発想の勝利
「セイハー」
「とぉ~い」
「よいしょ~」
「やべ。外した。」
「うりゃ~」
現在迷宮探索の真っ最中である。二日目に突入した。今は19階層のモンスターハウスだ。横8メートル縦20メートル位の大きさだ。バーンから貰った石が出せるバーンソードはポケットドラゴンと共鳴し、なぜか性能が上がっていたらしい。剣先から石が飛んでいくので手で投げるよりも効率がいい。手だと出してから持たないといけないからな。剣なら持ちっぱなしでいけるから、ドンドン出せる。敵はスケルトンが鎧を装備したアーマースケルトンらしいがスケルトンとは能力が段違いだ。だが俺の敵では無い。後ろの方に迷宮の案内人とも言われるダンジョンウォーカーと言う、なんかふわふわ浮いているボロ切れを来た人型だ。このダンジョンウォーカーが出現すると迷宮の終わりが近い事を示すので俄然やる気満々だ。ダンジョンウォーカーは攻撃はしてこないものの。アーマースケルトンに強化魔術や回復魔術を使うのでめんどくさい。強化されたアーマースケルトンはちょっと強いのだが、まだ負けるとは言えない。敵が一体だけならな・・・。セオリー通りに俺はダンジョンウォーカーから狙いを定めて狙っていくのだが、アーマースケルトンがダンジョンウォーカーを守るように戦っているのでなかなかダンジョンウォーカーを倒せないでいる。突っ込んでくるアーマースケルトンを倒してはいるのだが。すぐに回復魔術が飛んできて元に戻ってしまう。悪循環である。
「アイヴィこれどーすんのさ。キリが無いぞ」
「洋平が私ならどうしますか?」
「そりゃあ魔術で一掃して終了だな。」
「ここで一掃する魔術使ったらこちらにも被害が出ますよ。」
「でもこれじゃあ終わりそうに無いよ?」
「私が洋平なら楽勝ですけどね。」
「まじかよ・・・」
アイヴィは打開策を思いついているらしい。アイヴィなら魔術じゃなくても打開できる方法とかありそうだな。俺に出来る事を考えろ。まずダンジョンウォーカーを倒さないとアーマースケルトンは復活するから、ダンジョンウォーカーを倒す事を第一に考えた時に、何をするかだな。確かにアイヴィの魔術で敵を燃やしたらこっちも燃えそうだし、酸欠になるのは間違いない。風だとこっちに骨が飛んできて、回復で復活されたら包囲される危険性もあるな。ダンジョンウォーカーの所へ行こうにも、アーマースケルトンが邪魔だし、一つの案としては強行突破があるが、ダンジョンウォーカーは一人じゃないし、包囲されるのが目に見えてるな。あーわかんねー。
「タイム!ちょっと休憩だ!骨どもあっちいけ!アイヴィ!一旦距離を取るぞ!」
アイヴィは風魔術でアーマースケルトンの足止めをしながら俺と一緒に1メートル程後ろに下がる。
「この部屋の横幅目いっぱいの分厚い壁!出ろ!」
俺は部屋を分断する壁をポケットドラゴンで作り出した。ちょっと高さのイメージは失敗して上が若干空いているが、高さ5メートル近い壁なのでアーマースケルトンではのぼれまい。
「ふぅ。考えるから時間が欲しかった。」
「まぁこの壁なら時間稼ぎは十分出来そうですけどね・・・」
「アイヴィ思いついてるからって勝ち誇った顔をするな!」
「はいは~い」
アイヴィはほっといてだ。さてどうするか。う~ん思いつかん。アイヴィに聞くのはプライドが許さないからな。
俺が座って考えていると地面がぐらぐらと揺れ始めた。
「なんだ。地震か!」
「洋平!壁が!」
アーマースケルトンが強化され数でこの壁を押しているんだろう。壁がぐらぐらと揺れはじめてきた。
「やばい!アイヴィ押せ!」
俺とアイヴィで一緒に押さえるが徐々に押されているのがわかる。
「アイヴィちょっと一人で頑張ってくれ!」
「え?洋平!」
俺は石で急造の階段を作り上の方を押す事にした。すると徐々にだが押し返している様な気がしてきた。
「もうめんどくせーなー。おりゃ~」
俺は壁に向かって思いっきり飛び蹴りをした。すると壁が徐々に向こうに傾き始め、ついには敵を潰して壁が倒れた。その壁の風圧からか敵が壁が倒れた先から3メートル位吹き飛んで隙間が空いた。俺はすかさずその隙間に飛び込みまた壁を作り出した。しかも今度はこっちに倒れないようにつっかえ棒付きだ。
「これで勝つる!」
「私が考えてたのはもっと楽でしたけどね!」
「何~」
「ベイルに移動中に盗賊にやったみたいに、ジャンプして部屋を覆うような石を出して潰すのです!」
「なるほど・・・負けた・・・」
「はい!じゃあ押しますよ~」
俺は倒した壁をポケットドラゴンで仕舞い、壁を押す。さっきチラッと見えたがだいたいアーマースケルトンの半数は倒したと見える。つまりこの壁さえ倒せば、ダンジョンウォーカーを狙えると言うわけだ。
「よいしょ~」
二枚目の壁を倒して、俺とアイヴィは走る。狙うはダンジョンウォーカー。数は7。アーマースケルトンも10程度しか居ない。
「せい!」
遠距離から石を投げまずは一匹!アイヴィも風の太刀で一匹倒した。そのまま二人で走り、ダンジョンウォーカーと残ったアーマースケルトンを一瞬のうちに片づけた。
「よし!終了!!疲れた~アイヴィ休憩だ~。」
「その前に洋平テーブルとイスを出して。」
「はいはい」
俺はイスに座りテーブルに顔を突っ伏した。敵も連携がうまいと強敵になるんだな。




