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修行開始

「ぐあーーーーーーー」


俺は悲鳴をあげていた。朝にアイヴィに起こされるという完璧なシュチュエーシュンを体感し幸福感に浮かれていたのだ。今ならなんでも出来ると。


「よーへーはセンスが無いのにゃ、才能が無いのにゃ。もう諦めた方がいいのかもしれないにゃ。」


朝食を食べてからセリーヌの特訓を受けていた。魔力操作の特訓である。アイヴィは隣で楽々やっている。


「ちょっと一人で練習してるといいにゃ。出来なければ昼食は抜きだにゃ!」


セリーヌの特訓は難しい。体の中にある魔力を一か所に集中するという事だ。始めは指先に集中するといいらしい。俺は指先を見つめて意識を集中する。


「ぐぬぬぬぬ・・・」


全く出来る気がしない。ここで俺は指先に集中するのをやめ。今日の最初に言われた事を思い返してみる。


「魔術というのは精霊から力を借りて使うとされているが、僕はそうは思わないのにゃ。魔術はイメージの集合体というのが僕の持論だにゃ。でも魔術の詠唱には意味があるとされているのにゃ。まず最初にその精霊の名を呼ぶ。火の精霊よ。とかだにゃ。これはまずどの系統の魔術を使うかのイメージ。その次にどうゆう魔術にするかのイメージ。敵を屠る爆炎をとかだにゃ。そして我に力を。で魔術に対する大きさをイメージするのにゃ。そして魔術の名前を言うのにゃ。これで魔術を放出するのにゃ。つまり魔術はイメージの塊なのにゃ。イメージが明確に出来れば僕みたいに詠唱をしないでも魔術は使えるのにゃ。指先に火を灯す位なら詠唱も無いし、たいしたイメージもしなくても出来るのにゃ。でも詠唱をすることによってよりイメージが明確になり、威力も変わってくるのにゃ。」


ということだ。魔術とはどうゆう魔術にしたいかのイメージによって様々な魔術が出来そうだ。だが新しく魔術を生み出すには明確なイメージが必要で、詠唱も自分で考えなくてはならず、新しく生み出すことは難しいのだそうだ。強い魔術を使う為には実際にその魔術を見たり食らったり、詠唱を覚えたりしないと新しく覚えることはできないのだ。初級魔術入門という本など文献もあり簡単な魔術なら本の通りに詠唱すれば使える。資質があればだが。しかし俺には魔術の資質が無い。魔術の資質が無い人の前例が無い訳ではないのだが。精神力は高く無いのだ。だが俺には精神力が余りある。つまり魔力を体に持っているということなのだ。しかしそれを使う方法がわからない。セリーヌの理論を反芻しても答えが出てこない。なにか資質があればその系統の初級魔術を使って体の魔力の流れをつかむ事が出来るのだがそれが出来ない俺にはこの魔力操作は尋常じゃない程難しい。


「どーっすかなー」


魔術が使えないと精神力が無駄になりまさに宝の持ち腐れだ。セリーヌの家の裏庭で特訓をしていて、すぐそばには水の精霊が居る湖がある。


「いっその事やっちまうかなー。でもそしたらそのあとが大変だしなー。成功するかもわからん賭けはしたくないな。石橋は叩いて渡りたい。」

「洋平、調子はどうですか?」


アイヴィがこっそりパンを持って来てくれた。アイヴィマジ天使


「ん~やっぱり資質が無いから魔力の流れを掴むのが難しいのかな。これじゃ言い訳か。まぁまだ初日ですからね。すぐに出来るとは思ってませんよ。」

「そうですね。私も魔力操作から身体強化を実践で通用するレベルにするまで5年はかかりましたから。」

「アイヴィは優秀なのにゃ!普通なら10年はかかるのにゃ。資質の無い洋平ならもっと時間がかかるのにゃ。」


いつの間にかセリーヌが後ろに立って居た。そしてアイヴィが持っているパンを食べてしまう。


「あんまりよーへーを甘やかすのはよくないにゃ。午後はアイヴィと一緒に勉強するのにゃ。僕はよーへーにずっと構ってられるほど暇では無いのにゃ。」


じゃあ来るなよ。となると午後はアイヴィと二人きりという訳か。期待に胸が躍るぜ。


「では洋平殿の部屋で勉強をしましょうか」

「わかりました。よろしくお願いします。」


セリーヌはどうやら古代兵器の研究や創造師の事を調べたり、色々忙しいみたいだ。しょっちゅうポータルストーンでどっかに飛んで行ってる。あれ高いんだろう?

