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女王の気持ち


おいおい。なんじゃこりゃ。無茶にも程があるだろう。確かにこの風車を止めれば力は手に入る。しかしエルフ全ての命を引き換えだと・・・。そんな事出来る訳無いじゃないか。


「詰んだ・・・。無理ゲー。どう考えても俺には出来ない。」


俺は祭壇の風車を見つめ、説明文を何度も読み、その文章に隙が無いか確認した。しかしどこにも隙は見つけられなかった。なぜならはっきりとエルフの命と引き換えと書いてあるからだ。思いついたのはこの里から全てのエルフを移動させて風車を止める。これは現実的では無い。そしてリスクもある。里のエルフの命を引き換えと書いていたらいいのだが、何も書いていない。里を離れたところで死なないとは限らない。このリスクがある限りこの策は使えない。他にもいくつか思いついたがどれもリスクを伴う可能性がある。可能性がある時点でダメなのだ。1%でも可能性があればそれは起こりうる。俺は頭を抱え祭壇を後にする。


「どうした。試練を受けるんじゃないのか?簡単な問題じゃないか。ほれ、これで終わりだ。」


リソワが足元に落ちている小石を拾い風車に向かって投げる。俺は慌てて風車の前まで移動し石を払いのける。


「何をしてるんだ!」

「何?洋平の手助けをしてやろうと思ってるだけじゃないか。」

「エルフのみんなが死ぬんだぞ!リソワ様も死ぬんだぞ!ダメじゃないか!こんな試練出来る訳が無いじゃないか!!」


俺は足元から崩れ落ちる。


「やはりこの世界の者では無いお前でも私を殺す事は叶わぬか。」

「一体どうゆう・・・」

「さぁ帰るぞ。しっかりついてこないとはぐれて一生ここから出られなくなるぞ。この階段は幻術がかかっているからな。普通の者はここにたどり着く事さえ適わんさ。」


リソワが踵を返し走り出す。俺も急いで祭壇を後にし追いかける。試練をクリア出来なかったことは悔やまれるが、考えていても仕方がない。一度戻りリソワと共に策を練るのが一番だろう。俺はリソワの後を追い階段を降りるが登るより降りる方が難しい。飛び飛びで距離を稼ぐにしても下りは足場が小さく見える。下手をすれば転んでしまう。その間もリソワは流れるようにドンドン先に進んで行く。もうすぐ見えなくなりそうだ。俺は焦る。


「速すぎんだろ・・・。アイスメイク!」


アイスメイクで氷のボートを作り出しそれに乗る。大きめに作り段差による衝撃を無くす。ボートはドンドンスピードに乗りリソワの影が徐々に大きくなってきた。このままいけばリソワを追い抜ける。


「いぇーい」


リソワの横を通り過ぎる時にダブルピースをする。これを見たリソワがスピードを上げボートの先端に飛び乗って来た。


「楽をするな。」

「いやリソワ様めっちゃ速いっすから。」


またしても俺を見下して話してくるリソワに変な性癖が目を出すが押し殺す。リソワが俺を一瞥し空へと飛びあがる。目の前からリソワが居なくなった事で目の前に開け放たれた門が現れランスが立って居た。


「あれ。これどーやって止まるんだ。ランスさん受け止めてくれ~」

「おい!止まれ!!このままでは!ぐはぁ・・・」


ランスにボートが直撃し、そのまま屋敷の壁へ激突してボートが止まる。


「ふぅ~。危なかった~。ありがとうランスさん。」


ランスは返事をしない。どうやら意識を刈り取ってしまったようだ。氷のボートを溶かして消した。すぐ後ろにリソワが着地する。


「無茶苦茶だな。」

「すいません。」

「まぁいい。着いてこい。」


リソワに促されランスを置いて着いていく。いくつかの扉を潜り着いた先は畳が敷いてあり少し感動する。リソワは土足でずんずん入って行くが、俺は条件反射で自然に靴を脱いで靴をマジックバックに入れ着いていく。


「ここで待っていろ。着替えて来る。」


リソワに言われた通り、座って待つ。畳の感触が懐かしく。正座が自然と成る。しかし足の感触では飽き足らず床を舐めるかのようにうつ伏せになり、頬擦りする。もうこの懐かしさに衝動を止めることが出来なかった。リソワが戻ってくる前に止めなければ、だがこの畳の感触は俺を離してはくれなかった。リソワがまたも目のやり場に困るような薄いピンクの服に着替えて戻って来た時も俺は頬擦りをしてリソワに軽蔑の目を向けられた。すぐに体制を立て直したが、時すでに遅し、また新たな性癖に目覚めた瞬間であった。


「さて、洋平よ。これからどうする?」

「策を練ろうと思います。」

「私達を殺す策を練ると言うのか。私を目の前によくその言葉が言えたものだな。私はこのエルフの民を纏める女王だぞ。そのような事を許すと思うか。」

「大変失礼致しました・・・」


それも当然か。今この場所に居るのは俺とリソワだけでは無い。他の付き人らしい人も大勢居る。敵地に一人で放り込まれている状況だ。言葉は慎重に選ばなければならない。ならないが、しかし。


「ですが・・・アイヴィとの約束なので・・・」


俺は顔を上げ、リソワを見つめる。


「どの口が彼女の名前を出した。」


リソワの表情が一変し怒りの表情に変わる。


「アイヴィが生きていればお前は試練を受けアイヴィを殺したと言うのか!」


そんな事ある訳が無い。


「アイヴィはなぜ死なねばならなかった」


なぜ?アイヴィは・・・


「アイヴィはお前が守ってやれなかったから死んだのではないか」


違う。アイヴィは・・・


「私はお前に強くなれと言ったはずだが」


リソワは静かに立ち上がる。


「お前は強くなる努力をしたのか。」


リソワが宙に手をかざすとどこからともなく美しい抜身の剣が現れ握られる。


「貴様にアイヴィの何がわかる。彼女の生い立ちを知っているか。両親の事は。どのような経緯でセリーヌに預けたか貴様に分かると言うのか!」


リソワが剣を上段から俺目がけて振り下ろす。俺は何かに突き飛ばされて、その場から転がるようにして離れる。リソワを見ると俺の居た場所を剣が突き刺していた。そして俺を突き飛ばしたランスが俺を庇うように前に立ちふさがる。


「ランス。そこをどけ。退かぬなら斬る。」

「洋平殿!逃げるぞ!!」


ランスが俺の手を引き屋敷から飛び出す。


「に~が~す~か~~~!!!」


リソワの怒号が響き渡る。


「みんなリソワ様を止めろ!!四重結界だ!!」


ランスの掛け声で周りに居た人が一斉にリソワを取り囲み魔術を使う。リソワの怒号が響き渡る中、俺はランスに手を引かれ里から離れていく。




次回!神回だと思われます!更新遅いですけどよろしくお願いしますにゃん♪

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