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風の試練

今週は短いです。ごめんなのにゃ

床の冷たさで目を覚ます。寒い。今の時期は冬だ。積もるほどではないがたまに雪も降る。体に違和感を感じて自分の体を見る。服を着ていない。そしてここはどう見ても牢屋である。何が起きたのかを把握する。ウォーターカッターで球根を倒し、そのカッターが木々を切り倒して進んで行き、慌ててそれを止めに走ったらエルフの里に着いて屋敷の門の所でランスと一緒にカッターを止めてリソワが現れてカッターを消し去りそこから意識が無い。たぶんリソワが俺を牢屋に入れたんだろう。まぁ命があるだけ幸運か。牢屋であぐらをかきながらこれからの事を考える。すると足音が聞こえ、そちらの方へ視線を向ける。


「やっと起きたか。ちょっと待ってろ。リソワ様に伝えて来る。」


やって来たのはランスだ。俺が目覚めるのを待っていたんだろう。すぐにリソワを呼びに消えて行った。ちょっと話をしたかったのだが。するとすぐにリソワを連れてランスがやってきた。俺は服を着ていないので立ち上げる訳にもいかずあぐらをかいて大事な所を隠し二人を見上げる。リソワは目のやり場に困る。息子が元気になっていくので立ち上がる事は出来ない。


「さて、洋平よ。何をしに来た?」

「四大巡業をするためにやってまいりました。」


俺が四大巡業の単語を出すと二人の顔が一辺してさらに険しい顔になる。


「ほうほう。それは風の試練を受けると言う事か?」

「はい。」

「よろしい。ならば私が案内してやろう。ランス。準備をする。洋平に服を。」


リソワが後ろを向き、そして手に何か桶のような物を持って振り返る。


「この私の話を座って聞くとはいい度胸だな。」


と言って手に持ってる桶の水を俺にかけた。


「冷たいじゃないっすか!」


俺は立ち上がり元気な息子を露わにする。


「デジャヴ・・・」


俺が一人であたふたしているとリソワは去って行った。ランスはリソワに着いていく前に俺に服を渡してきた。俺の装備一式だ。俺は服を着て装備を整える。そしてリソワの準備が出来るまで牢屋の中で暇を持て余す。ウィンストハイムで買って来た。肉の串焼きをマジックバックから出し口に放り込む。そして牢屋を見つめて出れないか画策する。鍵は見当たらないので水を鍵穴に入れて魔力を込め中の構造を把握しようとする。こちら側に鍵穴は付いていないので、牢の隙間から手を出して変な格好になっている。さすがに元の世界の様な複雑な構成ではないだろう。機構は2つしかついていなかった。水を少しづつ固め手前の一つ目の機構を解除する。そして二つ目に取り掛かり解除しようとした時


「何をしている。」

「あ、やべ・・・」


リソワに声を掛けられてびくつく。その勢いで鍵はガチャと音を立てて開いてしまった。苦笑いをしながら扉を開けて外へ出る。リソワは今までとは違い白い装束を着ている。忍び装束に近いだろうか。しかし色が白いので忍ぶ事は無いのだろう。儀式的な何かに使いそうではあるが、非常に動きやすさを重視している。


「・・・着いてこい。」


リソワは何も言わずに後ろを振り向き歩き出していく。後悔の念と共にランスと二人でリソワの後ろを着いていく。


「おい。これ以上リソワ様を刺激するな。」

「聞こえているぞ!ランス!」

「申し訳御座いません。」


ランスが小声で俺に囁いてきたがリソワには筒抜けらしい。二人で黙ってリソワの後を追う。牢屋の階段を登りその先の扉を潜り外へ出る。そこは大きな屋敷の内部では無く、隣に併設されている建物のようだ。あまりキョロキョロしてはダメだと思うが好奇心は止められない。大きな平屋に入り中を進んで行く。日本を思い出させるかのような見事な造りだが、至る所に西洋風なアレンジが見事に調和し、美しくも厳格な雰囲気を醸し出している。中を進み正面の門とは裏側の門の所に来た。非常に大きな門だ。その門を二人のエルフが守っているように思える。リソワの姿を見ると二人の門番は何も言わずに扉を開ける。大きな音と共に門が開かれる。扉の先に現れたのは石畳の階段だ。門の先には山がありその山頂まで階段が続いているようだ。


