートとか出たら泣くぞ。これで魔力の資質を調べられるのか。便利だな。精神力ってのはMPって感じだろうな。
「ギルドの依頼を成功するとその依頼に応じた報酬が支払われます。最初はランクFからスタートです。一つ上のランクの依頼まで受けれます。ランク毎に一つ上の依頼を期限内に規定数こなすとランクが上がります。Dランクからは魔物と戦闘の依頼も来ますので、昇段試験がございます。Fランクですと一か月にEランク3つをこなすことでランクがあがります。上のランクになりますと期限が増え、規定数も変化します。期限内に一つも依頼をこなせないとランクが下がりますのでご注意ください。あまりにもギルドの依頼を放置していると資格をはく奪されますのでご注意ください。Fランクですと一か月で依頼を一つもこなせないと資格をはく奪となります。」
なるほど。じゃあちょいちょい来ないといけないのか。でも冒険者になるつもりもないんだがやはり身分証明がある分なっておいた方がいいだろう。
「資格をはく奪されてもそのプレートは身分証明になりますので、プレートはそのままお持ちになっても構いませんよ。依頼は受けれませんけどね。そろそろプレートの書き込みが終わったと思うのですが、見てみてください。」
プレートを見るとまだ下の文字がぐにゃぐにゃ動いていた。
「まだなんか下の文字が動いてます。」
水晶から手を離さずに答える。たぶん水晶が俺の魔力を計っているんだろう。
「ちょっと見せてもらっていいですか?」
俺はプレートをライラみ見せる
「っ!・・・」
ライラの表情が一変した。
「すいませんがそのままお待ちください。」
そういってライラは部屋から出ていった。マスター!と呼ぶ声が聞こえる
すると急に水晶が震え始め、徐々に振動が大きくなり、大きな音を立てて水晶は割れてしまった。
音に気付いたのか俺が入って来た扉が空きアイヴィが急いで入って来た。買い物に行くと言っていたが手ぶらだ。ポケットになにか入っているのだろうか。
「水晶割れちゃったんすけど、どうしたらいいっすかね?」
アイヴィに聞いてみる。
「プレートを見せてください」
アイヴィにプレートを見せると表情が変わる。
するとライラが出ていった扉からライラとむさいおっさんが出てきた。おっさんはヒューマンだろう。頭がつるつるでムキムキだ。二人は割れた水晶を見て絶句している。
「洋平・・・これは色々大変な事かもしれません。」
「文字が読めないんで、なんて書いてるか読んでください」
するとアイヴィがプレートを読み始めた。その後ろにライラとおっさんが食い入るように見ている。三人の表情は険しい。
名 ササキ ヨウヘイ
年 21
種族 ヒューマン
職業 創造師
ギルドランク F
精神力 ×640000
アイヴィがプレートを読み終えた。精神力64万かその前に×とあるから計測中に計りきれなくなって水晶が壊れたのか。となると俺の精神力は異常なんじゃないか。それでみんな驚いているんだな。てか職業創造師ってなんだ創造作る事か、確かにプラモは趣味だしな。でもそれなら創造というより造形とか細工な気がするが。妄想もするから想像とかけてるのかな。てか魔力の資質は?
三人が固まっている中、沈黙を破ったのは俺だ。
「んで、それはどうなんすかね?」
三人共だんまりである。
「とりあえずセリーヌ様に報告してきます。洋平はここから動かないで下さい!」
アイヴィが急いで扉から出て消えていった。俺を一人にしないで欲しいものだが。プレートはアイヴィが持って行ってしまった。
「ごほん、挨拶が遅れた。ワシはこのギルドマスターのセクターだ。」
そういって手を差し出してくる。俺は握手に応じた
「初めまして、洋平と申します。それでなにが大変なのでしょう?」
俺が聞くとまた黙ってしまった。もしかして俺って魔法使えないんじゃ・・・
すると扉が蹴破られセリーヌとそれに続いてアイヴィが入って来た。
「セクター場所を変えるぞ」
「こっちへ」
セリーヌが声をかけるとセクターが応じる。それについて俺とアイヴィがついていく。ライラは返された。すると豪華な部屋に案内された。セクターの部屋だろう。
「適当に座ってくれ」
そういってセクターは自分の椅子に座り頭を抱えた。その先にあるソファーに俺は座ると同時にセリーヌが膝に座って来た。真剣な顔である
「よーへー。お前何者にゃ?」
「自分でもわかりません。この世界の者でないのは確かです。」
そういうとセリーヌは反対側のソファーに座って考え込む。
沈黙って耐えられないんだよな。アイヴィが隣に座って俺の手を握っている。
するとセクターが沈黙を破る。
「まずプレートについて説明するか。そのプレートと水晶はリンクしていて水晶に触れた者の情報をプレートに刻むのだが、その水晶が割れたことは今の今まで一度も無い。たぶんお前の精神力を計りきれなかったのだろう。」
「64万が異常な数字なのですね?」
「いや、64万程度なら計りきれるはずだ。実際に一人でそこまでの精神力を持ったやつは見たことがないが。その前の×が問題なのだ。洋平は64万では無い。最低でも64万以上はあるはずだ。そこまでしか計り切れなかったのだろう。普通に戦闘をしない民間人の精神力は10000あれば高い方だ。30000あれば冒険者になるものが多い。ワシは昔Aランクだったのだが。ワシの精神力は99000だ。」
「ふむ・・・」
これはちょっと異常な数字だな魔法を使い放題じゃね?ヒャッハー!