そして俺の部屋で勉強をすることになった


「ではまずこの世界の文字について勉強しましょう」

「はーい。アイヴィ先生よろしくお願いします。」


真面目な生徒を演じてやる。いいところを見せるチャンス。大学受験までこなした俺は頭が悪い方ではないと思う。自分なりの要領良く勉強するのが得意なのだ。アイヴィに基礎さえ教えてもらえばあとは一人で勝手にやって、成長ぶりに驚かせてやろう。


「っとその前に洋平にプレゼントがあります」

「!!!」

「赤と青と緑と黄色どれがいいですか?」


アイヴィが手を後ろに組んで嬉しそうに聞いてくる。4択か。なんだろう服か。だがそれでは後ろに隠しきれないしな。4色ということは、各精霊にちなんだモノか。赤が火。青が水。緑が風。黄色が土って事だな。全部欲しい・・・


「じゃあ黄色で」

「黄色ですか?」


なんか以外な顔をされた。違ったのか。


「はい、どーぞ」


そういってアイヴィは黄色い小さい石がついたペンダントを渡してくる


「ありがとうございます」

「それはインスタント系の魔道具です。魔道具にはランクがあって、その魔道具はDランクで一番下のランクの魔道具になります。精神力があれば誰でも魔術を応用したことが出来るのが魔道具です。その石のペンダントは、土属性の魔術が使えます。インスタント系の魔道具は何度も使うと壊れてしまうので注意が必要です。では試しに使ってみましょうか。ペンダントの石を握り念じて、インスタント、オンと言ってみてください」


俺はまじまじと黄色い石を見つめ握り念じる


「インスタント、オン!」


すると手の下からこぶし位の大きさの石が出てきた。


「おぉ!」

「よかった。出来ましたね。魔道具を使うと精神力を使います。さっきので魔力の流れを感じることが出来ましたか?」

「あ・・・もう一回やります。インスタントオン」


今度石を念じながら意識を体の中に集中する。


「あれ?何も感じない・・・もう一回やってみます」


またやってみるが何も感じない。

もう一回だ

ダメだ

もう一回だ

ダメだ

繰り返している内にペンダントの石が砕けてしまった。


「あぁ・・・ごめんなさい」

「なにか掴めましたか?」

「いいえ全く・・・」

「そうですか・・・」


机の上には石がごろごろと10個転がっている。ペンダントを無駄にしてしまったな。

アイヴィは俺に魔力の流れを掴んでもらおうと思ってくれたのか。その優しさが痛くて涙がこぼれた。


「大丈夫ですよ。これは安いのでまた買ってきますね。一応他のペンダントも買ってあるのでここに置いておきますね。土はいいですけど、他のは家の中では使わない方がいいですよ。では気を取り直して勉強しましょう」


アイヴィと一緒にこの世界の文字について勉強した。母音と子音からなっていてそれの組み合わせのようだ。つまり覚えるのは難しくないAIUEOKSTNHMYRWみたいなもんだ。14個の記号を覚えればあとはその組み合わせで文字は読める。まぁ濁音とかは別にしてだが。記号もそこまで複雑ではなかった。1~0までの数字さえ覚えればあとは文法も日本語と同じで特に覚えることは無い。特別な単語とかもあるらしいがアイヴィも読めるのは少なく、別に覚える必要はないのだそうだ。だがこうゆうのは忘れやすいから毎日の反復が大事だな。文字を覚えればこの世界の本が読める。そしたら自分で色々と調べることが出来るかもしれない。


「では今日はこれくらいにしましょう。私は晩御飯の支度をしてきます。出来たら呼びに来るのでそれまではゆっくりしていてください。」

「ありがとうございました。アイヴィ先生。」

「今度先生って呼んだら、洋平さんって呼びますよ?」


といってにっこりと部屋から出て行った。もうちょっと家庭教師を楽しみたかったのに。まぁ忘れないうちに復習しておくか。てかこの石邪魔だな。でも綺麗に丸い石だ。こうゆうのを削って形作るのもいいかもしれんな。俺は創造師だしな。とりあえずなんでもやってみよう。


その日の夜から俺の日課が始まった。晩御飯を食べてから勉強の復習をし、魔力操作の練習をやってはすぐ無理だと諦め。それから石を持って何を作るか想像する。やっぱあれかぁロボット欲しいよなー、フィギュアとか窓際に並べたいな。でもこの石の大きさだしな。あまり細かいのはダメだな。慣れてからにしよう。リューターとか無いしノミとハンマーのこの大きさじゃ使えないからとなると彫刻刀だとすぐ壊れるか。石用の彫刻刀ってなんだ。印刀ってハンコを作る用のやつだけどハンコは石だから印刀でいいのか。だが石を掘るという経験は無い。とりあえず明日は印刀を借りてこよう。全てはそれからだ。今日は何を作るか想像しながら眠るとしよう。



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