火の試練
牢屋の中に裸の男二人・・・
「そういえば自己紹介をしてなかったな。俺は佐々木洋平だ。洋平と呼んでくれ。今は四大巡業をしている最中だ。」
俺はルドルフと向き合い話し始める。
「へぇ四大巡業ねぇ・・・。まぁさっきの魔術を見たら強さは納得いくが、なんでまた四大巡業をしようと思ったんだ?」
「それは嫁との約束だからな!」
「な!お前!結婚してたのか!?」
「いやしてねーけど!」
「じゃあ嫁ってなんなんだ!」
「ちょっと長くなるけど聞いてくれ」
「まぁしばらくはここから出れないから時間は十分あるさ」
「しばらくってどれくらいだよ?」
「前回ここに入った時は10日だったな」
「まじかよ・・・」
「さぁ洋平の話を聞こうじゃないか!」
俺はアイヴィの事をルドルフに話した。俺がこの世界に降り立った所からだ。当然俺の正体も話す。俺がこの世界の者で無い事も。アイヴィはカルにやられてしまった事。そしてアイヴィと四大巡業をする約束をした事。無暗にこの事を話すのはよくないのはわかってる。だが、ルドルフは信用出来ると感じた。だから話した。でもすべてを話した訳じゃない。隠すところは隠した。話を美化し3割盛る。
「っとまぁこんな事で風の試練をほっぽりだして、火の試練を受けようと思ってここにきたって事だ。」
「洋平はいいやつだな!」
「感想が簡潔すぎる!どうしてそうなるんだ!」
「だって今は亡き嫁との約束を果たそうとしてるんだろ!いいやつじゃないか!俺も助けてくれたしな!」
「いやアイヴィは死んでねーし!それと目の前で困ってる人が居たら助けるのは当然だろう!」
「そのアイヴィって死んだんだろ?」
「一応表向きでは死んだことになってるが、俺は生きてると信じてる。俺がこの世界に来たようにアイヴィもきっと俺の世界で俺の帰りを待っててくれてる!」
「それで元の世界に帰る為に四大巡業をしてるのか。」
「まぁそうゆう事だ。」
「う~ん・・・」
「どうした?」
「いや火の試練なんだがな。誰でも受ける事が出来る訳じゃないんだ。」
「なんだと!?」
「王族か相当の力を持った貴族。ギルドで功績を上げたAランク以上の者。武術大会の優勝者。そしてその条件を満たし今の王。まぁ俺の親父なんだが、ヴォルグ王に認められた者しか火の試練を受ける事が出来ない決まりになってる。」
がーん・・・。つまり俺に可能性があるとすればギルドに貢献するか武術大会で優勝するしかないのか。ギルドに貢献するってのはセクターの紹介状があるから大きな仕事でもあればなんとかなりそうだが。武術大会は嫌だな。目の前にいるルドルフ強そうだし。正直生身で勝てる気がしない。魔術が使えればいけるかもしれないが。そして一番の問題が王に認められた者ってやつだな。王子をこんな所に閉じ込めておく位だからまともなはずが無い。
「俺とルドルフ王子?様はもう友達だよな?」
「急に畏まるな。今まで通りの話し方で大丈夫だ。それとルドルフでいい。もう友達以上だろ。お互い裸の付き合いしてるんだし。」
「ギルドに貢献ってのはなんだ?」
「歴史的に価値のある物を発見したり、強い魔物を倒したり、町を守ったり色々だな。」
「武術大会は魔術禁止?」
「いや、禁止ではない。ただ使いにくくする結界はある」
「ルドルフも」
「当然出る。」
「次は~」
「だいたい30日後だな。」
「王様は」
「頑固だな」
我が国。日本には忍者と言う忍ぶ者が居る。夜にこっそりやればいいのではないか。
「火の試練だけでいいんだ。夜中にこっそり忍び込んで受けるのは?」
「それはいくら洋平でも俺が許さない。国の民が危ないからな。」
「どうゆうことだ?」
「試練の内容を実際に見た方が実感が沸きそうだな。今から見に行くか。」
