商人5人衆
「ロイさん調子はどうっすか?」
「おぉ洋平じゃないか。見てくれ!全部売れたぞ!」
「まじっすか!すごいっすね。」
「いやー俺の魔道具も売れてお互いにいい商売だったと思うぜ。」
俺はガチャガチャを頼んだ宝飾商のロイの所に来ていた。全部売れるなんて、いい商人に違いないな。
「んでいくらになりました?」
「金貨一枚だ。」
「え?えっとー銅貨1枚が百円だとすると、100枚で銀貨だから、銀貨は一枚一万円だから、100枚で・・・ひひゃくまんえぇん?」
「何を言ってるかわからないがとりあえず洋平の取り分だ。俺も取り分はもらってるから、安心して受け取ってくれ。」
「うぉ!っとっとっと。」
ロイが金貨を一枚投げてくる。百万円玉を投げるんじゃない!これが金貨か、初めて見るな。
「てか、ガチャガチャ50個なのに一個銀貨二枚で売ったんですか?」
「いや一個銀貨一枚だ。」
「じゃあ計算合わないじゃないですか?」
「そこは俺の腕の見せ所だよ。まず洋平が作ったガチャガチャは素晴らしい。だが中身は同じのが出てくるやつ以外はそうでも無い。」
「そこがメインなのに。」
「だからな。中身を変えたんだ。俺が持ってる魔道具を入れてみた。新品のポータルストーンとインスタント系の魔道具だ。インスタント系は安いからいくらでもいいんだが、ポータルストーンは銀貨10枚はする。」
「でもそれじゃまだ計算が合いませんよ。」
「中身だけ買わせるんだ。外の石は回収する。そしてそれにまた中身を入れて売るんだ。だがまぁ石も欲しいって人も居たからな。そいつらには石を銀貨3枚で売ってやった。」
「なるほど・・・」
「まぁ最終的には石も全部売れちまって、何も残ってねぇがな」
上機嫌に笑うロイ。楽しかったんだろう。まぁ外側のカプセルは回収するのが一般的だがな。それに気づくロイはやはりすごい。
「そうだ。今日の夜一緒に飲みに行かねぇか?もちろん俺の驕りだ。俺の商人仲間も一緒なんだが、洋平を皆に自慢したいんだ。」
「えっと・・・嬉しいお誘いなんですが、実は少々立て込んでおりまして。明日ここのギルドマスターと戦うんですよ。その戦略を練らないといけませんので・・・」
「何!?なんで勝負するんだ!?勝てるのか?」
「いや、ちょっと愛する人の為に勝たないといけないんですが、今の所勝てる見込みがありません。」
「その勝負ってのは魔道具は使ってもいいのかい?」
「大丈夫だと思います。ダメと言われても使わないと勝てません。この金貨を使って何か使えそうな物を買う予定です。」
「よし!わかった!それじゃあ尚の事一緒に来てくれ!俺も洋平の力になりたいんだ。今日はもう露店や店はしまっちまってるが、俺の仲間ならみんな魔道具を扱ってるし、店なんて関係ねぇ。飲んでる時にみんなに相談すればきっと力になってくれるだろう」
「なるほど、確かに、その方が作戦も練りやすいですね。ではご一緒させてください」
「よっしゃー。みんな洋平の技術を見たら驚くぜ。」
俺はロイの商人仲間との飲み会に参加する事になった。これはいいチャンスだ。道具を揃えて作戦を練るのは早い方がいい。他の人の知恵も借りないと勝てないだろう。
そして俺はロイに連れられて、ローズンの酒場へやって来た。俺が依頼をこなした酒場だ。ロイに連れられて中に入り、席に案内されるとロイを除いて男女4人の人が座って待っていた。うずうずしている。
「いやーすまんすまん。お待たせ。今日はお客さんを連れて来たぜ。洋平ってんだ。みんなよろしく頼む。」
「洋平です。皆さんよろしくお願いします。」
「んなこたぁどうでもいいんだよ!早く座れ!!」
席に座っていた大柄な男が声を張り上げる。ちょっとビクっとしてしまった
「まぁまぁ焦るな。っと洋平飲み物は何にする?」
「なんでもいいです。皆さんと同じ物をお願いします。」
「おーいビール2つくれー」
ロイが店の定員に頼む。他の商人はうずうずしている。
「さっそくだがみんなに見せたい物があるんだ!」
「僕もあるんだ。みんな驚くぞ。」
「私もありますよ」
「あたいだってみんなに負けやしないよ」
「じゃあ一斉にみせるぞ!せーのっ」
ドン!
