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新天地を目指して


ウィンストハイムを出た俺は一人草原をゆっくり歩いていた。向かうはメルヴィルの森。その先にはエルフの里がある。リソワもそこにいるはずだ。四大巡業は水が終わっているので、後は火のガフ。風のエルフ。土のドワーフだ。ウィンストハイムから一番近いのは風の精霊なのでまずは情報収集も兼ねて顔見知りの居るエルフの里に向かっているのだ。


「あー風が気持ちいな。こんな時はシルバーでもあればもっと気持ちいいんだろうけどなー。まぁ久しぶりに一人だ。旅をゆっくりと楽しもうじゃないか。」


一人でのんびり歩いているとメルヴィルの森についた。未だにこの場所には謎が残る。俺がこの世界に飛ばされて来た時に降り立ったのがここだ。もしかするとこの場所には何かあるのかもしれない。もし他の世界、例えば地獄のような。女っ気の無い場所に一人降り立ち凶暴な輩に捕まったとしたら、拷問の果て殺される事を考えたら。今の現状はなんと幸運なのだろうか。俺は事故で元の世界で死んでしまってこの世界で肉体が再構築されたとするなら、他にも俺と同じような人が居るのではないだろうか。と言う疑問をセリーヌに聞いてみたことがあったが過去にその様な人は居ないという。

森の中をどんどん進んで行く。目的はフォレストラドゥンと戦った絶壁のある場所だ。その上からリソワが来たのなら、その崖に近くにちゃんとした道があるのではないだろうか。セクターにもエルフの里に行く道を聞いてみたものの、あの森の深くはエルフを守る為に森が進路を変えるのだと言う。本当の道はエルフに導かれ現れると言う話だ。だが俺は正攻法で行くつもりは無い。


「おっと。ここか。うわーたけーな。」


眼前に絶壁が現れる。俺はその絶壁をどう上るか考える。


「まぁいい方法なんてそうそう浮かばないよな。さっさと行くか。弱めのメイルシュトローム。」


足元から水の渦が現れ上昇する。俺は足に魔力を集めうまくバランスを取りながら上昇する。


「なかなかバランスを取るのが難しいな。つか凍らせればいいじゃないか。えーっとどうゆう魔術にすればいいんだ・・・。あ、着いた。」


イメージを固める前に崖を登り切った。そして目の前の森の姿に驚く。


「これは、ちょっと常人には無理だろうな。」


その森は大木が生い茂っており、木々の隙間が少ししかない。大木も巨大な葉をつけて太陽の光を遮っている。森の奥からは薄気味悪い音も聞こえる。なんの音かは区別つかない。葉のこすれる音なのか。魔物の足音。まして鳴き声なのか。


「よし。やるか。ウォーターバレット!」


右手の指で昔のチョキのような形を作り銃に見せかけ左手を添える。その指先から水の弾が打ち出され大木へ向かって行く。


「あっちの方に道らしいのが見えるがセクターの言う事を聞けばダミーだろうな。ここは真っ直ぐ突き進む!」


水の弾が大木へぶつかり弾ける。しかし大木はすこし抉れただけで倒れる気配は無い。そして抉れた傷もみるみる治っていく。


「あーなるほどなるほど。エルフを守る森って事ね。森は壊したらダメと言う事か。じゃあそのルールは飲もうじゃないか。アイスピラー。」


足元から氷が現れ氷柱を形成する。俺はその氷柱に乗り上昇を始める。今いる場所は森の奥では無く崖っぷちなので後ろから日光も届いているし上空に木の葉も無いのである。


「おー高い高い。ドンドンいけー。氷でもやはりバランスを取らないといけないな。足元が安定しない。」


氷柱は高さをぐんぐん増していきついに木々の高さを超えた。


「絶景かな。絶景かな。辺り一面、木ばっかじゃねーか。」


木の高さを超えて辺りを見渡す。しかし見えるのは木々の葉だけだ。


「参ったなー。これじゃあどこかわからないじゃないか。よし。次だ次!」


一度氷柱を木の天辺の高さまで下げて木に飛び移る。


「っと。元の世界の俺なら出来ない芸当だが。今は身体強化出来るし、なんとかなるだろう。」


木の天辺から天辺へ飛び移り移動する。予想通り木は丈夫だ。俺のバレットを食らってもびくともしないのだから当然だ。俺はその後も木を飛び移り移動しているが次の木に飛び移ろうと思ったら急に木が左右に避けて空間を作り出した。


