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DT


ルドルフと食事をした後俺達は二人で早速作戦に取り掛かった。まず向かったのはミカトレアのギルドだ。セクターの紹介状を持っているからそれを十分に活用させてもらおう。


「そういやルドルフはギルドに入ってんのか?」

「おう。当然だ。俺はランクAだぞ。」

「ふーん。まぁそんなもんか。」

「洋平もAなんだろ?」

「ん?まぁそうだな。だがランクなんてのは飾りだ。」

「そうだな。だがその飾りも大事な時があるだろ?」

「そうだな。今がその時だ。」


俺達は二人でギルドの扉と開け中に入って行く。ルドルフを一目見た冒険者達はみんな明るい顔をして声を掛けてくれる。その人ごみを掻き分けてギルドのカウンターへたどり着く。カウンターに居るのはガフ族の女性。ガフ族の女性のレベルにしては平均的な顔つきだろうが。胸の大きさに関しては他の追随を許さないレベルである。


「ルドルフ様。こんにちは。本日はどの様なご用件でしょうか?」

「いや、今日はこいつの付き添いだ。俺の命の恩人でもある。こいつは怪しいやつじゃないから安心してくれ。俺が保障する。」

「わかりました。ではそちらのヒューマンの方は初めましてですよね?ようこそいらっしゃいました。」

「初めまして。ウィンストハイムから来ました。洋平です。これをここのギルドマスターに渡してほしいんだが。」

「わかりました。ルドルフ様のご友人ですからね。一応規則の為にギルドカードの確認をしたいのですがよろしいですか?」


俺はセクターから預かった手紙とギルドカードを渡した。しばらくギルドカードを見ていなかったが、Aランクと表記されてるのを確認しただけだ。受付が俺のギルドカードを見た瞬間、一瞬で顔つきが険しくなる。


「ルドルフ様。」

「どうした?何か問題でもあったか?」

「いいえ。ですが本当に洋平様は信頼出来るのですね?」

「あぁ。悪い事をするようなやつじゃない。」

「わかりました。一応ルドルフ様もカードの提示をお願いします。」


ルドルフもカードを受付に渡す。


「わかりました。すぐマスターにお話してきますのでしばらくお待ちください。」


そういって受付は席を立ちギルドカードを二枚返してくれた。そういえばギルドカードには精神力が表記されるんだよな。俺はルドルフのカードを覗いた。


名 ルドルフ・パーシバル・アレク・ドゥラ・ミカトレア

年 21

種族 ガフ

職業 ミカトレア第5王子・モンク

ギルドランク A

火魔術 5

精神力 490000


「タメかよ!」

「いやそこじゃねーだろ。すげーだろ?」

「いや、別にそこまでじゃねーよ。」

「何?俺より精神力が多い奴なんて見たこと無いぞ。」

「俺もお前程高い精神力を持ってる奴なんて見たこと無いぞ。」

「ちょっとお前のプレートを見せてくれ。」

「ほれ。」

「お前・・・。まさか・・・」


俺は俺のプレートを見て固まってしまったルドルフの持っている俺のプレートを覗き込んだ。


名 ササキ ヨウヘイ

年 21

種族 ヒューマン

職業 創造師・精霊の使い

ギルドランク A

水霊術 1

精神力 ×640000


えーと・・・。自分のプレートを見た俺も固まってしまった。まずどこから突っ込めばいいのか。職業に精霊の使いが入ってる。これはウェンディから封印を解いて回れと言われたから付いたのか。そして水魔術じゃなくて水霊術か。これはなんだ。水魔術の上だと思われるが、水の試練を突破した者に与えられるのか。そして相変わらずの精神力だな。


「お待たせしました。ギルドマスターがお会いになるそうです。こちらへどうぞ。」


その時、受付が帰って来て声を掛けられ二人とも正気に戻る。二人で受付の人に着いていき、ギルドの二階にあるマスターの部屋に向かう。


「マスター二人をお連れしました。」

「どうぞお入りください。」


中から野太い丁寧な声がして少し恐怖にかられるが、部屋の中に入ってさらに恐怖が襲う。


「ルドルフ様お久しぶりでございます。」

「お久しぶりです。そんなにかしこまらないでください」

「ですが、精霊の使い様の前ですので。」

「ですが、もう少し肩の力を抜いてください。」

「わかりました。精霊の使い。洋平様。お初お目にかかります。ミカトレアギルドのギルドマスターのウッドです。」


そう名乗ったギルドマスターのウッドは非常に大きい体つきをしており、身長が2メートルはあるだろう。そして野太い声だが非常に丁寧な話し方、物腰。セクターと同じギルドマスターはみんなこんなにいい人なのだろうか。非常に人望も厚そうだ。ただしこの部屋の趣味はいただけないが。このギルドマスターの部屋には無数のモンスターの模型や怪しい液体がぐつぐつしてるフラスコ等。非常に悪趣味である。


