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まほう部(仮)

いずれこの小説を長編化させたいなと思っている作品です。

よかったら見ていってください。

 とある高校の地下一階にある、とある部屋にまほう部という部が密かに活動している。このまほう部というのは、魔法のステッキを駆使して、あらゆる魔法関係の事件を解決する部活である。

 で、この魔法を扱う怪しげな部活なのだが二ヶ月前にも世界征服をしようと魔法を使った者を命懸けで阻止するという功績がある。・・・といっても本当のところは、大きな事件はこの一件だけで学校内のいざこざを解決したり部室内でダラダラしている程度の部活である。

 ちなみにまほう部は学校非公認である。

 そんな部活に所属する雑用係の中肉中背の少年―――山神龍は部室へ行く途中の窓の外の光景を震えながら見て、目を疑っていた。

 校庭は真っ白になっていた。白い雪が寒々と降り続いており、雪がうっすら積もっていた。

「どうなっている・・・」

 龍は自分のデジタル腕時計と外を交互に見ながら呟いた。

 彼がこのようにいうのも無理もない。時計の表示は七月二〇日となっている。

 時計が狂っているわけではない。昨日は確かに暑かったし、学生にとっての敵である試験(期末)をつい最近終わらして、夏休みがやってくると喜んでいたハズなのに・・・

外は雪がうっすらと降り積もり、気温は〇度以下を突破しているかもしれない。つまり、夏と雪を飛ばして冬が来てしまったのだ。

 朝はいつも通り暑かったので薄着をしていた龍は寒さに震えながら、走ってまほう部の部室に向かった。

(魔法絡みの事件だよな・・・)

 このまま放っておけば、世界は大変なことになってしまうであろう。




 龍は部室の引き扉を開ける。まほう部の部室は元々、物置であった。その名残なのか所々に机や学校の機材やらダンボールやらが積み上げられている。部屋の後方には部長用のシステムデスク。真ん中にはフローリング用の置き畳があり、大きめのちゃぶ台がある。龍は部室の入口でわざとらしく叫ぶ。

「事件だ!雪が降ってるぞ!秋夏飛ばして冬が来た!」

 しかし、返ってきた言葉は

「こたつはいいわね~」

「そうですね~先輩!」

「・・・みかんおいしい・・・」

という、こたつに入った少女たちののんきな声だった。昨日までちゃぶ台だったはずだったはずが暖かそうなこたつに変わっていた。

 こたつの上にはみかんがいくつか積まれている。部屋の脇にヒーターが出され、暖かい風を送り出しており、部屋全体は暖かくなっている。

「なにやってんだー!こたつなんて出してきやがって!」

 ホッコリした空間に声を上げて突っ込む。

 そんな龍に部長である嬢ヶ崎美澪は凛とした顔を呆れた様にしてロングストレートヘアーをくるくる弄る。

「雪が降ってるくらいでそんなに興奮しないでくれる?君は小学生?」

「高校生だよ!・・・いきなり夏から冬になってるんだぞ!何を冬を楽しんでんだよ!」

「うるさいわね。みかん投げるわよ」

 美澪は学校で一位二位に入る容姿端麗、才色兼備でファンクラブがあるくらいの美少女なのだが、この部活内のみでめんどくさがり屋のダメ人間だ。毎度この部活に来るたびにドキマギするのだがそれは外見だけで中身はダメな人。部活外の人はみんな騙されている。その反面まほう部に居るときは通常とは違ってイキイキしていたりする。

 本来はまほう部の本質を一般人には多く知られるべきではないのだが、ある日に一般人だった龍が深く知ってしまったときに、美澪が龍を脅迫して無理やり雑用係として入部させたという偉業(?)がある。

 龍はため息をついて、美澪の隣にいる後輩に目を向けた。

「ヒメ!おまえも何、ほっこりしてるんだ!」

 突然呼ばれた天竜姫はビクッとする。

「あっ!はい。すいません。美澪先輩にこたつに入れって言われまして~あっ!でもこの異常事態についてはこの魔法使いヒメがこたつに入った時に報告済みですよ。龍先輩!」

 自称魔法使いちゃんはセミロングの髪とアホ毛を揺らしながらのんきに元気よくニコニコと笑いながらみかんをむき出す。

(事件解決する気ないだろ・・・こいつら・・・)

