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女王の過去

土曜更新の予定が・・・


里から離れてどれくらい経っただろうか。もう一時間以上走っている気がする。ランスは森の中をドンドン進んで行く。道無き道を進む。俺に合わせているのか時々振り返り俺を確認してくれる辺り優しさに溢れている。ランスには道が見えているのか、迷うことなく進む。この道を最初は覚えようとしたが無理だった。すると森が終わりを告げ、林が現れる。木々の隙間から光が差し込んできており、今までの暗さは無い。先を見ると木々は先の方が少なく感じる。ランスは立ち止まり近くの木の幹に腰を下ろす。


「すまなかった。やはり無理してでも着いていくべきだった。」

「いや、謝られても困るんですけど・・・」

「リソワ様があのようになったのは最近の事では無い。昔から何かあるとすぐあの様に暴れるのだ。しかしここ数百年は無かったのだが、先日セリーヌ様の元へ行って帰って来てからの事だ。」


ランスの話によるとリソワは俺がカルと戦っていた時にアイヴィから髪飾りを通じて危険を感じ取った。そして物凄い勢いで里を飛び出した。里を飛び出したリソワは今まで見たことも無いような速さで走った。ランス達は全力で追いかけた。だが着いた時にはもうすでに時遅し。アイヴィはすでにこの世を去った後だった。セリーヌと話をし、すぐに里に帰った。里に着いた瞬間。リソワは我を失ったかの様に暴れまわった。ランス達はリソワの気持ちがよくわかっていた。