「ほえ???」
「おーい!誰か居ないかー!」
ルドルフが大声で牢屋で声を上げると一人の門番らしき人が走って来た。
「ルドルフ様!お呼びでしょうか!」
「俺達は今から反省の為、焦熱の刑を受けて来る!」
「かしこまりました!直ぐに準備を致しますのでお待ちください!」
門番はすぐに走り去って行った。ルドルフに焦熱の刑と言うのが何か聞こうとしたらすぐに先程の門番がやってきて牢屋から出る。そしてそのまま門番に着いていき城の中を歩く。もちろん裸だ。でも廊下に人は誰も居ない。人払いでもしてくれたんだろうか。俺は考えを巡らせながらひたすら歩いていく。城の中を歩き、城を出てから馬車に乗せられる。そして馬車に揺られながらミカトレア大火山に向かう。馬車の中でルドルフに色々聞いたがはぐらかされてしまった。山の麓に来たところで馬車から降ろされ目の前で青白く光る魔法陣を目にする。門番とルドルフは迷う事無くその魔法陣に入って行く。俺も魔法陣の中に入ると魔法陣が薄く輝き一瞬で景色が変わる。そして目の前にマグマの海が広がる。先程の魔法陣は転移魔法陣だったらしい。俺は初めての経験だったが、ポータルに少しは慣れたから多少の驚きはあったものの戸惑いはしなかった。
「ここはミカトレア大火山の火口だ。そしてあそこにあるのが火の試練だ。」
ルドルフが指さした先を見ると火口のマグマの上に島が浮いている。その島には台座とその上に置いてある燭台。青い炎を出し燃えている。そしてその横にある牢屋。
「どうやってあそこまで行くんだ?普通なら橋を渡して貰うんだが、要らないだろ?」
そういってルドルフは走り出し火口の上に浮いている島に向けてジャンプした。無事に島に着地する事に成功した。浮島はビクともしていない。きっとなにかしらの魔法でもかかっていて浮いているのだろう。しかし無茶をするなぁ。一応王子だろうが。
「おーい!洋平も来いよ!」
ちらりと門番を見ると申し訳なさそうな顔をして長い橋を手に持ったまま佇んでいる。
「あーもう!!落ちたら助けろよ!!」
「落ちたら死ぬぞー!」
「笑いごとじゃねぇよ!!」
ルドルフは笑いながら仁王立ちをしている。裸なのだが堂々としているので、逆に何かしらのかっこよさを感じてしまう。俺は意を決し、助走をつけてジャンプする。浮島の大きさは直径10メートルはあるので目標としては十分だ。ルドルフのいる地点を目がけて飛んだのでこのままでは裸の男に直撃してしまう。俺は空中で一回転をし、ルドルフに向けて足を向ける。
「ライダーキック!!」
「甘いわ!!」
俺の蹴りを躱すのではなく受け止める。そしてそのまま足を掴み反対方向へ投げられた。
「おい!」
「あ!しまった!つい!」
「ついじゃねーよ!!アイスウォール!!」
俺は空中で足場を作り出しまたジャンプして浮島へと無事着地する。
「マジで死ぬかと思ったわ!!!!」
「まぁ生きてたからよかったじゃねーか!」
「いい訳ないだろうが!!!寿命が縮んだわ。」
「それよりほら、あれが火の試練だ。」
ルドルフに文句を垂れながら中央の台座へ向かう。台座の上に美しい燭台があり青い炎を灯している。そしてその台座に書かれている説明文を読む。
汝、我の力を求める者よ。燭台の火を消したまえ。さすれば我が力、貸し与えん。
なんだ楽勝じゃん。っと思ったがその下にまだ続きがあった。
火を消せば火山は噴火しお前もろともミカトレア地方をマグマが襲う。さぁ火を消し我が力を手に入れよ!
「俺が消えてしまうわ!!!」
本当は昨日投稿予定でしたが間に合いませんでした。
PCで日本語入力出来ない現象について原因がわかりました。IMEが無効です。これどうやっても直せない。直し方知ってる人教えて欲しいにゃん!!




