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150年前の戦い

俺は自分のベットで目を覚ます。この天井は知っている。体を起こそうと思っても節々が痛くて急には動かせない。俺の右手が何かを握っている。アイヴィだ。


「洋平・・・」


俺が目覚めたのに気付くと、アイヴィは泣きながら抱き付いてくる。今は体が痛いんだからやめろ。と思いながらもアイヴィの臭いを感じ、俺は幸せな気分になる。


「アイヴィ・・・」


俺が声をかけてもアイヴィの泣き声は止まらない。するとセリーヌがドアから入って来た。


「よーへー起きたのかにゃ」

「体が痛くて動けません。上に乗ってる重いのをどかして下さい。」


セリーヌは俺に抱き付いているアイヴィを引き剥がす。そろそろ体が痛くてたまらん。女性に重い発言はまずいか。まぁアイヴィは聞いてないからいいとするか。


「気分はどうかにゃ?」

「変にスッキリしてますね。体は痛いですけど、頭は働いてます。」

「先に謝っておくのにゃ。あの時はちょっとやり過ぎたのにゃ。」

「いえ、いいんですよ。あれが試練なら俺は受けないといけませんからね」

「あの後アイヴィとセクターに怒られたのにゃ。でもあれは試練なのだからしょうがにゃいのにゃ!」


怒られたんなら反省しろよ。まぁ何か考えがあったんだろう。精霊に会えたしな。会ったと言うのか、話しただけだけどな。


「そういえば、夢?の中で水の精霊が出てきましたよ。姿は見てませんけど会話をしました。なんか夢っていうか現実に近い感じですかね。」

「まぁそれが試練なのだからいいのにゃ。精霊が認めたからよーへーは戻って来たのにゃ。」

「認められなかったら?」

「死んでるにゃ」


随分と危険な賭けだなぁおい。俺が死んだらダメだろうが。何がダメか知らんけど。


「アイヴィ。よーへーと話があるからちょっと席を外すのにゃ。下にご飯を作ってるからちゃんと食べるのにゃ。もう三日も食べてないから、いい加減食べるのにゃ」

「俺三日寝てた感じっすか?」

「そうにゃ。アイヴィはずっとよーへーの看病をしていたのにゃ。後でしっかりお礼をするといいのにゃ。」


三日も寝てたのか。まぁ試練の疲れってやつかな。アイヴィは後で抱きしめてやるとしよう。セリーヌはアイヴィを無理矢理部屋から閉め出した。


「ん~何から説明すればいいのかにゃ。色々あり過ぎるのにゃ」

「まずは精霊の話からですか?」

「じゃあそうするのにゃ。水の精霊に何を言われたのにゃ?」

「えっと~封印を解いてとか全ての精霊に会って元の世界に戻れとか愛がどうたらかんたら」

「水の精霊は愛が好きなのにゃ。まぁ愛は置いとくとして、封印と言うのはあの問題の事にゃ。よーへーに封印を解いてと言ったのならよーへーが封印を解かないといけないのにゃ。」

「まぁ、俺も魔術使いたいからな。頑張ってみるよ。というか俺が解かないとダメなのか。もし他の人が解いたら?」

「あの問題は100年以上解かれてないのにゃ。だから安心するのにゃ。」

「じゃあ逆に安心できねーよ」

「まぁ封印は任せるにゃ。では次にゃ。よーへーの世界へ帰る方法については何も知らないのにゃ。よーへーは精霊と話して何か方法を見つけたのかにゃ?」

「精霊と話す前からなんとなく元の世界へ帰る方法と言うのは思いついてましたよ。」

「とりあえず話してみるといいのにゃ。」

「まずアスラ神島に行ってうさぎ仙人に願い事を叶えてもらう。」

「それはおとぎ話だにゃ。でもその可能性は否定は出来ないのにゃ。アスラ神島には誰も入った事が無いから、仙人が居てもおかしくは無いのにゃ。」

「もう一つ方法があって、魔大陸に行くことですね。」

「魔大陸に行って何をするのかにゃ?」

「魔大陸の精霊に会います。俺の予想ですと魔大陸の精霊は時の精霊ですね。時間を操ります。時間を操れるなら時間軸を飛び越えて元の世界に帰れる可能性はあると思います。」

「まぁ確かに時の精霊は居るのにゃ・・・」

「知ってるのか。」

「それを説明するには4勇者についてから話さないといけないのにゃ。」

「差支えなければ是非ご教授願いたい。」

「まぁ試練を乗り切った事だし、あいつの説明も含めるとこれは話さないといけない事なのにゃ。」


今からおよそ150年前、魔大陸ライイラとガルガンティアは別々の大陸だった。魔大陸に住む種族の総称、魔族。魔族は強大な力を持ち他を圧倒していた。魔族はバイラフスを襲い魔大陸の勢力下にした。次に狙うはガルガンティア。ガルガンティアに住む4種族は魔族に対抗するべく、力を合わせて戦う事にした。ヒューマン代表は当時のウィンストハイム王、鮮血のブラッド。ドワーフ代表はドワーフの王にして歴代最強の戦士、破滅のジーク。ガフ族代表は余りある力の持ち主、狂犬のイゴール。エルフ代表は四界の女王リソワ。そしてそれに光と闇の種族の生き残りである。光と闇の種族は次代の種族を繁栄させるべく新しく種族を作り出す秘術を編み出した。そして光と闇の勇者へと育て上げた。光の勇者、水龍のセリーヌと闇の勇者、闇龍マユラ。この6人が筆頭に立ち6勇者連合として魔族と戦うべく先頭に立った人物である。