リソワには子供が一人居た。今から数百年前にリソワは当時の王の子供を授かった。元々エルフと言う種族は長寿の種族だ。個そのものが長生きするのだから繁殖活動はほとんどすることはない。一生のうちに一度子供を産めば十分だった。リソワの子。名を「ミュウ」女性のエルフである。王の子供を授かったリソワは王族の仲間入りをする。王には他に2人の嫁が居た。王の優秀な遺伝子を残すために子供を残す。それがエルフの王の役割の一つなのだ。嫁は一人産めば十分なので次の嫁候補が現れる。エルフの王に子供は計三人。すべてが順調だった中、問題が起きる。エルフの王は風魔術が使える。リソワを含む三人の嫁も風魔術を使える。その子供も当然風魔術を使えると思われた中。リソワの子供だけ風魔術が使えなかったのである。リソワはその事実が判明した後、ひどい迫害を受ける事になり里を追われた。リソワは里を出てミュウと二人で暮らしていた中、150年前の大戦が起こった。魔族はエルフの里を襲った。リソワは急いで里に戻り、魔族と戦い魔族を退ける事に成功した。リソワは一騎当千の活躍で里を救った。しかし戦いの中、エルフの王は戦死した。指導者を失ったエルフの民は次の王を誰にするか議論した。その場にリソワの姿は無かった。議論はいつまでも続いたが結論は出なかった。その中リソワは風の精霊との契約を果たす。リソワは里に留まり里と民を守る事を誓った。いつまでも王が決まらない議論の中にリソワが乱入し、私が民を導く。と言い出した。だがエルフ王は今までは男性が務めていた。里の男達は反対した。だがリソワに勝てる男は居なかった。様々な反対の中、リソワは女王に君臨することになる。しかしリソワに向いていた目が今度はミュウに向けられた。リソワに勝てないからミュウにちょっかいを出し始めたのである。その中でミュウは一人の男性と出会う。里の復興に来たヒューマンの「バト」。バトはミュウがエルフに虐められているのを目撃し、ミュウを守る為に立ちはだかった。ミュウに向いていた目がバトにも向き、二人は迫害を受ける事になる。ミュウはリソワへバトと結婚すると言った。リソワはあっさり認めた。二人が置かれている状況はわかっていたし、里もまだまだこれからの時期だ。ミュウには幸せになってもらいたい。里を離れる事が二人の幸せだとリソワは思った。リソワはミュウと離れ離れになり暮らしていた時一通の手紙が届いた。ミュウから子供を授かったという手紙だった。今はウィンストハイムで暮らしている。との内容だったリソワは口角が上がるのを止められなかった。枯渇の呪いの中、毎日苦しい思いをしていた時に届いた手紙はリソワの心を明るくした。里の復興も軌道に乗り、ようやくひと段落出来る時期になり、リソワは前王の時からの新鋭隊長のランスと共にウィンストハイムに向かった。ミュウの手紙に書かれていた家に着いた。リソワの心は弾んでいた。だが扉を開けた先にミュウは居なかった。ミュウどころかバトの姿も無かった家は荒らされ、悲惨を物語る。リソワはランスと共にミュウを探しにウィンストハイムを駆け回った。その中で路地裏で倒れているバトを見つけ話を聞くとミュウは人攫いに合ったという。リソワの怒りは爆発寸前であった。バトを責めるわけにはいかない。バトにミュウを任せたのは自分なのだから。ランスと二人で情報収集をしたリソワはベイルの裏オークションにミュウが出品されるのを知った。二人は急ぎベイルの町へ行き、力任せに情報を集めミュウが監禁されている場所を見つけた。二人が駆け付けるとそこは沢山の護衛の戦士が居た。しかしリソワはそれをものともせずミュウの場所までたどり着く。しかしミュウは床に力なく倒れていた。ミュウの体を抱き上げる。今まで生きていたかのような温かさを感じる。それが徐々に冷たくなっていく感覚を腕の中で感じながらミュウが胸に抱いている一人の子供を見つけた。ミュウが抱えていた子供ごとミュウを抱き上げ、ランスに預ける。その時のリソワの顔は表現し得ない表情をしていた。そしてベイルの町の半分が消えた。ミュウの亡骸と子供と共にバトの居るウィンストハイムへ戻るが、バトもすでに力尽きていた。リソワは家の中から一冊のノートを発見する。それはミュウの書いていた育児の記録だった。最後のページに名前が決まったと書いてあった。「アイヴィ」それがこの子供の名前であった。リソワとランスは静かにウィンストハイムを後にした。この結果は私が招いた物だと自分を責めた。この子供を里に持ち帰れば、今までの繰り返しになるのではないか。リソワは思案した。自分に不満を抱く者は居る。だからようやく軌道に乗った里に問題を持ち込む訳にはいかない。リソワは信頼の置ける6勇者のセリーヌを頼った。自分と同じ血を引く家族をこの世で一番信頼している人に預けたのであった。



「そんな過去が・・・リソワはアイヴィの・・・」


俺は溢れ出る涙を抑えきれなかった。


「だから洋平殿にもリソワ様の気持ちもわかってほしい。」

「はい・・・」

「今はまずい。また時間を置いて訪れるといい。」

「謝らなければ・・・」

「そうだな。その時は俺も一緒に頭を下げよう。そうだ。これを渡しておこう。」


ランスは見事な刺繍のついたハンカチを渡してくる。


「これはリソワ様の前の王がくれた俺の大事な物だ。これをエルフに見せれば話をちゃんと聞いてくれるはずだ。この場所は7日に一度エルフが見回りに来る。来た人に俺の名前とそれを見せればエルフの里まで案内してくれるはずだ。」

「泥棒とかって思われないですかね?」

「話をするときは洋平もそれなりの態度を取れば大丈夫だろう。畳に顔をこすりつけたりしなければ大丈夫だ。」

「そうですね。ありがとうございます。」

「では、そろそろ戻らねば。また会える日を楽しみにしていよう。この道をずっと行けばガフ族の集落が見えて来るはずだ。もっと先には火の精霊の居る場所もある。洋平殿の目的は四大巡業なのであろう。先に火の精霊の元に行くのもいいのではないか。」

「わかりました。」

「俺達を殺さない策をちゃんと考えて来てくれよ。では失礼。」




書くのに手間取った・・・(嘘ですごめんなさい


忙しくて疲れて寝てしまった!最近書けてない!

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