ガチャガチャ~伝説の始まり~
森へつくとなんだか懐かしい感じがした。最初は怖いと思った森だが、今の俺には対して怖くは無い。だが今は一人だ。誰にも頼る事が出来ない。まぁ困ったら逃げるかポータルストーンがある。まぁなんとかなるだろう。この森には大したモンスターも出ないらしいし。一番強いのでダイヤウルフだ。森の奥にはもっと強いモンスターが居て、その先にエルフの集落があるらしい。俺は注意深く森の中に入り、薬草と壮力草を探す。
「あ、あった。てか雑草並に生えてるじゃないか。まぁこのままでは食べれないらしいからな。っとこれが薬草でこっちが壮力草だな。なんだかあっさりだな。たぶん町の外ってだけで難易度が上がるんだな。」
ここまで来るだけでも結構な時間がかかってる。まぁこれも難易度が上がる要因なのだろう。俺は町に戻り冒険者ギルドに入る。ライラを見つけ、話しかける。
「ただいま戻りました。」
「早いですね。では確かに受け取りました。ではこちらが報酬ですね。」
「ありがとうございます。」
「今日はもうお休みになりますか?」
「そうですね。まぁDランクの依頼が無いんでまぁしょうがないっす。」
「明日の朝にまた来てくださいね。」
もう日は落ちかけていた。俺は今日の宿を探すことにした。昨日は安い宿に泊まったからな。今日は懐も温かいから、もうちょいいい宿に泊まろう。俺は一泊銅貨50枚の宿に泊まることにした。対して変わらん。ちょっと期待したんだがな。料理もそんなにおいしくなかったので俺は早々に眠り明日に備える事にした。明日こそはDランクの昇段試験を受けてDランクになってやろう。
朝ごはんも食べずに俺は冒険者ギルドへ向かう。ギルドは24時間体制で開いているので、朝の鐘が鳴る時にギルドへ入り、掲示板へ向かう。バル達を見つけたが無視だ。まだ絡んでくるならまた遊んでやるとするか。
「今日のDランクの依頼はなにかなー?お、ポグ5匹討伐があるじゃないか。これとあとはー薬草採取でいいか。」
俺は二つの依頼を取りカウンターへ行く。ライラはどうやら昼から仕事らしい。俺は受付のねーちゃんに依頼を受理してもらい。さっさと出かける。今日はDランクの試験を受けるんだ!
ポグの討伐もメルヴィルの森だ。薬草も一緒に採取するから昼には帰れるだろう。ポグってそこらへんに居るはずだよな。ちょっと不安だ。俺は急いで森へ向かいポグを探す。薬草を探すのは簡単だ。たまに壮力草があるので間違わないようにしないとな。薬草を取り終えてポグを探す。
「ポグちゃ~ん出ておいで~、出ないと目玉をほじくるぞー。出たら耳を切るんだけどな。」
モンスターの討伐依頼はその証拠としてモンスターの右耳を集めないといけないらしい。つまり倒したモンスターの耳を切らないといけないのだ。ちょっとぐろいけどまぁしょうがない。
「お。居た居た。ポグちゃん遊びましょ~。ってちょっと多いな」
見つけたのはポグの群れだ。10匹位居る。俺は石を取り出し投げつける。
「僕の石。それいけー」
超ご機嫌である。とりあえず半分は倒した。残りが俺に向かって走ってきている。今の俺は愛の戦士!誰にも負けん!