「ランスは来なくていい。ここで待っていろ。」

「しかし。リソワ様を一人にするわけには!このヒューマンも自分は信用出来ません!」

「洋平は馬鹿猫が信用している。私も馬鹿猫は信用している。」

「ですが!」

「くどい。下がれ。」


ランスは苦渋の表情で後ろへ下がる。


「ここでお待ちしております。」

「わかった。」


リソワもランスは信用しているのであろう。他の取り巻きとは違う感じがする。俺はリソワの後を追い階段へと向かう。


「あいつらが邪魔だな。少し飛ばすぞ。着いてこい。」


リソワが風の様に滑らかに走り出し、俺も慌てて着いていく。


「ちょっと速すぎます!」

「まだ2割だ・・・」

「まじすか・・・」


リソワは物凄いスピードで登って行く。俺はもちろん全力なのだが、この階段がダメだ。普通階段と言うのは登りやすい様に規則正しく一段一段配置されているのが普通なのだが、この階段は違う。まるで登って来る者を拒むかのように一段一段の幅が違う。俺はタイミングを見切れずスピードに乗る事が出来ない。俺は一歩一歩を大きくし、飛び飛びの段数を上げる。それによって足をつく回数を抑えスピードを殺す回数を少なくしたのだ。どれほど走っただろうか。リソワは徐々にスピードを緩め立ち止まる。


「この辺りか」


リソワは立ち止まり辺りを見渡して呟く。俺はギリギリ視界にリソワを入れていたのでなんとか見失う事無く着いて来た。俺は肩を大きく揺らし息をするが、リソワは顔色一つ変えず佇んでいる。さすがは勇者様


「はぁはぁはぁ・・・」

「もう息切れか。情けない。馬鹿猫の元で一体なにをしていたんだ。」

「すいません。階段が中々やっかいで着いていくのがやっとでした。」

「アリエル。私だ。開けろ。」


リソワが階段に向かって話しかける。するとずっと階段だった場所が急にぼやけ、開けた空間が現れた。周りを見ると先に続いていた階段の姿はもうなく辺り一面もやがかかったような場所だ。そのもやが晴れると祭壇が現れる。ここは山の山頂のようでそこが祭壇になっていた。俺は突然の出来事に息する事も忘れ思考が止まる。


「おい。いつまでそんなとこに居るつもりだ。風の試練に挑戦するんだろう。そこの祭壇に試練がかかれている。さっさと行って来い。」


リソワの言葉に我を取り戻し、祭壇に向かう。この山頂は祭壇以外には周りに旗が立って居るだけだ。その旗は風に揺られ揺れている。俺は恐る恐る祭壇へと向かう。リソワは宙に向かって話している。アリエルと言ったか。それが風の精霊なのか。それとも妖精なのか。今の俺には判断がつかない。祭壇に着くと、そこには一本小さな風車が刺さっていた。その風車はゆっくりと回転している。その動きは周りの風を受けての回転では無い。魔力を受けて回転している。その下に説明文がある。


「汝、我の力を求める者よ。その風車の動きを止めよ。さすれば我が力貸し与えん。」


なるほど。この風車の動きを止めればいいのか。もしかすると凄い魔力の力を受けて回っていて難しいのでは無いかと言う考えが頭に廻ったが、説明文の続きがある事に気づきその考えが一蹴される。


「この風車に触れれば、風車は止まる。さすればこのエルフの里に吹く風も止もう。エルフは風と共に生きる種族。風が無ければ誰一人生き残る事は無いだろう。さぁエルフの命と引き換えに我が力を手に入れよ。」



この試練!君ならどう解く!

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