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それでも俺はやってない!

ちょっと息抜き回が続きます。

部屋をノックされる音で目覚める。目覚めはいい。店主が朝食を持って来てくれていた。俺は受け取るべく立ち上がろうとして右腕に違和感を感じる。なんとアイヴィが俺のベットに潜り込み腕を掴んでいた。元気じゃねーか。俺はアイヴィを振りほどき店主から朝食を受け取る。


(あ~あ、結局やっちまったのかよ。まぁ俺には関係無いからいいけどな。)

(やってない!やりたかったけど俺はやってない!!)


俺の訴えも虚しく、店主は出て行った。アイヴィめ。いらぬ疑いを掛けられたじゃないか。


「アイヴィ!っておい・・・」


俺がアイヴィを振り向くと、もうすでに口を開けて待っている。俺はもう何を言っても無駄だと悟り、黙ってアイヴィの食事を口へと運ぶ。その後は俺の番だ。その後キスまでが一連の流れだ。一通り終わり。俺は教会へと行くべく身支度を整える。アイヴィを見ると布団に潜っている。


「アイヴィ!教会に行くんだぞ!早く準備するんだ!」

「行きたくない!」

「子供か!病院に行きたく無い子供か!注射が怖い年齢でも無いし!そもそも魔術だから痛くねーだろうが!」


俺はアイヴィの布団。といっても俺が使ってた布団なのだが。を引っぺがす


「いいから行くんだよ!そのままでいいから行くぞ!」


俺がアイヴィを抱っこするとアイヴィが喚きはじめる。


「いーやーだー。誰かー助けてー」

「おいおい騒ぐな。暴れるな。危ないだろうが!」

「キャーひどい事されるー!」

「なんでそうなるんだよ!」


俺はアイヴィをベットに降ろす。理由はわかっている。足が治るとあ~んが無くなるからだ。全くめんどくさいな。俺も嫌いじゃないけどさ。だけどいつまでもこのままじゃダメだろう。骨が変な方向にくっつくとかありそうだしさ。


「わかった。とりあえず食器を返してくるから。待ってろ。」

「居なくならないでよ?」

「わかったよ。これ預けるからもっとけ。」


俺はポケットドラゴンをアイヴィに渡す。そして食器を持って部屋を出る。ポケットドラゴンなら文句は無いだろう。俺は店主に食器を渡し、一応弁解して。教会へとダッシュする。アイヴィに不審がられない様に急ぐのだ。俺は教会の扉を勢いよく開く。そして目の前に居たシスターに事情を話す。昨日とは違う人だ。知り合いが怪我をして部屋で動けなくなっているので、来てほしいと言うと俺の慌てぶりを感じたのか、すぐに行くと返事を貰った。俺はグラングランの部屋を教え先に戻る。代金も発生するらしいので先に払っておく。足の骨折だと銀貨4枚との事なので、銀貨10枚を払い、すぐに来てくれと頼んだ。そして俺はまた風より早いスピードで部屋へと戻る。


「ふぅ。」

「汗だくですけどどうしたんですか?」

「いや、ちょっと店主に仕事を頼まれてね。まぁ部屋まで食事を運んでくれたし、ちょっとおつかいに行ってきた。」

「そうですか。はいこれお返ししますね。」


俺はアイヴィからポケットドラゴンを返してもらう。あとは平静を装えばいい。


「そうだ。アイヴィにお願いがあるんだけどいいか?」

「なんでしょう?」

「ほらもう少しでオークションが始まるだろう。俺が前に言ってたこと覚えてるか?」

「何か目玉を創造するって事ですよね。それで私にも手伝ってほしいと。」

「そうそう。それだよ。実はな。等身大の石像を作ろうと思っててな。アイヴィにそのモデルをやってもらいたいんだよ。」

「え?私の石像ですか?」

「いや、アイヴィの石像って訳じゃないんだけど、アイヴィがよければアイヴィの石像でもいいんだけど、アイヴィが誰かの手に渡るのはちょっと嫌だから。そのなんつーか、体のラインとか服のしわの感じとかそうゆうのがあった方が創造しやすいっていうかな。」

「なるほど。わかりました。なんかポーズを取った方がいいですか?」

「いや立つのはいいからまずは上半身を作るから、足を伸ばして背筋をピーンと張ってくれればいい。」

「動かない方がいいですよね?」

「そうだな。動くな!!そのラインだ。そこだ!!!動くなよ!」


俺は半ば強引に創造を始める。ポケットドラゴンで石を出し、それを削っていく。アイヴィは俺の真剣さを感じたのか。微動だにしない。瞬き位は許してやろうじゃないか。すると部屋の戸がノックされる。


「どーぞー勝手に入ってください。アイヴィ!動くなよ!今いい所なんだから!」

「失礼する。教会から来た者だ。おっと彼女か。さっそくやるがいいか?」

「はい。よろしくお願いします。アイヴィ動くなよ!!」

「ちょっと洋平どうゆうことなんですか!!!」

「どうもこうもあるか。それより動くな!!」


教会から来た人はドワーフである。ドワーフはノームの加護を受けている人が多いから土魔術が得意な者が多い。当然と言えば当然だろう。背は150センチ位だろう。神官ぽい服を着てちょっとぽっちゃり系な人だ。典型的なドワーフだろう。

