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帰省


「何?馬鹿猫の所に行くだと?」

「だってドルドフスに行く途中にあるし、シルバーもファングもリンセも居るし。何より俺の家だからな。行かない理由が無いだろう?」

「私は行かんぞ!」

「でも俺は行くぞ!」

「ならここからは別行動だ!行くぞルドルフ!」

「待て!ルドルフを連れて行く気か!?」

「お前らを二人っきりに出来る訳が無いだろう?」

「そんな理由で・・・。理不尽だ!俺は断固として抗議する!」

「うるさい!さっさと行って来い!」

「あ~れ~~~~・・・」

「ベイルの町で待ってるからな!」


新たに仲間に加わったリソワと共に三人でウィンストハイムで宿を取りこれからの事を話しているときに起こった出来事だ。俺はセリーヌの所に行く気満々だったのだがリソワが断固として譲らなかった結果。俺は一人でセリーヌの家へと帰った。もちろんセクターのエターナルでタクシー代わりをしたのだが。


「久しぶりに見るとやっぱ落ち着くな。」


セクターは仕事の途中だったのでさっさと帰って俺は一人で家の前に着いた。俺は家には入らず、裏の湖のほとりに立てたアイヴィの墓標と言うには忍びないが表向きには墓と言う所に立った。


「まだまだ。先は長い。まだ3つ試練が終わっただけだ。残るは土。光、闇、そして時・・・。まだ半分も終わってない。新しい土地。未開拓の土地。情報が無い中でどれだけ頑張れるか。いや、やるしかないんだ。着々と力を着けてる自信はある。俺がこの世界に来てもうそろそろ一年か。アイヴィ・・・。待っててくれ。必ず迎えに行く。」


アイヴィの墓に手を合わせアイヴィの事を想い祈る。ふとアイスが目についた。俺がアイヴィの墓にお供え物のような形でおいているアイスだ。俺がここを旅立つ前にしっかりと魔力を込めて作っておいたのでまだ溶けてはいない。俺はもう一度それに魔力を注ぎ溶けないようにした。アイスを見ると、俺がアイヴィと出会った時の事を思い出す。アイヴィと過ごした日々を。ここに来るとまだまだ頑張らないといけないと言う気持ちがまた固まってくる。俺はその為にここに来ているのだ。アイヴィと過ごした時間を忘れないために。


「なぁ~に感傷に浸っているのにゃ。」

「いや、ちょっとな。気持ちの整理とか再確認だな。」

「とりあえずおかえりなのにゃ。」

「あぁ。ただいま・・・。」

「とりあえず臭いのにゃ!その臭いを落としてくるのにゃ!よーへーの真似のダイダルウェイブにゃ!」

「うわっ!ちょっ!まてっ・・・」


俺はセリーヌの作り出した水の波によって湖に落とされてしまった。臭いってなんだよ。前も言ってたリソワの臭いってやつか。今後は一緒に旅をするってのも話さないといけないよなぁ。あぁ気が思いやられる。


「ただいまー」

「よっへ!」


湖から上がりびしょびしょのままセリーヌの家のドアを開ける。開けたドアのすぐ目の前にはリンセが可愛らしいエプロン姿で待っていて俺に飛びついてきた。


「久しぶりだな。元気だったか?」

「よっへ!よっへ!よっへ!よっへ!」

「元気そうだな・・・。ちょ・・・。抱きしめるのは嬉しいんだが力が強い・・・。」

「よっへ!びしょびしょ!ん!」


リンセが再び俺に抱き付くと不思議な感触が体を包み込む。するとびしょびしょだった俺の服は一瞬にして乾いた。


「あぁ。その髪飾りの力か。他の人にも使えるのな。ありがとう、リンセ。」

「よっへ!ごはん!作った!一緒に食べる!」

「おっ?リンセが作ったのか。楽しみだな。」


リンセが俺の手を引っ張りテーブルへと着かせる。当然のようにリンセは俺の隣に座り、リンセの向かいにセリーヌ、そして俺の向かいにも一人・・・。


「どうしてお前が居るんだ・・・。クリスト。」

「なんだ。俺が居たらダメだっていうのか?」

「いや、別にダメだっていう訳じゃないけど・・・。ここ俺の家だし。」

「正確にはセリーヌ様の家だ。」

「あぁもうわかったわかった。クリストに付き合ってると疲れるからな。せっかくの料理が冷めちまう前に食べよう。」

「そうだな。俺が作った料理をとくと味わうがいい。」

「え?クリストが作ったのか?」

「なんだダメか?」

「だってリンセが作ったって・・・。」

「二人で一緒に作ったんだ!共同作業だぞ!どうだ!いいだろう!羨ましいだろう!」

「なんだその二人で初めての共同作業的な言い方は。別に羨ましくもなんとも無いわ。まぁいい。リンセが作った事には変わりないんだ。頂くとしよう。」


四人で食事をする。その間に色々な話をした。火の試練が終わってから風の試練に挑み、それを突破した事。リソワが旅の仲間に加わった事。どうやらガルガンティアでも各地で色々な事が起こっているらしい。魔物が活性化したと言うのが一番の情報だった。セリーヌとクリストの見立てでは俺が試練を突破していくにつれて神の封印が緩くなり、この世界に徐々に干渉しているという見解だ。それを聞いて試練を今後も挑むか悩んだが、精霊も封印されて各地に恵みを与えれない事を考えるとどうやら試練を突破した方が恩恵は大きいようだ。魔物の活性化も今はそれほど大きな問題にはなっていない。徐々にではあるが増えてきているという。近々ギルドで討伐隊が編成され定期的に大規模な狩りを各地で行うと言う運びになっているので今後も試練を受けるのは問題が無いと言う。


「ふぁ~あ。なんだか食べたら眠くなってきたな。最近気の張りっぱなしで疲れてたかもな。今日は久しぶりにゆっくり眠れそうだ。」

「あいつと居るのは疲れるのには同意するのにゃ。」

「よっへ!一緒に寝る!」

「な!馬鹿な!俺だってまだ一緒に寝てないと言うのに!」

「わーわー騒ぐな。見ろ。これが現実だ。」

「く、くそう・・・。」

「あ。そうにゃ。よーへー。」

「へい?」

「明日シルバーの事で話があるからよーへーの意見を聞きたいからよろしくなのにゃ。」

「なに!シルバーだと!まさか直ったのか!動くのか!今からでもいいぞ!どうすればいい!」

「まぁ今日はゆっくりリンセと休むといいのにゃ。シルバーは今ファングが見てるから安心するといいのにゃ。」

「そういやファングの姿が見えないな。まぁ明日ゆっくりと話そう。行こうリンセ。」

「よっへ!よっへ!」

「あぁ、俺のリンセ・・・。」


食事の後急に眠気が襲って来た。俺はリンセの手を引いて久しぶりの自室へと向かう。明日はシルバーの事で何か進展があったらしいのでその話し合いをすると言う。ファングが今見てるって言うのは一体どうゆう事なのだろう。俺は自分の部屋でベッドに倒れ込むと急に眠気が襲って来た。俺はそのまま意識を手放そうとした。


「おい!俺も一緒に寝るぞ!」

「・・・。ウォーターバレット。」

「うぎゃっ!」


意識を手放そうとする度にクリストが部屋に乱入してくるのでなかなか寝付けなかったが、疲れていたので気にするのもバカバカしいと思い俺は眠りについた。




今年も総選挙で名前が呼ばれなかった・・・



まぁ入ってないんだけどな!w

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