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邪道の本気

俺はウィンストハイムに戻ってきてからギルドで報告を済ませロイの元へ急いだ。リソワのせいで時間を食った。ロイは露店をしまい俺を探してキョロキョロしている。


「すいません。遅くなりました。」

「おー洋平。待ってたぞ。まぁ帰って来ないと言う事も思ってたから早いもんだ。んでトロルは倒したのかい?」

「はいなんとか倒しました。ちょっと色々あって危なかったですけど」

「まぁ無事ならなによりだ。んじゃ行こうぜ。みんなもう首を長くして待ってらぁ」


俺はロイと一緒にローズンの酒場まで行った。


「おせぇぞ!ロイ!っておぉ!そこにおわすお方は!」

「悪いな。洋平がトロル討伐で時間を食っちまったらしい。」

「トロル討伐一人ですか!?凄いですね」

「まぁセクター相手に一人でいい勝負をしたんだってね。そりゃあトロル位楽勝だね。」

「まぁ座って飲んでください。今日のロイの驕りですから」


みんな歓迎してくれている。なんだか俺は凄い人になってしまったようだ。


「先日は大変お世話になりました。お礼にも伺えず失礼しました。また何かありましたらよろしくお願いします。」

「まぁ堅苦しい事はいいんだよ!まぁ飲もうぜ!」


みんないい人だ。俺はこの飲み会が好きだ。色々な魔道具を見せ合ったりしている。自慢大会だな。俺はまたいつも通り即席で創造をして腕の上達ぶりを見せる。もうねんどろいど位のフィギュアなら簡単に出来るのだ。


「洋平は相変わらず凄い腕をしてるな。見違えたぜ。」

「自分でやってても楽しいですからね。目標は等身大の人物を作る事ですね。」

「だったらこれだ。ロックペンダントこれは2メートル位の石を作りだせる。これなら等身大も出来るだろうさ。」

「おぉ、それは是非とも欲しいですね。いくらですか?」

「いやお前さんから金はとれねぇよ。だがなその変わり・・・」


俺はねんどろいどを大柄な男に渡し、代わりにロックペンダントを貰う。


「うぉぉ!ありがてぇ!」

「ちょっとずるい僕も洋平さんにプレゼントがあるんですよ!じゃーんこれは魔道具の一つで今洋平さんが使ってるその削る魔道具と同じタイプです。先端が尖ってないので、ガチャガチャを作るのには結構いいと思いますよ。」

「おぉ!なるほど!ありがとうございます。」


俺はバッグから別のフィギュアを出しそれをメガネ君に渡す。今回のフィギュアはちゃんとしたヒーローみたいなやつだ。ちょっと自信作で丸一日かかった。ねんどろいどとは比べものにならないクオリティだ。


「これは・・・凄い!凄いですよこれは!」

「なんだこの完成度は!お、俺もクソ、お前さんが来ると知ってりゃあありったけの魔道具持ってきたのによ!なんでロイだけ知ってるんだ。ずるいじゃねーか!」

「今度みんなの店に行きたいと思ってるんでその時はよろしくお願いします」


その飲み会は楽しく終わった。まぁ実はそのフィギュアももうちょっと数はあるんだけどな。みんなにこっそりあげよう。というかそのつもりで作ったんだよ。5人いるから5体で一つのポーズをする感じに作ってる。俺はグラングランに宿を取り一気に5日分の銀貨5枚を払った。金はあるんだよ。だが俺が本当に欲しいのはアイヴィの愛だ!


