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謁見

「さぶっ」


気が付いた俺は自分の体に異変を感じる。なんと一糸纏わぬ姿だったのだ。


(確か、女騎士アイヴィだっけかに眠らされて・・・マリコは食べたからいっか。言葉通じて助かったなぁ。シルバーが居ない!てかここはあきらかに牢屋って感じだよなーどーっすっか・・・)


「やべっ」


近づいてくる足音に気づきとっさに寝てる振りをする。


「まだ寝てるのですか。もう起きてもいい時間なのですが」


この声はアイヴィだー・・・もうなんあいつ。でもシルバー取り戻さないといけないしなー。しゃーない起きるか。


「ふぁ~ぁ~あ~あ!ひゃ!!」


水かけられた。最悪。まぁ何も着てないからいいか。


「冷たいじゃないっすか!」

「うふふ」


立ち上がる。そして自分の姿を思い出してしゃがみこむ。アイヴィの鎧の面積と寝起きで俺の息子は立派なものをみせつけてしまったな。罪な男だぜ


「とりあえずなんか着るもの無いっすか?」


そういってボロボロの布で出来た服とダボダボのズボンを投げられた。しょうがないから無言で着替える。


「着替えましたか。それでは貴方には王へ謁見してもらいます。そこで処分が決まるでしょう。」

「処分ってなんすかー!?俺何もしてないっすよ!?」

「私への態度はいいとしても。見慣れぬ服と見慣れぬ乗り物ですね。」

「・・・」

「あとその棒です。」


視線を手にやるとマリコを持ってた


「マリコ・・・」

「はい、さっさと歩きましょう!」

「はい・・・」


言われるがままに階段を登り明るみに出たそこに広がったのは


「城だな」


石造りで出来た完璧な建造物。一目で素晴らしい物だと体が思い知る。ここに住む王って事は国王とかレベルか。やべーんじゃね

豪華なフカフカな絨毯を歩き大きな扉の前で立ち止まる。


「ここでお待ちください。」


アイヴィに言われ立ち止まる。すると大きな扉が開き、いかにも謁見の間って感じの場所が出現する。中央の玉座に居るのは王か、その隣にいるのは王妃かな、その逆に王女と王子って感じか、どいつもこいつも整った顔しやがって、日本人を舐めるなよ。周りには騎士団っぽいやつがズラっと。こっちはまだ可愛げのある顔が多いが。そして中央に横たわるシルバー。


「シルバー!!」


駆け寄ろうとする前にアイヴィに封じられる。


「王の御前です。滅多な事はしないでください。私も力になりますから。大人しくしていてください。」


アイヴィが耳打ちしてくる。優しい声だ。てかアイヴィいいやつ?俺に水かけたけど。よくみると周りがみんな片足を立てて膝立ちをして頭を下げている。俺も習って頭を下げる。


「ワシはこのウィンストハイム王国、国王のユノ・アルル・コ・ドド・ウィンストである。その方がこのへんてこな乗り物の持ち主か。表をあげい。」


恐る恐る顔を上げる。めっちゃ声に威厳が含まれて体の芯まで響くような声だ。これが王の威厳かカリスマか。とりあえずアイヴィがよくしてくれるらしいから。少しは安心か。王もなんか声からしてカリスマ性が溢れているから信頼出来そうだな


「名はなんと言う」

「佐々木 洋平と申しますでございます」


自分が情けない


「ふむ、ササキヨウヘイか奇妙で呼びにくそうな名前じゃな」

「洋平で構いません」

「では洋平よ、この乗り物はなんじゃ?説明せい」

「それはバイクという乗り物です。馬よりも早く移動する事が出来ると思います。ですが、ちょっと調子が悪くそこまでの速さは修理しないと出ないと思います。あと乗りこなすのが難しく非常に危険なモノでございます。」


よし、我ながら完璧だ。とりあえずシルバーを手元に戻さなければ話にならん。あとは服か。いかに魔法がある世界といえども馬車を見る限り移動手段に限りはあるはずだ。馬より早い重要性と俺にしか直せないという事。そして危険であるという認識。これなら俺の手元に戻ってくるのは間違いないだろう。