「ちょっと待った!セリーヌってガフ族代表じゃないのか!?」

「そんな事は誰も言ってないのにゃ。」

「というか4勇者なのに6人って・・・」

「4勇者も周りが勝手に喋っているだけなのにゃ。本当は6勇者なのにゃ。まず人の話は最後まで聞くものにゃ。」


ガルガンティアでの戦いは激しさを極めた。6勇者は常に劣勢だった。火水風土それに光と闇魔術を持ってしても、魔族の使う時魔術には勝てなかった。突然と姿を消し、背後に現れる。戦いは何十年にも及んだ。6勇者も狂犬のイゴールが死に、5人となった。徐々に追い詰められ、6勇者連合は、ほぼ壊滅状態になった。だがそこに現れたのは神だった。神は争いを辞めよと進言し、それを無視する魔族をライイラに封印した。このような争いを二度と起こさないように各種族の代表に呪いをかけた。魔族を率いていた翼閃族のガレフは石化の呪いを、ヒューマンのブラッドは失明の呪いを、ドワーフのジークは無力の呪いを、エルフのリソワは枯渇の呪いを、光と闇のセリーヌとマユラは永久の呪いを、それぞれに与えた。神は一つの種族が力を持ちすぎる事を禁ずる為に精霊達を封印した。その後魔族が繁栄しない為にライイラの周りには龍の顎と呼ばれる山を出し、周りの海流に裂け目を入れた。



「とまぁ、これが150年前の戦争の真実だにゃ。」

「急な情報量の多さに頭が混乱してます。」

「これでも大分要約して話したのにゃ。」

「つまりセリーヌとリソワは呪われていると言う事ですか?」

「そうにゃ」

「永久と枯渇でしたっけ?よく意味がわからないんですけど」

「永久はずっとその姿で生き続ける事にゃ。」

「つまり不老不死?」

「まぁそうゆう言い方もあるにゃ。」

「俺の世界で不老不死と言うと呪いという悪いイメージじゃ無い気がしますが?」

「一生この姿のままなのにゃ。この話を後世まで伝えてまた争いが起こらない様にしてるのにゃ。」

「なるほど。セリーヌ今何歳?」

「れでぃーに年齢を聞くのは失礼にゃ」

「んじゃセクターは?セリーヌの弟って事らしいが、光の種族は長寿?それともその秘術のせいか?」

「セクターも同じく秘術で生み出されたのにゃ。秘術によって光と闇を使える戦士を作り出そうとしていたのだが、ついには成功しなかったのだにゃ。」

「まぁその秘術は後で聞くとして、リソワの呪いは?」

「枯渇の呪いは大変だにゃ。まず精神力が無くなるのにゃ。つまり魔術が使えなくなるのにゃ。」

「なるほど。でも魔術が使えないだけなら生活に支障は無さそうですね」

「それだけじゃないのにゃ。常に飢えているらしいのにゃ。」

「飢えですか?」

「食べても味はしないし満腹にもならない。でもお腹は空くし喉は乾くのにゃ。」


無理だろ。俺なら自害する自信がある。


「エルフは長寿だから一番辛いと思うのにゃ。他の人みたいに死んでしまったら楽だったのかもしれないのにゃ。」

「他の勇者はもう死んでしまったのですか?」

「マユラは同じ呪いだから生きてると思うのにゃ。でも残りは・・・」

「なるほど。それで残ってる勇者は実質二人だけと言う事なのですね。」

「そうにゃ。あいつとはもう切っても切れない縁なのにゃ。まぁ後300年は生きると思うのにゃ。」

「それと俺とどうゆう関わりが?」

「よーへーはあいつに会ってしまったのにゃ。あいつの考える事は丸わかりなのにゃ。そして僕はあいつに逆らう事が出来ないのにゃ。アイヴィを守れる程強くなれと言われたのにゃ?」

「そうですね。」

「じゃあ僕はよーへーを強くしないといけないのにゃ。」

「あの試練は?」

「あれも強くする口実の一つなのにゃ。」


つまり、セリーヌはリソワに逆らえない。リソワが俺に強くなれと言ったからセリーヌは俺を鍛えるって事か。まぁ世界の真実と共にセリーヌも辛い過去を生きてきたんだな。後で肩でも揉んでやろう。最低でも150歳か。



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