「・・・おにいちゃん。みかん食べる?」

 その横の山上静菜が控えめな声で白いスジの無くなったみかんを小さな手で差し出してきた。この短髪に髪留めの女の子も龍の後輩だ。

「その呼び方やめてくれないか?」

「じゃあ・・・おにぃ」

「そういうことでなくてさ。俺らは・・・

「あにき・・・」

「いやだから苗字が・・・

「・・・ご主人様?」

「種類が変わった!・・・・・じゃねぇよ!」

 龍は静菜に近づき、一発軽くチョップをする。すると「うっ」と可愛らしい声を漏らす。

「へぇ~龍先輩は妹さんいたんですね」

 姫が悪乗りしてきた。

「おまえまで・・・。俺らは苗字の読みが同じってだけだ」

「ということは、ご結婚されたんですか?」

 姫は目を輝かせながら聞いてくる。その言葉に静菜はわざとらしく顔を赤くして、もじもじとする。

「・・・ケッ」

「今、ケッて言った?ケッて言ったよね?この流れおかしいよ」

「先輩~静菜ちゃんはツンなんですよ~」

 その割に静菜の目つきが明らかに違う。物静かな感じからS気のあるつり目の鋭い目だ。それに可愛らしい黄色い髪留めが赤いポイントウイッグに変わっている。

身長は龍より一回り小さいのだが雰囲気からして大人っぽい。雰囲気も妹キャラからツンツン(デレはつかないだろうな)の大人な感じへジョブチェンジだ。

 これが山上静菜の裏の人格の山上うららだ。

 静菜はもう一つの人格を持っており、時と場合により突発的に現れるのだ。

 ちなみにうららという名前は山上静菜の『裏』から『うらら』というふうになった。これは姫が名づけたのだ。

 うららが龍を一瞥すると

「あたしは認めないが、静菜はたけのこの里よりおまえのことが好きなんだと」

「なにそれ。俺、どの辺にいるの?」

 龍は喜べばいいのかよくわからない。

 うららが皆を見ながら立ち上がる。

「あたしはきのこの山派なんだが・・・どうも静菜がたけのこの里ばっかり食べる」

「だ、だから?」

「きのこの山を部室に常備しておけ」

「その心は?」

「きのこの山をあたしが静菜の隙をついて食う」

 そんなうららに一同は呆然。沈黙が訪れる。

「・・・・・・あれ?どうしたんですか?」

 初めに沈黙を破ったのは静菜だ。どうやらうららは言いたいことだけ言ってお帰りになったようだ。ポイントウイッグも髪留めに変わっていた。

 龍はよくわからない疲労感で床にへたれこむ。

 補足すると山神龍と山上静菜はもちろん兄妹でも配偶者同士でもない。ただ苗字の読み方が同じというだけだ。

「まあまあ龍先輩。寒いんですからこたつに入ってくださいよ」 

 姫はこたつの布団をたくしあげた。

「・・・そうだよな」

 龍はやれやれと言った感じで姫の言う通りにこたつに入った。




「みかん取って頂戴」

「・・・どうぞ」

「やっぱり冬はこたつとみかんですね。龍先輩」

「そうだな。あったかいわ~」

 四人はこたつに入って暖かほかほかな時間を過ごしていた。

「じゃねぇーーー!!」

 龍自身このほかほかな時間―――細かく言うと三十分程の間忘れていた。夏が冬になっていることを。

 龍はこたつから這い出て叫ぶ。

「みかん食ってる場合じゃねぇ!」

 そんな龍に美澪は呆れた様に

「雪が降ってるくらいでそんなに興奮しないでくれる?君はパンダ?」

「パンダじゃねぇよ!なんでパンダだよ?!・・・いきなり夏から冬になってるんだぞ!俺たちはなんでこたつ入ってみかん食ってんだよ!」

「うるさいわね。みかん投げるわよ」

 美澪はみかんを持ち上げ、龍を狙う。龍はそれを掴めるように構える。

 姫はそんな龍を見て

「あっ!この異常事態についてはこたつに入った時に報告済みですよ。龍先輩!」

 この会話に龍は違和感を覚える。なんだかデジャブのような・・・。

「・・・おにいちゃん。みかん食べる?」

 静菜の言葉で確信した。繰り返されている。先ほどのやり取りが。

「もーーーいい加減にしろ!事件を解決する気はねぇのか!」

 痺れを切らした龍は声が枯れるほどに叫んで怒りを表す。

 静菜と姫はみかんを食べるのをやめる。美澪は頬杖をついたまま言う。

「そんなの警察に任せればいいじゃない」

 姫と静菜は彼女の発言に驚いたように

「それじゃあ私たちのアイデンティティが!」

「・・・警察じゃ解決できないのを解決するのが私たちの仕事・・・」

 そう彼女の言うようにまほう部は魔法関係の事件を解決するための部活だ。じゃあいつ活動するのか。今でしょ。

 部員たちの反応をフフッと面白そうに見ると部長の美澪はスマートフォンを操作する。

「安心して犯人の居所はわかっているわ」

「「マジで」」

 確信があるように言う美澪に龍と姫の声が重なる。

 嬢ヶ崎美澪は魔法の分析に関してはピカイチであり、あらゆることにめんどくさがるはずの彼女は魔法のことだけはやる気だったりする。

「月額三一五円で魔力検索してくれるこのアプリって楽ね」

「嬢ヶ崎が調べたんじゃねえのか?!てかアプリで取れるのかよ!!」

「あっ☆レアカードゲット!」

「あっ☆じゃねぇよ!ゲームすんな!」

 前言撤回。スマホゲームを楽しむ美澪を尻目に龍はため息をつく。

 これが我らの部長なのだ。


 バァン!