「ほれ、ほれ、よいしょー」
今の俺にはポグは楽勝だ。一撃で倒せる。俺は向かってきた5匹を剣を使い一瞬で倒す。そして耳をはぎ取らないといけない。
「うわ、ちょっと気持ち悪い。ポグは顔もブサイクだからなー。綺麗なねぇちゃんだったらいいのに。でもそれじゃ倒せないな。」
なんて事を考えながら気を紛らわせる。そうじゃないとやってられん。俺は耳を5つ集め。残りの気絶してる5匹は剣を突き刺して終わりだ。耳を剥ぐのはもういやだ。とりあえずこれで依頼はクリアだな。と思っていると
「ん?お?でけーなおい。」
木の陰から巨人が覗き込んできた。巨人と言っても体長は4メートル位だ。まぁ十分でかいが、今の俺には・・・
「よし、逃げるか。」
別に今戦う必要はない。いずれ戦う事になるだろうが、今じゃない。腕試しをしてもいいが、今はランクを上げる事が優先だ。ということで全力で逃げる。巨人が追ってくる素振りもしないので楽勝だ。俺はさっさと城下町に戻る。まだ時間は昼の鐘が鳴る前だ。やはりメルヴィルの森は遠いな。結構全力で走ったんだけどな。俺はギルドへ向かい。カウンターにゴブリンの耳が入った袋と薬草を置く。ライラはまだ居ないらしい。やっぱ顔見知りの方が話しかけやすいな。
「終わりました。」
「はい、では確認させて頂きますね。はい。確かに受け取りました。洋平様はこれでDランクの昇段試験を受けられますね。すぐに申請しますか?」
「はい、お願いします」
「では確認してきますので、少々お待ちください。」
そういって奥に引っ込んでいった。昇段試験って何するんだろうか。ポグとかと戦闘が始まってるから、どれくらい戦えるか試されるのかな。今の俺は大丈夫だろう。
「お待たせしました。次のDランクの昇段試験は明日の昼の鐘がなる時に行いますので、その時間までにカウンターにお越しください。」
「え?今すぐ受けられないんですか?」
「そうですね。他の人も居ますのでご一緒に試験を受ける事になると思います。」
「なるほど、わかりました。ありがとうございます。」
俺はそういって報酬を受け取りギルドを後にした。明日の昼かよ。ということは丸々一日暇だな。まぁ確かに試験は一緒にやった方が効率的ではあるな。個別にやると人も裂かないといけないしな。まぁ当然か。
と言う事で一日暇になったので、また商店街に行き露店を漁る事にした。
「いらっしゃい。昨日の兄ちゃんか。今日はどうしたい?」
「ちょっと聞きたい事があるんですけど、粘土を出せるペンダントって無いですかね?」
「粘土か~無い事も無いが、何に使うんだい?」
「ちょっと何か作ろうかと思いまして」
「兄ちゃんは造形師なのかい?」
「いや、まぁそんな感じっすね」
「それならペンダントのはダメだな。一応クレイペンダントってのはあるが造形をするのには向かねぇ。粘り気が少なく、粘土というよりは泥に近いからな。形を作るのは不可能だ。」
「そうですか・・・」
残念。粘土欲しかった。やり直しが出来るのは重要だったのに。石やるのも慣れてきたけど、細かい作業はまだまだ難しい。
「兄ちゃんはどうゆうものを作ってるんだい?」
「え?あぁ、こうゆうのですね。」
そういって俺は持ってきたガチャガチャとマトリョーシカを取り出す。
「こうやって中を開けると中に何かが入ってるんですよ。あとこれは開けても中から小さい同じやつが出るやつですね。同じのが4つ出てきます。」
「おぉ!兄ちゃんそれは凄いな!ちょっと見せてくれないか?」
「いいですよ。どうぞ」
宝飾売りの商人は興味深そうに見ている。ほーとかなるほどとか呟いている。
「兄ちゃんありがとよ。それは作るのに結構時間がかかるのかい?」
「いやすぐに出来ますよ。」
「今ここでも出来るのかい?」
「何かイスとテーブルがあれば出来ますね。」
「んじゃあちょっとやってるとこを見せてくれないかい?」
「今日はもう暇になったのでいいですよ。」
と言って露店の奥の作業台みたいな所に向かう。今日はもう暇なのだ。こうやって商人と仲良くなって置くのも悪く無い。いい暇つぶしにもなるしな。
「インスタントオン!んじゃ始めますね」
商人の目の前で石を作り出し。ガチャガチャのカプセルと中に入れるモンスターを作る。今回作るモンスターは猫みたいなやつだ。余り細かい作業は出来ないからまぁ結構雑だ。一応リューターとか道具一式は持って来ていてよかった。
「はい、出来ました。」
「兄ちゃん。凄い早いな。色々と。っとこれは凄いな。一瞬でこれだけの作業が出来る人はそうは居ないぞ。いい腕してるな。」
商人はカプセルを見つめて何やら考えている
「兄ちゃんもしよかったらこれを売ってくれないか?」
「え?」
「いや、無理ならいいんだ。ただこんな物は初めて見てな。商売魂が燃えると言うか、仲間に自慢したいというか。とにかくこれは凄い技術だ。」
