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結局リア充

ふーたーまーたー

煙の中からでてきたファングを見てアイヴィが驚きの声を上げる。


「ちょっと!ここは街中ですよ!何を出してるんですか!?早くしまいなさい!」

「アイヴィだって街中で好き勝手暴れてるんじゃねーよ!止めないといけないだろうが!」

「洋平が悪いんじゃないですか!」

「だからー話を聞けー」


俺とファングは連携を取りながらアイヴィを攻める。大きさは違えどもお互いの考えている事がわかるような気がして、今はアイヴィを圧倒している。このまま押さえつければいける。時にはファングと挟み撃ち。時にはまたの下からガチャガチャを投げる。時には時間差で上下攻撃。様々な攻撃を受けてアイヴィは苦痛の表情を浮かべている。


「なんで・・・なんで・・・」

「アイヴィ。もういいだろ!」

「なんで私と連携を取るより上手く言ってるんですか!!」

「ちょおま・・・止めろ魔術は止めろ~」

「こうなったら、私も最後の手段を使わざるを得ませんね・・・これだけはやりたくなかったのですが・・・」

「何をする気だ・・・」


アイヴィはリソワの髪飾りを頭から取り胸の中心に両手で抱く様にして祈る。


「リソワ様・・・力をお貸し下さい・・・」


(許可しよう)


どこからともなくリソワの声が聞こえた。


「風よ。大地よ。植物よ。虫よ。鳥よ。私に力を。ハーピィ・アーマド・オン!」


アイヴィの周りが光始め、それが球体状の暴風と化し、アイヴィが包まれる。ものの数秒だが俺の目は釘づけになる。そして風が拡散し周囲を駆け抜ける。

アイヴィの姿は以前見たリソワの鎧の色違いを纏っている。リソワの鎧は銀に薄い緑色をしていたが。アイヴィの鎧は銀に薄い赤が入っている。


「もう・・・手加減は出来ませんよ・・・」

「アイヴィやめ・・・」


一瞬でアイヴィが間合いを詰め、俺に拳で殴りかかって来る。俺は咄嗟に顔の前で腕をクロスして受け止めるが衝撃で10メートルも後ろに飛ばされてしまう。どうやら左の腕が折れたようだ。そしてまたアイヴィが距離を詰めようと走って来るがそこにファングが割り込む。


「邪魔・・・」


一刀の元にファングの左腕を切り落としこっちに向かって来る。俺は右手で持っていたバーンソードを捨て両手を広げて覚悟を決めた。アイヴィの剣が俺の頭の天辺で止まる。


「どうして諦めるのですか。」

「俺はアイヴィと戦う理由が無い。」

「私には洋平と戦う理由があります。」

「アイヴィがそう思うなら好きにしろ。俺はもう剣を取らない。」

「なんで・・・そんな・・・ずるい・・・」

「アイヴィ。俺はアイヴィに感謝の気持ちこそあれど、恨む気持ちは一切無い。俺がこの世界に来て、右も左もわからない時に手を差し伸べてくれたのがアイヴィだ。常に俺の隣にはアイヴィが居た。俺はそれが凄く安心して嬉しかった。一緒にいろんな所に行って沢山話もした。アイヴィが俺の世界に来たいと言ってくれた時は、俺はどんなに嬉しかった事か。これからもアイヴィとはいろんな所に一緒に行きたいし、もっといろんな事を話したい。確かに元の世界ではマリコさんの事を好きだったかもしれない。マリコさんはどう思ってるかしらないが。だけど俺はこの世界のアイヴィの方が好きだ。これは自信を持って言える。もう過去は振り返らない。俺は今この世界で生きているんだ。アイヴィ。これからも俺と一緒に居てくれないか?」

「うぅ・・・」


俺はそっとアイヴィを抱きしめる。左手は折れて動かないので右手で強くアイヴィを抱きしめる。アイヴィは今にも大きな声で泣き出してしまいそうな程に肩を震わせている。俺はゆっくりと体を離しアイヴィを見つめ軽くキスをする。


「「「「「「「ワァーーーーー」」」」」」」


大歓声が巻き起こる。いつの間にか俺とアイヴィを中心として遠巻きにギャラリーが湧いていた。恥ずかしい。落ち着いてみてみるとアイヴィが暴れたおかげでギルドは無くなり周りの家も無くなっていた。


「こりゃあ大変な事になるぞ・・・」

「洋平・・・」

「どうした?」

「もう一回・・・」

「みんな見てるんだけど・・・」


アイヴィが目を閉じてしまった。周りからのキスコールも始まってしまった。まぁ後の事は後で考える事にしよう。据え膳は食わぬは男の恥だ。俺も目を閉じゆっくりとアイヴィに近づく。唇が触れる。冷たい。なんか舌を入れようとしている。なんだこれは。さっきとは感触がまるで違う。俺は恐る恐る目を開けてみると目の前には蛇が居た。蛇とキスをしていた。


「ぎゃーーーーーーー」

「もうそこらへんにしておくのにゃ。」

「セリーヌ・・・いつから・・・」

「キスをした所からにゃ。」

「見られたか・・・」

「セクターが呼びに来て急いで駆け付けたのにゃ。にしても派手にやったのにゃぁ」

「・・・ごめんなさい。俺が悪いんだ。アイヴィを責めないでやってくれ。」

「まぁその状況を見るとだいたいわかったのにゃ。まぁアイヴィは昔からたまに暴走してたからにゃ。」

「ヒステリックガールか・・・」


俺がキスをしていたのはセブンスネークだった。セブンスネークがシャーシャーと威嚇していて下手に動けないでいる。そこにセクターも駆けつけた。いつの間にかアイヴィの鎧は元に戻っていた。ファングは地面にうつ伏せに倒れてこちらを見て笑っている気がする。まぁ腕位じゃ死なないよね。ファングにも感謝しないとな。美味しい石を沢山食べさせてあげるからな。


「それでどうしましょう。」

「アイヴィと先に帰ってるにゃ。アイヴィ行くのにゃ。洋平の手を離すのにゃ!」


アイヴィが俺の腕にくっついて離れようとしない。肩に顔を埋めてセリーヌを見ようとしない。


「にゃ~。スリープショットにゃ。」


セリーヌが軽く魔術を使いアイヴィを眠らせた。それを小さい体で軽く持ち上げる。


「じゃあ先に帰ってるから、後始末をしたら帰って来るのにゃ。」

「わかりました。ありがとうございます。」


セリーヌはエターナルで帰って行った。


「さて、息子よ。大変な事になったな。」

「悪いな親父。いつも迷惑ばかりかけて」

「まぁいつもの事だ。ところであれ・・・」

「あぁファングか。おーいファング起きろ~」


ファングがゆっくりと巨体を持ち上げ左腕が無いのでバランスが悪いのかゆらゆら揺れながら俺の目の前まで来た。


「紹介するよ。俺の親父のセクターだ。こっちはアイアンゴーレムのファング。よろしくな。」

「お前、これ以上問題を起こすなよ・・・」

「ですよねー」


俺はポケットドラゴンの中にファングを隠した。だが時すでに遅し。ギャラリーは俺とファングがアイヴィと戦ってる所を見ているし、今更隠せない。堂々としていよう。



めでたしめでたし?おわんねーからw

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