 突然部室の扉が開け放たれた。

「雪降ってるヨ!雪合戦!」

 金髪碧眼の少女―――レミレス=フランチェスカがコートに雪が所々付いた状態で叫んだ。

 彼女は留学中の魔法使いである。ちなみにステッキのおかげでほぼ世界中の言語が喋れるらしい。彼女曰くラテン語は無理らしい。別にどうでもいいことだが。

「みんな行こ!」

レミレスは龍をグイグイ引っ張る。このままでは全員が雪合戦大会を始めそうで怖いなというのが彼の率直な気持ちだ。早めに手を打たなければ。

「五ヶ月後の本当の冬にしような」

「OK!」

(レミレスが無駄に物分りのいい子でよかったぜ)

ふと姫を見ると「雪合戦だー」とか言いながら扉に向かおうとしていた。それを龍は姫の首元を掴んで止める。

ゲームを一段落した美澪は懐から先端が月型の魔法のステッキを取り出して振り回す。

「みんな揃ったわね。犯人のところに転送してあげるから適当に倒してきて頂戴」

龍はコート替わりの毛布を手に取る。雪姫と静菜は立ち上がるのだが美澪は座ったままだ。

「おまえは行かないのか?」

「やぁよ。寒いもの」

「ババァかよ」

「はぁ?」

龍は美澪に睨みつけられて「いえ。何もないです」と肩を竦める。

「それにね、私は見てるだけの方が好きなの」

「そうかよ」

(なんでうちの部はこんな奴ばっかなんだ)

龍は目頭を抑える。

龍・姫・静菜・レミレスの周りが淡い光に包まれる。美澪が魔法のステッキを振ることによって転送魔法が発動しているようだ。あとはそこにいる犯人を捕まえるだけだ。




龍はとある公園の広場の中心に転送された。周りは校庭よりも雪が積もっている。辺りの看板には雪が積もっているがなんとか日本語が見える。どうやらここは日本のようだ。

「ここに犯人が」

毛布を持って来て正解だったと思いながら辺りを見渡す。姫たち三人の少女が見当たらない。

『悪い』

龍の頭に美澪の直接語りかける声が聞こえる。彼女のテレパシーだ。

「どうしたんだ?」

『他の子を無関係なワイハに飛ばしちゃったわ』

「なんでそうなる!」

思わず叫ぶ龍。

『魔法って難しいのよ』

難しいといってもハワイに間違えて飛ばすとは何ともいい加減な・・・

『てへぺろっ』

「てへぺろっじゃねぇ!!」

龍の頭では美澪が邪悪な笑顔で笑っているのが浮かんでいた。

「誰だ?」

女の声が背後の真っ白な雪原から聞こえた。そしてそこにはステッキのような棒を持った無表情のコートの女がいる。女は龍は一つか二つ上だろうか。

『敵さんのお出ましね。ヒメちゃんたちを転送するまで待ってて頂戴』

「まじで?」

女が所持している先端が六角形の雪の結晶ステッキが淡く光りだす。

「オレの邪魔をする者は誰だろうと潰す」

雪が空中に滞空する。そしてうねうねと動いたと思うと雪の玉が作られる。まるで人の手で雪玉を作っているような動きだ。

一連の動きで形成された無数の雪玉は何のためらいもなく龍に発射された。それを龍は横に飛び退いて交わす。速度自体はさほど早くないのだが、龍が居た場所には雪の玉が当たり小さなクレーターができる程の威力がある。言うならば雪の弾丸だ。