「まぁ、こんなんでよかったらどーぞ」
「おぉ!ありがたい。んでいくらだい?」
「いやー初めて売るんで値段とかわからないんで原価もこれですからね。」
「んじゃあ銀貨一枚でどうだ!?」
「えぇ?そんなに?」
「いやいや、兄ちゃん。謙遜しちゃいけねぇよ。これは凄い技術だ。もっと高くてもいい位だ。」
「まじっすか。じゃあそれでいいですよ」
「おぉ!ありがとう!では銀貨一枚だ。」
「こちらこそありがとうございます。」
「そうだまだ名前を聞いてなかったな。俺はロイってんだ。兄ちゃんの名前も聞いていいかい?」
「僕の名前は洋平と言います。」
「洋平か。よかったらまた店に遊びに来てくれよ。サービスするからよ。」
「はい。ロイさん。ありがとうございます。
そうして俺はロイと顔見知りになった。てかガチャガチャ一個銀貨一枚か。なんかこれ商売出来るんじゃないか?ガチャガチャってのは中身が大事だ。石のカプセルだから中身は見えないし、店でも開いて一個銅貨10枚中は何が入ってるかお楽しみってのも流行りそうだな。ペンダント安いしな。
俺は初日に泊まったペリカン亭に戻った。ここのご飯が美味しい。俺は部屋を借り創造を始めた。どうせ明日の昼まで暇なんだし。色々やってみるか。商売になるかもしれないしな。ペンダントで出る石は全部同じ大きさなのがいい。これならマトリョーシカもガチャガチャもわからない。マトリョーシカはちょっと大変だから当たりにしとくとして。外れはスライムでいいな。あとは猫と犬か。鳥とかも欲しいな。
ストーンペンダントは石のペンダントの上位版だ。石は拳サイズなのだが。ストーンは顔程ある。俺は石のペンダントでカプセルを作り、ストーンペンダントで中身を作る。ひたすら作る。ペンダントが壊れてもまだまだストックがあるから作る。作る。作る
「あ、もう無いのか。」
ちょうど夜の鐘が鳴っていた。床には俺が作ったカプセルが散乱している。石のペンダント一個で10個作れるから。合計50個のカプセルだ。調子に乗って作りすぎたな。こんなに運べないし。と思って夕食を取りに部屋を出て一階で食事を取る。その時に宿の人に部屋を4日分追加で払って借りることにした。明日朝市でロイさんの所に行こう。どうせ暇なんだ。
俺は朝、鐘の音と共に起きて朝食を食べ露店へと足を運ぶ。リュックに詰めるだけ石を詰めて。超重い。カプセルだと言っても石だからな。
「ロイさんおはようございます。」
「おぉ。洋平か。おはようさん。すまんなまだ開店前なんだよ。ところでその荷物はどうしたんだい?」
「ちょっと調子に乗りすぎちゃって」
と言ってリュックから大量のカプセルを見せる。
「おぉ!これはこれは。全部昨日のと同じやつかい?」
「そうですね。中身は5種類位ありますね。」
「ほほう。悪いがこんなに大量には買い取る事は出来ねぇよ。」
「いえ、そうじゃ無いんです。」
「ん?どうゆう事なんだ?」
「実はロイさんにこれを売ってもらおうと思ってきました」
「商売の話って訳か。いいだろう。まぁ立ち話もなんだから奥に来て座れよ。軽く飲みながら話そうぜ。」
ロイが温かい紅茶を入れてくれた。そして作業台に向かいあって座り話し始めた。
「んで、どうゆう話だい?」
「これはですね。ガチャガチャと名付けましたが。石の中に何が入っているかわからない。クジなんです。」
「おぉ!それでそれで?」
「これを店の前に並べてお客さんに好きなのを選んでもらうって感じですね」
「そりゃあいい!凄いアイディアだな!技術だけじゃなくて商才もあるようだな」
「ですが、今日僕はDランクの昇段試験があって、その後も依頼をしないといけないので、代わりにロイさんに売ってもらいたいんですよ。」
「なるほど!というか洋平は冒険者だったのか。剣をさしてるからもしかしてと思ったんだがな。だがいいのか?俺に任せても?まだ知り合って二日だぜ。昨日まで名前も知らなかったんだぞ。持ち逃げする事だって考えたらどうだい?」
「まずそのガチャガチャは安価ですし、持ち逃げされたって対して被害はありません。その石を全部持ち運ぶのにも結構重いですし。なにより他で売ったら足がつきますよ?」
「こりゃあ一本取られたな。まぁ俺はそんな事をしないから安心しとけ。露店は夜の鐘が鳴るまでは開いてるからそれまでに来てくれ。値段はどうする?」
「ロイさんを信用しているんで、お任せします。」
「任しとけ!これなら昼には全部売れちまうかもな。」
「ではよろしくお願いします。あと宿に残りもあるんで持ってきます。」
「まだあるのかよ・・・」
ロイは少々飽きれた顔をしていたが、すぐに商人の顔を取り戻しメラメラと燃え上っているように見えた。俺は宿から残りのガチャガチャをロイの所へ持っていき、ギルドへと足を運ぶのであった。