アイヴィは今身動きが取れない。治療に来てくれたのに暴れてもらっては困るからな。俺は強めに言葉を発しアイヴィに隙を許さない。


「よし。終わったぞ。これでもう大丈夫だ。じゃあ失礼するって・・・何をしているんだ?」

「オークションに出す作品を作っているんですよ。いい感じでしょう?」

「凄い腕前だな。ちょっと見ててもいいか?」

「あ、はい。どーぞ。アイヴィもう足は大丈夫か?」

「はい・・・」

「じゃあちょっと立ってくれ」

「はい」

「そうそのまま動かないでくれ。」

「それにしても凄い腕前だな。ドワーフは手先が器用な種族だから、こうゆう事もやるが、さすがに本国でもこれだけの腕前を持っているやつは居ないだろう。てか早いな。気持ち悪い位」

「ドワーフの目から見てどうですか?これが完成したらオークションで売れますかね?」

「いやぁ。間違いなく完成したら目玉商品になるだろう。この早さなら次のオークションに出品する予定なのか?」

「そうですね。一応そのつもりで作ってます。」

「っとこうしちゃいられねぇ。そろそろ仕事に戻らないと。仲間のドワーフにも伝えとかなきゃな。次のオークションは見物だと。じゃあ失礼する。完成を楽しみにしてるよ」


と言ってドワーフの男は出て行った。まだまだこれ位で驚いてはダメだぞ。この石像はまだまだ完成には程遠いからな。まぁ全体の形は出来てきた。まずは体のラインをしっかり作る。だがこのままでは裸だ。それに鎧をつける。鎧は着脱式なのだ。つまり色々な事が出来る。マネキンにするにしてもよし。変な事に使う事も出来る。まぁモデルが女性だからこれを買う性別で用途は違って来るだろう。


「洋平・・・」


そうだ。せっかくなら顔もめっちゃ細かく綺麗な人にしよう。そうだなリソワがいいな。あの容姿なら誰も文句は言うまい


「洋平?」


リソワなら脱がしても大丈夫だな。アイヴィもエルフだからモデルにはぴったりだ。鎧はリソワがつけてる鎧を真似て作ってみよう。あれはかっこいいからな。


「洋平!!」


エルフの装飾技術は素晴らしいからな。そうだアイヴィの髪飾りがエルフの装飾だな。ちょっと参考にするか。おいおいアイヴィ動くなよ。


「洋平!」

「ん?どうした?ちょっと髪飾りを見せてくれるか?」

「私の話を聞いてください!」

「はいはい。どーぞ~」

「どうゆう事なんですか!?」

「何が?」

「教会の人です!」

「あぁさっき食器返しに行ったときに行って来た」

「なんでそんな事するんですか!」

「ウルサイ!我がままを言うんじゃない!どうせいつまで経ってもいかないつもりだったんだろう。それなら俺もこうせざるを得ないじゃないか」


まったくしょうがないやつだな。でもこれでもう大丈夫だ。アイヴィの足は完治してもうあ~んすることもないだろう。ちょっと残念な気持ちもするが、今は創造に力を入れたいんだ。もう頭では構想は出来上がっている。まず裸体の石像を作る。それに石の鎧を作って着せるのだが。肩と肘の関節は可動出来る仕組みにするのだ。あとは色も塗りたいな。せっかくやるのなら胸を張れる位、立派なものを作ってみたい。元の世界でも等身大を作りたかったのだが。日本という国は小さい。等身大のフィギュアを置くところなんて無い。俺の才能は日本に留めておけるほど小さくないぞ。とは意気込んでみたものの、時間は無い。4日後がオークションの出品登録の締め切りなのだ

その後もアイヴィをモデルにし、一日目で裸体の像が完成した。顔はまだ作ってない。作ったけど納得がいかなかったので没だ。後3日しかない。

翌日。アイヴィにギルドへ行ってもらいゴブリンの報酬を貰って来てもらう。俺は創造だ。今日を入れて後三日か。厳しいな。鎧の全体を作って細かな装飾を施す。アイヴィの髪飾りの装飾をある程度真似て、オリジナル性も付け加える。色を付けるとなればどうすればいいんだろうか。絵具は売ってたからな。それでやりたいけど、リソワの鎧を表現するには難しい。ピッカピカの銀に若干の薄い緑色だ。ピッカピカにするとなると銀メッキか。高そうだ。あといくら石像とはいえ裸体に色を塗るのはちょっと恥ずかしい。これはアイヴィの居ない時にやってしまった方がいいな。見られると色々とめんどうだ。鎧の下に着る下着とかも必要だな。そこらへんも含めて買い物に行くか。ちょうどアイヴィが報酬を貰って帰って来たので一緒に買い物に行くことにする。


「絵具と服を買いに行きたいと思う。」

「石像に服を着せるのですか?」

「その通りだ。あの石像は俺の創造の代表作の一つにしたい。」

「創造なら石像だけでいいのでは?」

「でもさすがに裸はまずいだろう?色も塗るのだし、やはりちゃんとした格好にしたいんだよ。」

「なるほど。では行きましょう。」


男のロマンというのを理解出来るはずもないだろう。俺達は絵具を売っている露店に行く。ここで画材道具を一式買う。絵具もとりあえず全種類買ってみたが、銀が無い。そのことを露店の人に言うと銀色をつけるには銀メッキか魔法の粉を使うのだと言う。魔法の粉と言うのは薬や魔道具を作るのによく使われる物らしい。魔道具屋か薬屋等に行けば高いが売ってくれるらしい。銀メッキは物により値段がかなり変わる。銀の純度の話になってくる。純度99%のインゴットは金貨10枚は飛ぶらしい。それを溶かすのも一苦労だし、余り現実的では無さそうだ。

そういえばシエルは魔法布専門だから何か知っているかもしれないな。加工に使うのなら魔法の粉も持っているかもしれない。というかシエルの所で服も買えばいいんじゃね?俺達はシエルを探しに行くことにした。



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