「おいおい。いきなりかよ!一般人かもしれないだろ!」

と、体を雪だらけにしながら龍は叫ぶ。

それに対して、女は落ち着いている。

「本当に君が一般人と言えるのか。それにしてはタイミングが良すぎるぜ」

龍は雪を払いながら立ち上がる。

「・・・そうだな。俺はこの異常気象を引き起こした奴を捕まえるために来た一人だ。あんたただよな?」

「この辺りだけのことなのにご苦労なこと。警察か?」

「税金は払ってるけど給料としてもらったことはないな。それに魔法のステッキ専門だよ。俺たちは」

「噂で聞いたことある。魔法のステッキによって引き起こされる事件を解決する部隊があるって。本当にあるとはなぁ」

「ありゃ。有名になってるな」

そんな仰々しいもんでもないんだけどな。と龍は心の中で付け足す。

二ヶ月前の事件により魔法のステッキ所持者の噂程度には龍たちのこと有名になっている。

「だったら話が早い・・・俺の仲間が来る前に降参したほうが身のためだぜ?」

「やだね」

「なんでだ?夏を冬に変えて、俺たちを敵にまわしてまでするべきことがあんたにはあるのか?」

「オレの目的?」

「これだけの魔法だ。そこの人に危害を加えるだけのことじゃないだろう?」

と言って、龍は女から少し離れたところに倒れている一名の人影に目を向ける。

黒い服の人はかすかながら動いている。どちらにせよ早く助け出さなければ。

女はそちらに見向きもせず口を開く。

「目的?・・・確かにそいつは目的じゃない。あえて言うなら・・・」

女は言葉を一旦切ってから

「ないよぉ。このわたしには」

無表情なまま答えた。

「テメェ!」

目的もなしに力を行使して、人を傷つける。龍はそれがかなり腹立たしかった。もちろん人を傷つけること自体いけないことはよくわかっている。目的を持たずにただなんとなくで力を行使することに彼は怒りを覚えた。鎖につながれていない猛獣は被害を広げないように早急に捕まえなければ。

龍は女の方に一気に距離を縮める。女との距離は遠くはない。龍は拳を握り締める。

拳の射程圏内に入ったその時、龍の足元が山のように盛り上がった。

「うあっ!」

龍は飛び退こうとした。が、できなかった。山の頂点から裂け目が現れ、龍の足を捉えていたのだ。

そして雪の山は二mを達すると龍をそのまま叩きつけた。

龍は山の拘束が緩んだ瞬間、体を転がしてその場を離れる。

「いってぇ」

叩きつけられた時に受身をとったがやはり体がズキズキ痛む。

「本当に対魔法ステッキ部隊の一人なのか?」

「俺はステッキ使わないんだぜ?ちょっとはハンデが欲しいねぇぇ!」

龍は女に再度近づく。そして先ほどと同じように雪が盛り上がる。

しかし龍はその場からステップを効かせ飛び退くと雪を避けるように回り込み、龍は拳を振り落ろす。

女は殴られかかっているにも関わらず少しもかわそうとしない。微動だにしないのだ。さらに無表情のままで人形のような空虚な目でどこを見ているのかわからない。

(なんなんだ?)

この不気味な感じに龍は攻撃することをわずかながら躊躇した。

彼はふと女の背後を見る。そこには彼を巻き込もうとする雪崩が迫っていた。それは彼に逃げる余裕を与えなかった。

「まじかよ!ううがぁー」

龍は抵抗も出来ず雪崩に飲み込まれた。



雪の中から龍は這い出る。雪崩により公園の端の林に追いやられたようだ。

小規模の雪崩だったおかげで生き埋めになることだけは避けることはできた。

「早く何とかしないと」

龍は呟く。先ほどの女との会話からどうやら女は雪が降っている範囲がこのあたりだけだと思っているようだ。彼女が当初この辺りのみに設定して雪を降らせているなら魔法のステッキが暴走している可能性がある。このまま暴走を続けていれば、彼女自信危ない。龍は彼女に何やら異様な違和感が感じられて気が気でない。

それに雪の中に倒れていた人も早く助けてあげなければ。

白い雪の中の携帯電話が鳴る。初期設定のままの『ピロロロ』というものだ。

そこに龍の手が伸びる。

『大丈夫ですか?先輩』

「大丈夫だ問題ない・・・とでも言って欲しいか?」

と、雪男ですと言わんばかりに雪まみれな少年―――龍は電話相手の姫に雪を払いながら言う。

「てかどこに居るんだ。そろそろ着くだろ?」

『お土産はなにがいいですか~?』

ピッ

龍は携帯を切る。

(何?!ハワイでバケーションしてんのぉー!)

毛布は雪崩に流された。雪の中にうずくまる彼の体温はどんどん低下していく。

また携帯が鳴る。

「はぁい?」

『切らないでくださいよ~』

のんきな声の姫だ。

「早く来い」

『九時間かかりますよ。先輩ならもう決着ついちゃったでしょうか?』

「え?姫。なにそれ聞いてない。・・・まさかと思うけど飛行機乗って帰るつもり?」

『そうですよ~』

―――ちょっと待て。突っ込むとこ多くない?

顔を青くした龍は一息つくと

「おまえらパスポート持ってないだろ?なのにどうやって帰ってくるの?」

『えぇ!突っ込むところそこですか!』

いつもは龍がつっ込むからだろうかやりにくそうだ。

『えっとレミちゃんが特別席にご招待って』

「姫、バッターアウト。レミレスにチェンジ」

『どういう意味ですか!ってうわ!なにするだ!』

がちゃがちゃという音が電話の向こうから聞こえる。その雑音の中から英語のアナウンスらしきものが聞こえる。

(まじでハワイなのかよ)