次の日の朝グラングランで目を覚まし、朝食もしっかり取る。今日は依頼をがっちりやるんだ。俺は早速ギルドへ行き依頼を眺める。


「う~ん・・・すぐ終わりそうなのが無いな。どうするか」


俺は掲示板を離れバルの隣に座る


「っ!兄貴!おはようございます!」

「まぁこまけぇこたぁいいんだよ。ちょっと聞きたい事があるんだが」

「はい!なんでもお答えしますですはい!」

「Bランクの依頼をやりたいんだが一日で終わるような依頼ってどれか見れくれるか?」

「もうBランクの依頼ですか?それならメルヴィルのはぐれトロルの依頼が一日で終わる感じのがあったと思いましたが。」

「それは昨日やった。いいから座ってないで見て来いよ」


バルは勢い良く立ち、掲示板へと行く。そこで仲間達と話合い戻って来た。


「ちょっと今ある依頼じゃ一日で終わるような物は無いです」

「そうか・・・う~む」


一日で終わる依頼が無いとすればちょっときついな。


「あの家庭教師の依頼ってのはなんなんだ?明らかにBランクの依頼じゃないと思うんだが?」

「あぁ、あれは辞めた方がいいです。子供に文字を教える仕事なんですが。子供が文字を覚えないで依頼失敗料をずっと取り続けるあくどい依頼です。」

「あ~なるほど。子供が文字を書けないから依頼成功のサインもかけないって事か」

「噂では子供も文字はもうかけるらしいです。」

「なるほど。だから報酬が高いのか。失敗料を取るために」

「ラオーンとか討伐に行くのでしたら。俺らも手伝う事も出来ますけど?」

「そうか。まぁその言葉はありがたく受け取っておくが遠いんだろ?」

「そうですね。4日はかかります。」

「わかった。ありがとう。」

「いえ、お役に立てず申し訳ありません。」

「というかなんか感じ変わったな」

「はぁ。もう真面目に頑張っておりますゆえ・・・」


まぁバル達はほっておくとして。とりあえず家庭教師だな。まぁ相手が子供ならやりようはいくらでもあるさ。俺は家庭教師の依頼を受理してもらい依頼主の家へと行く。


「こんにちは~依頼を受けた者ですが~」


三角のメガネをかけたいかにも教育ママってやつが出てきたな。俺は子供の居る部屋に通される。


「こんにちは。ギルドから依頼を受けて来ました。君に文字を教えるのでよろしくお願いします。」

「よろしくお願いします」


受け答えは出来る。なんか目が死んでるな。だがこれなら勝機がある。


「んじゃさっそくこの依頼完了の所に名前を書いてくれないかな?」

「僕文字が書けないんだよ?」

「かけるでしょ?」

「かけないよ~」


まぁ予想通り。


「そうか。最近何か欲しい物とかあるかな?」


頭の上に?を浮かばせながら考える。まぁそこそこお金もちっぽい家だからな。特に不自由なく暮らしているんだろう。


「んっとねー、なんか周りの友達の子が持ってるんだけど、石の入れ物が欲しいの」

「丸いやつかい?」

「そそーあれの中に大事な物を入れてみんなに自慢してるんだよね~」

「それをあげたら名前を書くかい?」

「文字かけないよー」


俺は鞄から石のペンダントを取り出す。そしてその場でカプセルを作り上げる。昨日もらったリューターの使い心地は素晴らしい。今までの倍早く出来る。


「ほら、やるよ」

「え?えぇ~凄い!」

「どうだい?名前書くかい?」

「じゃあこの石はあげれないな」

「うぅ・・・」


やば、泣きそうだ。

俺は鞄から石のフィギュアを出し机の上に並べる。


「もし名前を書いてくれるんなら、この中で好きなのを一つあげよう。これはまだ市場には出回ってないから君しか持ってないよ。自慢するならもってこいだ。」


目がキラッキラしてる。もうひと押しだな。


「君の名前はなんて言うんだい?」

「ルーベン」


俺はカプセルにルーベンを文字を書いてさらに色々と模様をつけてかっこいいカプセルにしてルーベンに渡す。


「これが君の名前だね」

「うん・・・あっ」

「お母さんには内緒にするから大丈夫だよ。これは君の名前が入ってるから世界に一つしかない。もし君が名前を書かないならこの石は捨てるしかないね。粉々にしてごみ箱だね」

「書くよ!僕書くからそれちょうだい!」


ちょろい。なんてちょろいんだ。やはり限定品は強いな。必殺物で釣る作戦!!

