オークション
息抜き終了
ロイ達が来てから三日経ち、今日が出品締め切りの当日だ。シエルの魔法の粉による色付け作業は凄い。ムラなく俺の理想通りの色を付けてくれる。というかメインはマネキンというか石像の方なのだが何故か装備品に力を入れまくっている状況だ。せっかくだからバーンは剣を担当し、ハクは盾を担当。ロイは全体の指揮を執っている。ディルマは下着や服のアレンジをシエルとアイヴィと三人でワイワイやっている。俺はひたすらに鎧の模様を掘っている。なぜか機能性を重視され、実用可能なレベルになっている。表面上だけでよかったのだが、内側にも布を張り装着者が不快にならないよう配慮されている。一度俺が着てみたが重さはそんなに無く、リソワが着ていた物に近い物が出来上がって来た。だがしかしついに間に合わなくなった。なぜなら未だに顔が出来ていない。顔以外の部分はほぼ完成していると言ってもいいだろう。5人のおかげでかなりいい作品が出来た。俺一人の力じゃ出来なかった物だが。元は俺だ。5人は手伝ってくれたにすぎない。これは俺の作品だ。
「今日オークションの出品登録締め切りの日じゃなかったか?」
「そうですね。今日締め切りです。」
「登録はしてきたのか?」
「いいえ。まだ顔が出来てませんので、今日には間に合わないですね。」
「当日までに完成すればいいから登録してくるといいぞ。」
「そうなんですか?」
「あぁ、どうゆうものを出すのかってだけわかってればいいからな。俺が担当の人呼んでくるから待ってろよ。」
そ
昼食を買いにロイと二人で町を歩いていたら、どうやら登録だけしておけば完成は当日まででいいという情報を聞いた。ロイがオークション登録担当の者を連れて来て、三人で宿へ戻り、登録を済ませた。担当の人も驚いていたがどうやら何か勘違いされてるっぽい気がしてならない。最低希望落札価格を聞かれたので金貨一枚と言っておいた。実際はその10倍位経費でかかっているが。まぁいいだろう。別に売る事よりも知名度を上げて人気者になるのが目的だからな。とにかく顔を作れば俺の仕事は完了だ。
オークションの当日までには顔も完成し、ついに俺の作品一号が完成した。夢にまで見た等身大フィギュアだ。完成した日はみんな疲れて眠っていたが、俺はフィギュアを前に一人で酒を飲んでいた。こんなにうまい酒は久しぶりだ。これならいくら眺めても飽きる事は無い。そしてついにオークションの日がやってきたのだ。
その日は朝にオークション会場に石像を持って行き、受付にて登録を完了する。その後昼の鐘が鳴る時間にまで出品者は来てほしいとの事だ。それまではアイヴィと二人で食事をしてアイヴィはロイさんと合流、俺は会場の裏へと通され今回のオークションのプログラムを貰う。出品者は品物と一緒にステージに上がりオークションの結末を見守るだけだと言う。進行役が商品の説明をして足りなければ説明をつけたす事も可能だと言う。俺は説明を受け一番奥の椅子へと案内される。目玉商品の俺は一番最後だそうだ。やはりか。と思いプログラムを開く。俺の一番最後の名前を確認して驚く。
「緑銀の鎧だと・・・」
違うんだ。メインは石像なんだ・・・。まぁそれはいいか後で説明すればいい事だしな。順番を待っているとようやく俺の名前が呼ばれステージへと案内される。石像には布がかぶせてあり石像と一緒に俺はステージへと上がる。人の多さに驚きながらも俺はアイヴィを探し手を振って見せる。これでちょっとは落ち着く事が出来る。そして石像の布が取られると会場から割れんばかりの歓声が巻き起こる。ドワーフの集団が前へと出て来て鎧をじろじろを品定めをしている。そこで進行役から紹介される。
「みなさんお待たせしました!本日の目玉商品にございます。緑銀の鎧になります。この鎧はこちらにおられる洋平様が作成した物で、鑑定師に鑑定させた所、とんでも無い魔道具であると判明いたしました!!」
ん?今なんつった?魔道具だと?違うから色々と違うから~!!