『ハイ!フォワード、レミレス入りまーす!」

「いやそれ、サッカー」

『レミィはサッカー派ですヨ。リュウはベースボール派?』

「そんなことはどうでもいいよ!いろいろつっこむべきことは山積みだけど、とりあえず飛行機の特別席って何?」

『飛行機の降着装置の中。タイヤを出し入れするやつ』

え・・・それってつまり

「密入国ぅぅー」

そんな焦りを見せる龍にレミレスはヘラヘラ笑いながら

『そんな人聞きの悪いこと言うなヨ~日本には〝バレなきゃ犯罪じゃないんですよ〟っていうことわざがあるじゃん』

「ねーよ!そんなアホみたいなことわざ!」

『あれ?辞書に載ってたヨ?』

「それなんて辞書!?ってそんなこと言ってる場合じゃ・・・」

龍は自身に影がかかったのに気づいた。これはつまり背後に誰かにいる。

しかし龍にはここまで近づかれるまで気配も何も気づくことができなかった。

「みぃーつけた」

後ろにはコートの女が無表情のまま、氷でできた剣を龍に振り下ろそうとしていた。

龍は振り返り、それを避けるために龍は飛び退こうとする。

剣が龍を切るかと思われた瞬間、女の手は止まり、剣は不自然に消えた。すると女は力なく龍の元に倒れ込む。

「?」

龍は女を抱きとめて、彼女の顔を見る。女の顔は先程とうって変わり苦しそうな顔だ。

「たす、けて」

微かに、本当に微かに女の声が聞こえた後、彼女は気を失ってしまった。

「お、おい」


グゥオオオオ


という轟音の竜巻が公園の中心部で起こった。公園外への被害が出るほどの竜巻ではない。

龍は先ほどの女の言葉に疑問を感じた。この女には本当は何か事情があるのではないかと。彼女をここに置いておいても仕方がないので龍は女を背負う。そして彼女が倒れた拍子に落としたステッキを拾い上げて公園の中心部へ向かった。

雪は止んでいた。



龍が竜巻の起こっている公園の中心部へ行くとどこかで買ったのであろうジャンパーを制服の上に着た静菜がいた。右手にはトルネード型の模様が入ったステッキがある。

「静菜!」

静菜は声に気づき振り返る。

「おまえか・・・」

「うらら・・・」

髪留めがポイントウイッグになっているところから見るとどうやら今の静菜は裏バージョンのうららのようだ。

「早かったな。ハワイ行ってたんじゃないのか?」

「行ってない。はじめからここにいた」

うららはそっけなく答える。

「きのこの山食べて、おまえの戦い見てた」

「そ、そう。俺の援護とか考えなかったの?」

「うまかったから。きのこの山」

「えぇ~~」

龍は肩をガクッと落とす。

「そう落胆するな。それにおまえのおかげで面白いことがわかったのだから」

そう言って静菜(裏)はステッキを自分の顔の前に近づけるとフッと息を吹きかける。

すると数十メートル先で起こっている竜巻はロウソクの火のように吹き消された。

その先には人影が。

「あれ?あの人」

跪く黒の服の男性・・・先程倒れていた男性ではないか?龍はその時に顔をはっきり見ていないからよくわからないのではあるがそう思えた。

「うらら、どうゆうことだ?」

龍は言いながら前に踏み出そうとするとうららは手を出し前に出ないように制止した。そしてうららは龍に背負われている女を一瞥して言う。

「その女の子を奴に近づけるな」

龍は指示に従い後退りをした。その時彼は見た。数十メートル先の男性の左手にステッキのようなものが握られているのを。

「奴が黒幕だ」

「なに・・・」

「おまえが雪に巻き込まれた時に奴は面白いことをしてやがった」

うららは男を見たあと女を再度見る。

「奴はすぐさま立ち上がって彼女のすこし離れたところで真似をするように歩いていた。これだけでも不審だろう?だがそれだけじゃない。彼女の動きを見ているとさ、奴が彼女を真似してるんじゃなくて彼女が奴の真似をしているように見えた」

それではまるであの男がこの人を操っているようだ。龍は静菜(裏)の言葉を聞きながらそう思った。

「あの男が何かを振り下ろすような動きをしたからあたしが竜巻で飛ばしたのよ。・・・ここまで言えばわかるな?」

「あぁ」

龍は女と戦った時に違和感を感じていた。それは彼女が微動だにしなかったこと。はじめは彼女の余裕からくるものだと思っていたが龍が殴るときに避けることもせず、拳が当たっても眉一つ動かさなかった。龍の背中の女の人はまるで人形だった。

