冒険の始まり
「起きて下さい。洋平」
体をゆさゆさ揺らされる
「あと5分・・・」
「また水かけますよ?」
「起きました!大佐殿!」
上半身だけ起こして敬礼のポーズをする
「晩ご飯の準備が出来たので食べましょう。」
「ふぁい。ありがとうございます」
馬車の荷台から降りて辺りを見渡す。どれくらい寝てただろうか。ここは森のど真ん中という感じだ。馬車の近くにたき火がしてあり、そこに串に刺さった肉が置いてある。たき火のそばの石に腰掛ける。
「そろそろいい感じですね。」
串に刺さった肉を渡されまじまじと見る
「これはなんの肉ですか?」
「ポグですよ」
「えーーーーー」
「食べないのですか?では私は遠慮なく」
そういって小さな口で肉を食べ始める。正直可愛い。たまらん。
しかし空腹には勝てずに肉にかぶりつく
「ん?んん?ん~~~~!」
「どうです?」
「美味しいっす!」
夢中で肉を食べる。野性味あふれるが、しかし肉がうまい。
「ポグって美味しいんですね~」
「ふふふ」
アイヴィは未だに上機嫌だ。何が楽しいのかさっぱり。
そんな事を考えながら肉を食べ終わった。アイヴィはスープを作ってくれていたのでこれも美味しく頂いた。
「ごちそうさまでした」
なんかこうゆうのっていいな野外デートみたいな感じか。二人きりでキャンプとかなかなかそそるシチュエーションじゃないか。だがここで一つ疑問に思っている事をアイヴィに聞いてみる事にした。
「アイヴィさん」
「はい。なんでしょう?」
「どうして見ず知らずの俺にここまでよくしてくれるんですか?」
「ん~・・・それはですね・・・」
「あ、別に無理に答えなくてもいいんですけど、あのなんていうか気になって・・・」
「今から言う事を誰にも言わないと約束できますか?」
「はい。もちろんです。」
「実は私、妖精が見えるんです。」
「ん~妖精ってーとなんか小さくて羽の生えた小人ってやつですか?」
「そうです!洋平も妖精が見えるのですか!?」
「いや、俺は妖精は見えないけど、なんかそんなイメージかなって」
「そうですか・・・」
「で、その妖精がどうしたんですか?」
「洋平の周りを楽しそうに飛び回っているんですよ。」
「それで・・・?」
「え?まぁ・・・それだけですが?」
「それは理由になっているのかな。」
アイヴィの説明によると、妖精が見えると言うのは生まれ持った才能であり、だが妖精が見える事になんの意味も無いと言う。でも基本的にみんな楽しそうにしているので、いい人には沢山妖精が集まるとの話だ。聞くところによると俺には10以上の妖精が周りで遊んでいるらしい。