イチャイチャ
「はぁはぁはぁ・・・やったか。」
後ろを見るとベイオウルフが真っ二つにされ倒れていた。そのさらに後ろでアイヴィが倒れている。
「アイヴィ!!」
俺はすぐさま駆けつけアイヴィの元へ行く
「最後の風の太刀をやった時に完全に足をやったみたいです。」
「すまない。俺にもっと力があればこんな事には・・・」
「いいんですよ。私も無茶をしました。それよりもう動けそうにありません」
「わかった。すぐにテントを張るから待っててくれ」
俺はすぐにテントを張りアイヴィを中に入れて休ませた。俺は外で火を焚き見張りをする
「洋平」
テントの中からアイヴィの声がする。テントの中を覗くとアイヴィがこちらをみている
「寝ないとダメだ。外は俺が見張っておくからアイヴィはしっかり休め。」
「一人だと不安で・・・洋平がどこかに行ってしまうんではないかと思って・・・」
「俺はアイヴィを置いて行ったりなんかしない。絶対にだ!!」
どこかに行くわけなんて無いだろう。アイヴィは足を痛めて、たぶん折れてると思うが。木の枝を添えて布で巻いているが早く医者に見せないとな。アイヴィを背負って森を抜ける事も考えたが、今のアイヴィの状況ではそれも辛そうだ。それにトレントに襲われる。ここに居るのも危険だが、またベイオウルフやゴブリンが出たらその時はアイヴィを背負って逃げるしかない。トレントに襲われる可能性があるから無理は出来ない。
「そうだ。ちょっとお腹が空いてないか?昼も食べてないからな。簡単なのを作るからちょっと待ってろ。お腹も膨れれば眠りやすくなるだろう」
俺は急いでバッグを漁り適当に食材を出す。俺がお腹を空かしている。今はパンをそのまま渡されるよりもスープの方が心安らぐと思う。味噌汁なら完璧なのだが、味噌が無い。作り方も知らないしな。豆を発酵させるんだっけか。それだと納豆か。よーわからんから無理だ。即席ではあるがスープが出来た。俺はアイヴィが俺を見ていれるようにテントの入口を開けっ放しにしている。
「出来たぞ。ほら冷めないうちに食べろ。即席だから味は保障しないけどな。」
「洋平も一緒に・・・」
「俺は見張ってないといけないから外で食べるよ」
「うぅ・・・」
やばい!泣き始めた。どうしよう・・・。全くしょうがないな。
「アイヴィ。背中合わせで食べよう。それならいいだろう。」
「・・・はい」
俺はテントの布越しにアイヴィと背中合わせに座ってスープとパンを食べる。沈黙が続く。アイヴィと背中合わせで座ってるからアイヴィの鼓動が聞こえる。まだ肩をひくひくさせて泣いているようだ。
「アイヴィ。パン食べるか?」
「洋平・・・」
俺はゆっくり背中を離しテントを覗き込む。
「アイヴィ。食べてないのか?ちゃんと食べないとダメだよ。」
アイヴィが抱き付いて来た。不安なんだろう。しょうがないから俺はアイヴィをお姫様だっこをしてテントを出て外に出る。ポケットドラゴンでたき火の前に石のベンチを作り出し、アイヴィを座らせる。折れてる足を乗せる足置きも作った。たぶん下げるよりは上げておいたほうがいいだろう。俺はアイヴィの隣に座り、手を握る。
「俺はどこにも行かないから安心しろ。やっと一緒に居れるんだ。離れる訳が無いだろう?」
アイヴィはまだグスグス言ってる。
「ほらスープ冷めちゃうから食べよ?」
俺はアイヴィの口元にスープをスプーンですくい近づける。アイヴィはゆっくり口を開きスープを飲む。それを繰り返しているうちにアイヴィはどうやら落ち着いてきたようだ。アイヴィが食べ終わったので、俺もスープを食べようとすると、アイヴィに俺の持ってるスープを奪われた。そして俺にスプーンでスープをすくい差し出してくる。
「俺は一人で食べれ・・・」
アイヴィの目がウルウルしている。これを断るのはかなりの勇気が必要だ。もちろん俺にはそんな勇気も無い訳で。むしろこの行為が嬉しい訳で。素直にあ~んを受け入れる。だが、顔が近い、俺はアイヴィに横からあ~んしていたのだが、アイヴィは俺に向きおなり正面からあ~んしてくる。ドキドキが止まらない。アイヴィが俺を見る視線が痛い。俺は目を逸らせないでいた。そしてようやく俺のスープが無くなる。
「洋平」
「アイヴィ」
アイヴィが目を閉じる。俺はそれに答えるべく、軽く口づけをする。
「このままでいいから寝るんだ。何かあったらおぶって逃げるから。」
「うん」
アイヴィは俺の肩に寄り添い眠りに落ちた。俺はベンチに背もたれを作りよりかかり天を仰ぐ。雨が降り始めたようだ。俺はポケットドラゴンで背もたれを伸ばしその先に屋根をつける。イメージとしてはバスの待合所みたいな感じだが屋根も石なので背もたれでは支えきれない可能性も考え正面のたき火の奥にも壁を作る。そして両サイドも壁を作る。これで簡易的な石の家の完成だ。たき火もあるので一酸化炭素中毒にならないように空気穴もつけている。というか最初からこれを作ればよかったんだな。これなら魔物に襲われる心配も減るし雨風も凌げる。安心した俺も眠気に誘われる。セブンスネークが飛んでこなくて良かったという安心感が俺を眠りへを導いた。