「なるほど。この女の人はあの男の操り人形だったということか」

先ほど、女の人が助けてと呟いたのはこの操り人形の状態から助けてほしいということだったのだ。

「ハハハハァァァァそうだよ。そうだぜぇ」

跪いていた男は笑いながら立ち上がる。

「オレがその女を操ってたんだよ!失敗だな本当!捕まらないように裏で操って好き放題してやろうと思ったのによう。まさかお仲間がすでにいるとはよぉ」

「テメェ!」

龍は理解した。女の人の行動目的がないという意味が。それは操っている側に目的があっても操られている側は目的に持つなんてできないということ。

龍は理解した。この男はゲス野郎だと。

拳を握しめる龍。それを見たうららは

「おまえはその女の人を連れて逃げろ。奴の人を操る魔法はざっと見ただけで半径20mが効果範囲といった所だ。またその人が操られると厄介だ。」

あたしなら大丈夫だと最後に付け足す。龍は「頼む」と付け足すと公園の出口に向かって走った。

「オレの魔法ってもっと改善しなくちゃいけないな!大きな動きをしようとするとオレも動かないといけないしよぉ」

うららは凶悪な笑みの二〇代後半の男を見据える。

「オレより強い奴を操ろうと思ったらよぉ。魔法のステッキが使える人間を探して、その人間にステッキ使わせた後に対象を触れないと操れないのはさぁ面倒で不便だよなぁ」

「痛い目見たくなかったら降参しろ」

男は腕をクロスさせながらゆっくり歩いてくる。龍達と男の距離は30メートルは離れている。女の人は操られることはない。ないはずだった。

「ぐああぁ」

うららの後方で悲痛の声が聞こえる。龍の声だ。

龍は背負っていた女の人に腕を首に回されて首を絞められていた。男がしているのと同じように。そして龍が持っていたステッキを既に奪われていた。

「なに!」

「嬢ちゃん動くなよぉ。嬢ちゃんの彼氏の首がポキッといっちまうぞぉ。ステッキをこっちに投げろ。小細工なしだ」

「あいつを彼氏にした覚えはないけど・・・」

うららはステッキを横合いに投げる。

男はうららに近づいてくる。それに同調するように龍の首を絞めている女の人が近づいてくる。

「魔法の効果範囲なんてものは初めから本気を出すもんじゃないだろぉ。オレぁ本気を出せば半径一〇〇mはいける」

(詰めが甘かった。先に奴のステッキをどこかに吹き飛ばしておくべきだったか)

うららは己の失敗を噛み締める。

男は腕のクロスを解くとすぐさま右手で何かを掴むような仕草をする。女の人の方を見ると龍の首を絞めていた。男はしたり顔で左手のステッキでうららの肩をぽんぽんと叩く。

「これで君はいつでもオレの人形だ。仲間の人質が二人か。これだと君のお仲間はオレを倒せないかなぁ」

龍は抵抗をしているのだがなにぶん痛みは通じないので抵抗は意味を為さない。

龍と静菜は言うまでもなく絶対絶命だ。

龍は薄まる意識の中であるものを見た。

(あれは・・・・・・)

龍は目を瞑る。


ビカーーン


というスタングレネードのような光が頭上で光った。

この光で男は目をくらまして手を緩ませる。その内に龍は咳き込みながら女の人と静菜を連れてその場を離れようとするのだが女の人は動かない。仕方なく龍はうららだけを連れて行く。そのついでに静菜のステッキを回収する。


ゴロゴロォォ!!