「うぉ!?落ちる!ってまさかあれは・・・」


突如作り出された空間に存在したのは大きく口を開けた植物だ。食虫植物の大きいバージョン。作り出された空間で日の光を浴びてその姿を露わにする。俺は落下していく。このままでは食われてしまう。


「あんまりビビらせるなよ。アイスランス!!」


手の平から氷の槍が現れ、食虫植物に向かって飛んでいく。今回のアイスランスは鋭さに特化させて貫くのを目的とした槍だ。これを木に打ち込めば貫通するだろう。何発も打ち込めば倒すことも出来るだろう。でもエルフは自然と共に生きる種族。あまり自然を破壊する事はよしとしないだろう。氷の槍が食虫植物に命中しその大きく開けた口を貫く。これで倒せているとは思うが、このまま落ちるとあの植物の口の中に入る事になる。唾液に溶解液でも含まれていれば触る訳にはいけない。俺は空中で氷の板を作り出し足場にし、食虫植物の居ない開けられた空間に着地する。ポケットドラゴンでやっていた技である。地面を数回転がり衝撃を抑えて食虫植物を見据える。


「やったか?」


アイスランスに貫かれた口はぐったりしている。だがもぞもぞと動き出し、またその口を大きく開きこちらを威嚇し始めた。


「あれは本体じゃないのか。」


よく見ると口の後ろから蔓のようなものが伸びており地面に埋まっている。


「水だと植物を成長させる事になるか。地面にランスを打っても無駄そうだしな。これは地面から伸びている蔓を切ったらいいだろうな。接近戦か。余り自信が無いとか言ってられないな。」


バーンソードを引き抜き食虫植物と対峙する。先に動いたのは食虫植物だ。地面の蔓を伸ばし攻撃範囲を広げてきた。上空から大きな口を開け俺を食わんと襲い掛かって来る。近くで見ると鋭い牙のような物が三重にもなりかなり凶暴な口だ。


「蔓が伸びてるって事はそれだけこっちが攻撃出来る場所が増えるって事なんだよ!」


俺は口の後ろに回り込み蔓を切ろうと剣を上段から振り下ろす。だが蔓はその動きを見切っており蔓をくねくねを曲げ俺の攻撃を躱す。その躱した勢いを使い、蔓で俺の背中を叩き付ける。俺は地面に叩き付けられ、目の前には大きな口が涎を垂らしこちらに向かって来る。


「くっそ!アイスウォール!」


目の前に氷の壁を作り出し、飛びのく時間を稼ぐ。食虫植物はすぐにその壁を噛み砕き。こちらに向き直り威嚇してくる。


「あーもう止めだ止めだ。ツルツルしやがってお前は蔓か!あ、蔓か。もう付き合いきれんし斬れんわ!」


俺はバーンソードを鞘に戻し両手を広げる。


「最初からこれをやればよかったんだ。終わりだ。ウォーターカッター!」


手のひらから水の円盤が現れ高速回転を始める。食虫植物がそれを見て向かって来る。俺は左手で作り出したカッターを口に向かって投げる。それを口は避けて躱す。それはこちらにまっすぐ向かって来た攻撃を中断させる事になる。


「その動きはわかっていたんだよ!食らえもういっちょ~~~」


右手のカッターを地面から出ている蔓に向かって投げる。途中がダメなら根本から断ち切ればいい。カッターが地面すれすれに飛んでいき蔓を断ち切る事に成功した。


「よっしゃー!どんなもんじゃい!」


ガッツポーズを決めて口が力なく倒れる。


「殺すつもりで来てるなら殺される覚悟も出来てるよな。」



スマホから投稿するのがめんどくさいです!一週間で二話しか予約出来ません。また来週までお待ちください。申し訳ありません。

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