「しかし洋平は残念ながら魔法を使えない。資質が判断されなかった。この世界にも稀に資質を持たない者もいるが。」
「つまり宝の持ち腐れと言う事ですか?」
「いや、全く無駄と言う事では無い。精神力、すなわち魔力だが、魔力を使い身体強化をすることが出来る。自分の体を魔力で覆い普段以上の力を発揮するのだ。」
「つまり物理で戦えば問題ないと?」
「そうなのだが・・・」
「そっからは僕が話すにゃ」
セリーヌが目を見開いてこっちをまっすぐ見つめる
「精神力が高くても使いこなせなければ宝の持ち腐れには違いないにゃ。身体強化、魔力操作は非常に難しいのにゃ。普段の戦闘の中で自然に出来るようになるには10年は必要だにゃ。それに比べて魔術は精神力があり、資質があれば誰でも使えるにゃ。威力等は使っている内に徐々に強くなっていくにゃ。でもよーへーは魔術が使えないにゃ。」
「10年か・・・」
10年かけても普段の戦闘で使えるようになっても俺の魔力を使い切るには至らないのではないだろうか。
「アイヴィ。自分のプレートを読み上げるのにゃ」
「はい」
名 アイヴィ オールエン
年 32
種族 ハーフエルフ
職業 魔導騎士
ギルドランク A
火魔術 4
風魔術 4
精神力 120000
アイヴィ32歳だったのか!?エルフは長寿だから若い姿を保持するとかなのか。だったらアリだな。っとそんな事じゃないよ。
「こうゆうのが普通なのにゃ。魔術の項目がよーへーにはないのにゃ。つまりこれは魔術が使えない事を意味する。」
がーん
「そして魔術が使えないのなら、精神力はどうでもいいにゃ。問題は職業にゃ。創造師という職業は魔術を作った祖が名乗っていたのにゃ。今の世界にはたった一人も居ないのにゃ。創造師は魔術を創造し今現存する魔術の根底を作ったとされてるにゃ。そして魔術以外にも様々なものを創造したとされてるにゃ。例えば魔道具の元となる古代兵器は全て創造師が作ったとされてるにゃ。」
するってーと創造師ってのは凄いんだな。俺すげー。魔法使えないけど。
「よーへーは自分の世界で創造をしたいたのかにゃ?」
「まぁ、それに近い事はやったいたと思います。」
まぁオリジナルプラモは創造だしな。否定する訳にはいかん
「だが魔術が使えないのでは意味がないのにゃ!!よーへーはどうしようも無いのにゃ!使えないのにゃ~」
「大丈夫ですよ。私と一緒に魔力操作の特訓をしましょう」
アイヴィが手を強く握りフォローしてくれる。そうだ。全く希望が無い訳では無いのだ。頑張って肉体強化、魔力操作を覚えて、余りある精神力を使いまくるんだ!
「とりあえずこの事は内密にしよう。ライラには強く言っておいたから大丈夫だろう。出来れば王の耳にも入れたくない事だな」
セクターが結論を出した。別に使い物にならないんだからいいんじゃないか。
「とりあえず、帰るにゃ~。よーへーもせめて僕の足になるのにゃ。ただで家に居れると思わないことにゃ。」
そういってセリーヌは俺の頭によじ登ってくる。
「いけーよーへー!」
いい返す言葉が無い。仕方ないから肩車の状態でセクターの部屋を出る。そして外まで行って三人でポータルストーンで家まで帰った。
これからいったいどうなることやら・・・
チートはテンプレ あとがき初めて使用。変だったら謝る。