帰りに三角メガネの母に睨まれたが無視だ。午前で一つ終わったな。この調子だ!

ギルドへ戻り報告をしてから依頼を眺める。やはり早くやるってのはこれか。

またバルの隣に行きこっそりと話をする。

「家庭教師は終わらせてきた。次の相談だ。」

「っ!凄いです。次は何をやるんですか?」

「ロック鳥の卵の納品だ。」

「ロック鳥の巣までは三日程かかりますぜ?」

「そんなことするわけないだろ。納品はギルドにするんだよな?」

「はい納品の依頼は全てギルドに報告します。」

「この町でロック鳥の卵を売ってる店はあるか?」

「っ!!!・・・無い事も無いですが。高いですぜ?」

「俺は金の為にやってるんじゃない。ランクの為にやってるんだ。」

「なるほど。それなら着いてきてください。貴族しか入れない裏店に案内します。そこなら足がつくことはありませんが、値段は張りますので注意してください。あと怪しまれるので依頼は今受けて明日の夜かまた後日に報告した方がいいです。」

「わかった。てかそこまでしてくれるのか。いいやつだな。」


俺はロック鳥の卵納品の依頼を受けバルと共にギルドを後にする。バルの取り巻きも一緒だから6人PTに見えるだろう。バルに付いていき裏路地を進んでいく。途中で見張りらしき人も居たがバルは顔パスだ。


「着きました。くれぐれも争い事は無いようにお願いします。」

「わかった。」


店に入るといかにも怪しい物を扱ってます店が出てきた骨とか沢山ある全体的に暗いし黒い。


「ロック鳥の卵はあるか?」

「これはバル様。毎度ひいきにありがとうございます。ロック鳥の卵でございますね。現在在庫が一つございますが、ちょっと状態が悪いですね。」

「どうしますか?」

「納品するのに状態が悪いとあまりよくないのではないか?」

「そうですね。怪しまれる可能性があります。受けてから日数が経っていればいいかもしれませんが。」

「新しくロック鳥の卵は入って来ないのか?」

「あと三日もすれば新鮮なものが入ってくる予定です。」

「値段はいくらだ?」

「銀貨40枚になります」


たけーな。まぁ全然余裕なんだが。依頼の成功報酬が銀貨20枚だからな。まぁ家庭教師で20枚もらったから別にいいか


「では三日後買いに来るとしよう」

「わかりました。じゃあ次入った卵は取り置きと言う事で頼めるか?」

「わかりました。ではそのように手続きしておきましょう。」


これで大丈夫だな。しかし三日か、まぁ今回は10日位もらっていてランクをあげれるだけあげて来いって感じだからな。まぁいいだろう。俺はバル達と一緒に店を後にし裏通りから出てきた。


「ありがとう。助かった。」

「いえ、これくらいお安い御用です。あとこれを渡しておきます。」

「これは?」

「裏店の会員証です。これがあれば裏店全て通る事が出来ます。」

「なるほど、じゃあ俺からもこれを渡しておこう。」

「これは?まさか?」

「前に渡した石の新作だ。また宣伝しておいてくれ。」

「ありがとうございます。実はこれ凄く評判が良くて、これを持ってから調子がいいんですよ!」

「そうなのか。じゃあお前ら全員にやるよ」

「まさかこれを作ってるのは?」

「あぁ俺だ。」

「!!!!!」

「そうだ。お前にはよくしてもらっているからな。この前の事は謝るよ。それとこれお前らから取った金だ。返しとく。」

「いえ!滅相もございません!この石の代金としては足りないかもしれませんが、どうぞお納め下さい!!」

「そうなのか。じゃあもらっておく。んじゃありがとうな。俺はもう行くわ。今度強い敵行く時には一緒に行こうぜ。」

「最後にお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

「あぁまだ言ってなかったか。洋平だ。よろしく頼む」

「はい!ありがとうございました!洋平様!!」


俺の舎弟が忠誠を誓った気がした。



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