「この鎧は魔法耐性と物理耐性を備えあらゆる攻撃の威力を軽減出来ます。さらに軽く装備しても重さを感じる事が無く敏捷性も上がります。まさに夢のような鎧です。鑑定師によるとこの鎧のランクはS!見たことも無い鎧ですから値段は最低でも金貨100枚はするとの事です!!それでは参りましょう!!」
「ちょっとまった~~~!ストップストップ!!」
「どうしました?洋平様?」
「お前の説明じゃこの商品の1割も紹介してねーよ!この商品はな。鎧を着てる石像がメインなんだよ!」
「え?あれ本物の人じゃないんですか?」
「違うよ!石だ石!!それにな動くんだよ!」
そういって俺は石像に近づき剣を抜き手に持たせ。剣を掲げるようなポーズにする。
「ほらな。わかったか!メインはこっち!!」
「わ、わかりました。えっとでは参りましょう!最低入札価格は・・・なんと金貨一枚からです!それではスタート!!!」
あぁもう色々こんがらがった。いつのまに鎧が魔道具になってるんだよ。魔道具ってこうやって作るのか。まぁ石の鎧ってのは無い訳じゃないだろうけど、シエルの粉が仕事したに違いないな。俺は冷静になりオークションの行方を見守る事にする。
「金貨100枚!!」
「そいつを摘み出せ!!」
「なんでだ洋平~!あ~やめろ~離せ~」
お前が入札したら意味無いだろう。バーン君・・・
「200枚!」
「250枚!」
「300枚!」
「330枚!」
「350枚!」
「400枚!」
待て待て、値段がおかしい。どんだけ上がるんだよ。その後もどんどん値は上がる。
「450!」
「480!」
「500!」
「もうありませんか~?」
「520!」
「530!」
「550!」
「600!!」
「600出ました~。もうありませんね?ではそちらのドワーフの方に決定しました!」
なんと金貨600枚で売れてしまった。落札したのはドワーフの偉そうな人だ。その人がステージに上がってきて俺と握手をする。
「初めまして。ワシはドワーフのタルダールだ。一応王族の端くれではある。この素晴らしい技術をドワーフの技術の勉強にも使えると思い落札を決めた。少し高かったが、それにしても素晴らしい。」
「ありがとうございます。この良さをわかってくれるのはやはりドワーフの皆様だけだと思いまして、私もドワーフの役に立てるのであれば光栄に思います。」
「うむ。まぁまだ正式にはワシの物になってはおらぬが触ってもいいかのう?」
「どうぞどうぞ。中の方が自信がありまして、是非鎧を外して中をご覧になってください」
「やはり、そうか。」
「「ぐふふふふふ」」
俺はタルダールと二人で鎧を脱がしラフな格好にさせる。腕が可動すると言うのも石像ではありえない事で、非常に褒められまくった。その後タルダールが布の隙間に顔を突っ込み終了した。その後は裏でお金を貰う。タルダールから直接貰うのでは無くオークション側は落札価格の一割を貰うらしい。まぁ当然といえば当然だな。俺は金貨540枚を手に入れて、アイヴィ達と合流する。
「洋平おめでとうございます。」
「やったな洋平。凄い大金じゃないか!」
「洋平ひどいじゃないか!」
「いやーうらやましいなぁ」
「おめでとうございますー」
「私も嬉しいよ」
「みんなありがとう!今日は俺の驕りで超ぱーっと飲もう!」
そうして俺の創造第一号リソワ像は金貨600枚という金額で落札された。今後はガチャガチャもブランドが付くとロイさんが大はしゃぎし、バーンはふてくされて飲みまくりハクにも飲ませまくっていた。女三人は今回の下着を自分達でも着たいと量産を心に決めたそうだ。まぁ下着のデザインもフリフリのがいいと俺の欲望をぶちまけたからな黒レースとかそそるじゃねぇか。アイヴィ待ってろよ。
次からちゃんと冒険するよ!!