龍たちの近くで雷が落ちた。落ちた場所には雷を落とした張本人が

「はいっ!ビリビリっと登場!レミレスちゃんだヨ~寒!」

「同じく登場!魔法少女ヒメちゃん!高校生にもなってこんな事言うなんてバカじゃない?とか思った奴ぶっ飛ばすよ?」

雷のような金色の髪のレミレスとアホ毛をご機嫌に揺らしてアホなことを言う姫だった。

「だいじょうぶですか?龍先輩!」

「お、おまえらやっと来たか」

静菜を抱えながらぐったりと倒れた龍を心配する姫。

「元気出してください。お土産ありますから」

「・・・」

「ツッコミが来ない!重症だ!」

「言ってる場合かヨ」

レミレスが姫のアホ毛をガシッと掴むと「痛い痛い。好きなアニメのキャラクターのセリフを事あるごとに使ってくる奴より痛い!」と泣き叫ぶ。いや、どんな痛さだよ。

「立てる?リュウ。シズナ」

姫から手を離したレミレスは倒れている龍と静菜に手を貸す。

「あ、あぁ」

龍はまだフラフラの静菜を抱えながら敵の男を敵意の目で見る。

黒いジャケットの男はぐったりした女性を支えたまま後ずさりして、距離を取る。

「やばいなぁおい。どうしたらいいんだぁ」

男は顔を引きつらせた後しばらくしてからステッキをせせら笑いながら前に掲げる

「ハハァ!そうだ!そうだよ!オレは髪留めの嬢ちゃんに触ったんだったぁ!操ってやるかなぁ!」

男は拳を握ると龍がいるであろう場所に下から上に突き上げる。

しかし・・・

静菜は動かなかった。いや実際のところは動いたのだが男の思いどうりに動かなかったのだ。

静菜は右手で髪留めをつけていた。

「なに!なんでだ!オレの魔法が効いていなかったのか!」

静菜は顔を上げる。その顔つきは

「・・・ちがう。きっとその魔法は効いてる」

先程と違う優しいその口調は

「私ね、もう一つの人格があるの。その人格にはきっと魔法効いてる」

この子は静菜だ。

「だそうだ。残念だったな。」

龍が引き継いで言うと男はステッキを力なく下ろす。

しばらくすると男はなにかブツブツとつぶやくと龍達の方へステッキを向ける。

「こうなったらよぉ。オレの人形が壊れるまで操っておまえらを潰すしかねぇなぁ!換えならお前らでする!」

女性は男と同じようにステッキを龍たちの方へ。そこからは魔法陣のようなものが現れる。その魔法陣からは甲冑姿の武士が現れた。言い表すならば冬将軍。

それに反応するように地面の雪が蛇のように動く。

「あれは最大出力の魔法陣」

姫は続けて静菜に確認を取る。

「美澪先輩に聞いたけどあの女の人は利用されてるだけなんだよね」

静菜が頷くのを見ると姫は叫ぶ。

「みんな!行くよ!あの人を助けるよ!」

「おう」

「OK!」

「うん」

姫の声に三人は前に一歩出る。

姫は冬将軍に対抗するために炎の模様が付いたステッキを空に掲げる。

レミレスも雷の模様の付いたステッキを空に掲げる。二人のステッキの先から魔法陣が現れる。そこからは雷と共に炎を身に纏うドラゴンが現れる。

その瞬間、炎と雷のドラゴンと冬将軍がぶつかった。一方は食うために一方は斬るために。一進一退の攻防だ。両者引くことない。

その間に龍と静菜は男と女性に走って近づく。静菜は蛇のような雪や雪玉を風を操って迎撃しながら突き進む。しかし進めば進むほど数が多くなる。静菜でもさばききれなくなってくる。

「ん・・・多い」

「くそ!」

龍も雪に足を絡め取られてしまい動けなる。

『わたしに任せなさい』

突然美澪の声が龍の頭に響く。




「ハハハハァァァ」

男は両腕を挙げて、高らかに哄笑を上げた。

男と女性の動きは全く違うものになっている。

「ついに!ついに!オレが動かなくても思念だけで操れるようになったぜぇ!」

そう彼は嬉しそうに叫んだ。あと彼がするのは女性がエネルギー切れで倒れる前にこの場から行方をくらますだけだ。

パチパチという拍手がなる。男はすぐさま振り向く。そこには龍と呼ばれていた少年が。そして一言

「おめでとう」

しかしその目は全く祝福していない。

「なぜこんなところに居やがる!」

「なんでって俺の仲間にテレパシーと転送魔法が得意な人がいるだけのことだ」

龍は頭を抑えると

「その人が言ってんだけどよ。あんたが思念だけで操れるできるようになったのはステッキに限界が来て、暴走してるからなんだと」

「はっ!そんなのハッタリだ!」

「そうか?ステッキにはヒビが入ってるし、あんたは汗まみれで震えてるけど」

思念で操れるようになってから男の疲労は最高潮だった。汗は止まらないし、体が震えることに関しては男も気にせざるを得なかった。なにか自分にとって良くないことが起こっているのではないかと考えて・・・

男はそれをあえて考えないようにしていたのだが・・・。

目の前のガキのせいで・・・!男には焦燥感が大きくなる。

「うるせぇ!そ、そうだ!まさかおまえも二重人格じゃねぇだろぉ?おまえを操り人形にしてやる!」

男はこのステッキをある人物からもらい、自由に人を操るチャンスを手に入れた。それをここでこんなガキごときに失いたくはなかった。

男はステッキを振り回し、そのまま龍の元に駆け込んでくる。

「閣下かよ」

龍はつぶやくと拳を強く握り身構える。

「くらえガキがぁ!」

男は吐き捨ててステッキで触れるというより殴るように振りかざした。そして全力で男は殴った。

しかし何も手応えがなかった。確かにそこにいたはずの少年の姿はなぜかなく、ステッキは空振りに終わった。

「なっ!」

「こっちだよ」

驚愕の顔になる男に背後から声が掛かった。男が振り返るとそこには少年の姿が。

「俺の仲間には転送魔法が得意な人がいるって言ったろ?」

龍は吹き飛ぶ程の全力で男を殴った。



先ほどまで降っていた雪が嘘のように晴れ、夏の日差しが降り注いでいる。まだ肌寒いがその内に夏の暑さを取り戻すだろう。

龍が男を撃破したおかげで女性を操っていた魔法は消滅し、冬将軍も消えたのだ。

公園の中心部には龍と美澪の姿があった。美澪は龍が決着したのち姿を現したのである。

姫・静菜は女の人の治療と記憶操作と家に送り届けることを、レミレスは周辺の片付けをしている。

「夏に女の子の水着を見たいがために頑張った山神くん。ご苦労さま」

「はぁ?そんな行動理念を持って戦ってないぞ・・・そりゃ見たいけど」

龍は美澪の言葉に突っ込んだあと、聞こえないように本音をこぼす。

龍は男を縛り上げるためのロープを持っている美澪に気になっていたことを聞いてみた。それは姫とレミレスが何故ハワイにいたのか。いくら美澪でも仲間に危険に陥れたままにするとは思っておらず、龍は気になっていた。