と4人がテーブルに置いたのは俺が作ったガチャガチャだ。
「なんだよみんな同じじゃねーか!」
「がっかり・・・」
「この技術は凄いですね」
「こんなのは初めて見たよ」
4人がお互いに自分のカプセルを自慢している。そこでロイが口を開いた
「実はな、その石を作ったのがここにいる洋平だ!」
全員の目が俺に注がれる。凄く熱い視線だ。
「じゃあまず手始めに洋平作ってみてくれ。ペンダントはいくらでもあるから、好きに使ってくれていいぞ。」
「はい、ありがとうございます。」
そういって俺はサクサクっと石のカプセルを作って皆に見せた。
「洋平の腕はいつ見ても素晴らしいな」
「兄ちゃん凄いな。ちょっとあれだが」
「凄い技術ですね・・・」
「ちょっと気持ち悪いですが」
「キモッ」
皆が俺の腕を称賛しているのはわかった。たぶん俺の動きが早くて気持ち悪いんだろう。
「洋平はそのまま石を作りながら聞いててくれ。実はみんなに相談したいことがあって洋平を呼んだんだ。明日ここにいる洋平はギルドマスターと決闘をする!その為にみんなの力を貸してもらいたい。」
「よろしくお願いします。」
俺は石を掘りながらみんなに頭を下げる。もうカプセル位ならよそ見しながらでも出来る。てか決闘じゃねーし。
「なんだって!そりゃ大変じゃないか!そうか決闘するのか。冒険者にしておくのは勿体ないがな。」
「そうなんだよ。実に勿体ない!これだけの技術がありながらも商才まであると来たもんだ。全く本気になれば俺たちなんて目じゃないぜ」
「ところで洋平さんは冒険者としてのランクはいくつなんですか?ギルドマスターはSランクというのは知っていますが」
「実は今日Dランクに上がったばかりなんですよ。」
「それは無謀と言うものですね」
「あんたの腕は認めるけどバカなのかい?」
全く俺もそう思う。勝てる見込みが無いのだ。何かしか力を貸してもらえれば。
「だからだ。俺達の力を洋平に貸してやりたいと思う。みんな協力してくれ」
ロイがみんなに頭を下げてくれる。俺も一緒に頭を下げる。石を掘りながらだが。
「この石を作った本人だからな。ロイが言わなくても俺が力を貸してやるよ!その変わりその石を・・・」
と大柄な男が言ったので俺は作って置いておいたカプセルを転がして大柄な男に渡す。
「うぉ~~~ありがてぇ!」
「ずるい!僕も力を貸すから僕にもくれよ!」
「あ!私にも」
「ちょっと抜け駆けは許さないよ!」
三人にも同じく転がして渡してやる。みんなニコニコしてる。
「よしでは作戦を始める前にだ。洋平はなんの魔術を使えるのか教えてくれ。」
「えっと・・・俺魔術使えないんです。」
「「「「「は?」」」」」
俺は魔術を使えない。それは事実だ。だがセクターにも勝ちたい。
「あの・・・魔術が使えないんですけど、魔道具とかで勝てる方法って無いんですかね?お金なら金貨があるんでこれでなんとかなりませんか?」
みんな黙ってしまった。やはり魔術が使えないのはデカいのか。するとメガネをかけた男が口を開く
「僕は勝てる可能性はあると思いますよ。みんなの力を合わせればですが。」
「そうなんですか。ありがとうございます。身体強化とかは得意なんで、攻撃はあまり当たらないと思います。皆さん知ってるかわかりませんが。一応古代魔術師の弟子をやってます。」
「古代魔術師っていうのはセリーヌ様の事かい?」
「そうです。あ、有名なんですね。」
「有名って何も、ここらへんじゃ知らない人は居ないよ。セリーヌ様と言ったら四勇者の一人じゃないか!水龍のセリーヌと言えば、子供でも知ってる事さ。」
「初耳ですね。」
またみんな黙ってしまった。てかセリーヌはやっぱり凄い人なんだな。四勇者の事も後で聞いておこう。
「でもまぁセリーヌ様の弟子って事は勝てる見込みはあるんじゃないかな」
「何かアイディアがあればお願いします。」
そういって俺はメガネの男に石を転がす
「おぉ!そうだな僕はこのカプセルを使うといいと思うな」
とメガネの男が話し出したらみんな一斉に意見を出し合ってくれた。俺はそれを次々と紙にメモし作戦を練っていく。いいアイディアが出たら石を転がす。俺も意見をいい合いながら、石は物凄いスピードでテーブルを転がっている。
すると店主がやってきた。
「兄ちゃんじゃねーか。よく来てくれたな。これは店からのサービスだ。何やら白熱してるらしいから頑張りな」
そういってみんなの目の前にステーキが出された。みんなでステーキを頬張る。
「「「「「「これだ!!!!!!」」」」」