「初めまして。洋平です。本日はお願いがあってまいりました。が、その前にいくつか質問があります。」

「はい。私にわかる事ならば何でもお答えします。」

「精霊の使いってなんだ?」

「「「え?」」」

「え?」

「おい、洋平。お前精霊の使いなんだろ?自分の事を知らないってどうなんだ?」

「いや、精霊の使いになった覚えはねーよ。いや、覚えはあるか。」

「精霊の使いは精霊に認められた者が呼ばれる呼び方です。洋平様は精霊とお会いした事があるのではないですか?セクター殿の手紙にはそのような事も書いてありましたが。」

「水の精霊ウンディーネに会った事はある。そして各地の封印、試練の事だが、それを解いてくれとお願いされた。」

「たぶんその事でしょう。それでお願いごとと言うのは試練の事ですね?」

「そうなんだが、もう一つ。質問がある。水霊術とはなんだ?」

「水霊術とは水魔術を極めた者が成れると聞いておりますが詳しい事はわかりません。」

「なるほど。わかった。」

「洋平後でゆっくり話そうな。」

「それで試練の事ですが、この国の試練を受ける内容の一つにギルドに貢献し、尚且つAランクと言う条件なので大丈夫でしょう。私はセクター殿にはお世話になりましたし、精霊の使いと言う事になれば誰も文句は言わないでしょう。あとは王様に認められるだけですね。」


ふむふむ。これは予想外だ。精霊の使いと言うのが非常に大きい。これは作戦に少し修正を加えなければならないな。だがやるべきことはやらねばなるまい。


「わかった。でも周囲の目を認めさせるために何かしら依頼は受けておきたいな。何か大きな依頼は無いですか?」

「ふむ。その心意気。見事です。流石は精霊の使いと言う所ですか。大きな依頼ですか。そうですね。東にある森で暴れてるオークの群れですとか。常時依頼ですと南の草原のペアウルフの討伐ですとか。後は最近名を上げている盗賊も居ますね。」

「その盗賊ってのは変な名前の盗賊団か?」

「そうですね。旅の風の団とかいいましたか。結構大きな規模のようで、人攫いや強盗等手広くやっているようですね。」

「タナスと言う男を知っているか?」

「タナスですか?えっとその様な男は存じ上げておりません。」

「そうなのか。」

「調べておきましょう。」

「わかりました。よろしくお願いします。ではまた後日改めて伺います。」


こうして俺達二人はギルドを後にした。時刻は陽が沈み始めた位だ。ギルドで結構長い時間話していたらしい。俺とルドルフは二人でルドルフオススメの居酒屋みたいな所に入った。そこでルドルフの質問攻めに合う。


「おい!いったいどうゆう事だ。!?」

「何が?」

「色々だよ!もう俺は洋平が何者なのかわからなくなってきたぞ。」

「まぁいいじゃねぇか。俺も知らなかったんだし。」

「精霊の使いってのはなぁ。俺の知る限りでは今この世界には誰も居ないぞ。」

「目の前にいるじゃねぇか。」

「くそー俺も火の試練でも受けたら、まともに魔術が使えるようになるのかな」

「お前じゃ無理だろ。」

「だよなぁ。あーもう洋平と居ると疲れるぜ。今日はとことん付き合ってもらうぜ。」

「そういや。前に言ってた夜の誘惑ってなんなんだ。」

「もうそろそろいい頃合いか。洋平は町の西地区にはまだ行ったことが無いだろ?」

「そうだな。」

「西地区は夜に姿を現すんだよ。昼とは顔が変わるぜ。」

「もしかして繁華街なのか。」

「そうゆう言い方もあるな。よし。とりあえず行くか。」


俺とルドルフは店を出て西地区へ向かう。すると目に飛び込んできたのは、輝くネオンの数々。色とりどりの魔術が飛び交い華やかさを演出している。昼はスラムのような印象を受けていた西地区が様変わりしていた。人でごった返している。


「どうだ。凄いだろ?」

「あぁ。これは誘惑に負ける自信があるな。」

「まぁまずは一番奥の建物に行くか。」

「何があるんだ?」

「それは中に入ればすぐにわかるさ。」


西地区のメインストリートの奥に巨大な横長の建物があった。そこに自然と入って行くルドルフ。中には左右にガラスで仕切られた部屋がずらりと並んでいた。部屋の大きさは12畳程度。中央に間仕切りがされている二部屋構造。奥の部屋は真っ暗で外からは何も見えない。そして一部屋に一人。ガラスの中に女性が居り、それがずらりと並んでいる。ガフ。ヒューマン。エルフ。そしてドワーフ。すべて女性ばかりである。


「ルドルフ・・・。ここってもしかして・・・」

「あぁ。見ての通りだ。洋平なら言わなくてもわかるだろ。」

「あれか一万円ぽっきり最後までってやつだろ。」

「何言ってんだ。意味がわかんねーぞ。」

「ここはよく来るのか?」

「あぁ、ほぼ毎日だ。」

「毎日!!」

「ガフ族は基本的に繁殖力が強い種族なんだ。適度にやらないとな。」

「この変態め!!」

「なんだと!?じゃあ洋平は行かないんだな!?」

「ぐぬぬ・・・おおおおおれにはアイヴィって心に決めた人が居るからな!こんな所に行くはずがないだろ!?」

「なんだびびってんのか?」

「何!?俺がビビる訳無いだろう!ただ俺は本当に好きな人としかしないんだよ!普通だろうが!」

「なんだ童貞なのか?そりゃ残念残念。」

「お前だって素人童貞だろうが!」

「ほー。んじゃ俺は行って来るぜ。適当に夜の町を楽しんでろよ。終わったら迎えに行くからよ。」

「来るな!変態!」

「いやー。あのダークエルフのエマちゃん可愛いんだよなー。」

「ダークエルフだと・・・」

「あのボンキュッボンたまんねぇなぁ。んじゃ行って来るぜ!もう爆発寸前だ!」

「ボンキュッボン・・・」


俺の頭はボンボンボン・・・




オマイラ・・・

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