「その男にステッキを渡した奴を見つけたから姫ちゃんたちに討伐してもらってたのよ」

美澪は男を縛りながら言う。

龍は「先言っておけよ」と呟くと肩を落とした。

「で?そいつは捕まえたのか?」

「えぇ。楽勝だったみたいよ?・・・よし」

美澪は男を縛り終える。彼女は犯人の男を連れ帰って取り調べをした後、それ相応の罰を与えるらしい。魔法が認知されていないこの世の中において警察にこの男を差し出したところで証拠不十分で釈放になる。美澪はこういった罪を犯した者には魔法で精神攻撃するらしい。その威力はアメリカのR指定の残虐系サイコ映画を見たときの衝撃以上のものらしい。

「せんぱ~い!こっちは終わりましたよ~」

姫の声が聞こえ、後輩たちがやってきた。

「帰るわよ!」

と、美澪が言った途端、人の周りに光が取り囲んだ。彼女は転送魔法を使ったようだ。



部室は既にこたつとストーブが片付けられ、扇風機が活動していた。扇風機が活動していても部屋は蒸し暑い。帰ってきたまほう部の部員たちは個々の仕事を終えたあと、かなりだれていた。

「日本は夏暑すひるヨ~」

と言ってレミレスは扇風機の前に陣取り金糸の髪を揺らしている。静菜はレミレスに近づき、

「・・・扇風機の正しい使い方はこれ」

静菜は扇風機に「我々は~宇宙人だ~」と言い出す。レミレスは「great!だぜ」と言って、真似をしだす。

それが扇風機の正しいかどうかさておいて扇風機の前に陣取らないで欲しい。扇風機の風が来ない。暑いから下がれ。なんて思いながら龍はみかんを食べていた。部室に残っていたものだ。この暑さだとすぐに腐ってしまうかもしれないからだ。

汗を少し浮かばせながら龍はふとみかんを食べる手を食べる。

(あれ?なんで七月にみかんが・・・?)

みかんの旬は十月から一月のはずだ。なのにみかんが七月の今にあるのはおかしい。夏みかんというものもあるが、あれも確か四月から六月が旬だったはず。

温室みかんの可能性もあるが今の時期にスーパーに出回っているとは思えない。

「姫。このみかんはどうしたんだ?」

龍は同じようにみかんを頬張る姫に聞く。

「これは美澪先輩と一緒に魔法を使って栽培したんです。部室の隣の空き部屋でいろんな果物育てていますよ。ちなみに発案者はうららちゃんですよ」

姫は「りんごとか苺もありますよ」と付け足し、魔法のステッキを掲げてニッコリ笑う。

うららの方を見ると、きのこの山を食べながら龍を見て、親指を立てる。

龍は大きくため息をついて「魔法の無駄使いかよ・・・」と呟いた。聞こえなかった様子の姫は頭に「?」を浮かべ、「えっ?」と言った。

「いや、流石だなと思って」

そんな龍の言葉に自慢げに胸を張る。

「そうでしょー」

龍は嘲笑の意味で言ったのだが姫は賞賛の意味で取ったようだ。

龍は姫の頭をぽんぽんと軽く叩き、残りのみかんを食べきる。

外からはセミの鳴き声が聞こえてきた。夏が再開したようだ。



次の日・・・

パンパンッ!

美澪が手を叩く。それにより部員たちは部長である彼女に注目する。

「さっき、ハロウィンパーティーの招待状が届いたわ。七月なのに」

龍は嫌な予感がした。

「この手紙には魔法の痕跡があるわ。それに手紙によると今日から夏を飛ばしてハロウィンを始めるそうよ」

美澪は心底楽しそうに手紙を振りながら言う。

「・・・事件の予感」

「oh! join us!」

「犯行予告ってやつですね!隣からかぼちゃ持ってこなくちゃ!」

静菜・レミレス・姫の三人も楽しそうにしている。それに対し、龍はいつになったら夏が始まるのかと頭を抱えた。

どうやら今日も夏を取り戻すため、世界を救うために一仕事しなければいけないらしい。

セミの鳴き声が止んだ。


まほう部は今日も世界のために戦うはめに・・・




楽しんでいただけたら幸いです。


前書きでも言っているとおりこの小説をいずれ長編化しようとしています。

この小説を元に一から書くので後で書くものは登場人物の設定が大幅に変わる可能性があるんですよね。



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