「ふむ、壊れており危険なのか。それはイカンな。確かに興味深い物ではあったが危険だとすれば城内に置いておく訳にはいかんな。ハイト!」


はっと声を上げ一人の豪華な厚手の鎧を纏ったいかにも騎士団の隊長みたいなのが前に出てきてシルバーに手をかざす。


「待て!ダメだ!火はダメだ!というか壊すのダメだ!爆発するぞ!!」

「どうしろというのじゃ?危険なのだろう?しかも爆発までするというのか?」


王がハイトを制止して聞いてくる。しかしシルバーは危険だと判断されとっさに言った爆発という言葉がさらに危険度を高めてしまったらしい。もうどうする事も出来ないのか、ずっと大事にしてきたシルバーが壊される。そんな思いが胸をしめつけ声を出すことが出来なく、目頭が熱くなってきた。


「ふむ困ったのう。では爆発しても危険が無いところまで運んで処理するとしよう」


王の言葉が突き刺さる。冷静な判断だ。俺はさらに胸が締め付けられ、今にも大声で泣きたいのを堪えマリコを握りしめる事しか出来ない。


「お待ちください。ユノ王。」


アイヴィが声を張り上げた。


「アイヴィ殿か、そなたがその方を連れてきたのじゃな。何かあるなら申してみよ」

「この洋平はメルヴィルの森からダイヤウルフに乗ったポグに追われていました。私はロンダーヌ商会の商人の護衛をしており、ウィンストハイム王国へと向かう道中に洋平に助けを求められポグ達をエクスプロージョンで倒しました。その時の洋平の反応は魔法を初めて目にし驚いた用に思えます。そしてその後洋平は気を失ってしまったのです。」

「そこまでは聞いておる。ワシが思うにアイヴィ殿も何か考えがあって申しておるのじゃろ?続けよ」

「私は洋平、いや洋平殿がこの世界とは違う世界から来た者だと思っております。」

「その根拠は?」

「ユノ王も感じてるのではありませんか、そのバイクと言うものは我々が見たことの無いような乗り物です。それと洋平殿が最初に来ていた服です。少し触っただけですが肌触りや伸縮性に優れていると思います。洋平殿が別世界から来たのだとすれば別世界の知識も非常に重要になると思います。そしてそのバイクも同様の意味を持つと考えられます。今は急に色んな事が起こって洋平殿も混乱していると思います。洋平殿に落ち着く時間を頂けませんか?」

「ふむ、確かにアイヴィの言う事は理にかなっておる。ここで壊すのは簡単な事じゃがその先まで見据えているとは。さすがは古代魔術師の弟子と言うわけか」

「いえ、冷静に判断したに過ぎません。」


アイヴィ・・・


「では洋平への処分を言い渡す。洋平への拘束を一時解く、七日の内に落ち着いたらまた顔を出すように、それまでバイクは城の地下牢の一室にて厳重に保管することを約束しよう。あとは誰かこの世界について説明出来る者を護衛も兼ねて洋平につけるとしよう。」

「その役目、私が引き受ける事はなりませんか?」


アイヴィが名乗りを上げた。どうしてそこまで俺に拘るのか。まぁ助けてくれた礼も言いたいからいいのだが。


「アイヴィ殿が引き受けてくれるのならこれ以上はおらんだろうが、しかし大丈夫なのかね?古代魔術師はいろいろと忙しいと聞くが。」

「私は師匠に旅に出て見聞を広めて来いと言われました。洋平殿がそのきっかけとなるような気が致します。私からは是非ともやらせて頂きたく思います。」

「そこまで言うのならもう止める理由等は無いな。では洋平はアイヴィ殿に任せる事にしよう。宿はどうするかね?城のを使っても構わんが。」

「いえ、城下の宿のが気持ちが晴れるかと思いますので、せっかくですが」

「なるほどの。では後はアイヴィ殿に任せるとしよう」


アイヴィは一礼をして俺の肩を抱き上げて謁見の間を後にする。俺がシルバーを見つめるのを察知してか


「そのバイクとやらは丁重に扱ってくれよ。私が持ってきた時は何もなかったが衝撃を与えると爆発するらしいからな。」


バイクを運ぼうとした兵士にアイヴィが声をかける。こうして俺は城を後にしたのであった。


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