危険な一団
女二人「「きゃああ!」」
グラサン「動くなぁ!」
覆面「動くとこいつ等がどうなるか、」
ハゲ「分かってんだろうな! アアァ!」
男三人「「「くっ……」」」
ツグミ「ちょっと! 放しなさいよ!」
グラサン「おぉっと譲ちゃん。暴れるとかわいいお顔に傷が付くぜぇ」
ツグミ「くっ!」
浩二「ふ、二人を放せ!」
グラサン「ふははは。おっさんよぉ。そんなへっぴり腰で何するつもりだ?」
悪三人「「「がははははは!」」」
浩二「くうぅ」
洋子「あなた……」
進藤「お前たち! いったい何の目的でこんなことを!」
浩二「そ、そうだそうだ!」
秀平「人の居る家に強盗に入るとか何考えてるんだ。バカなの?」
グラサン「いやなに。近くを歩いてたらよぉ、」
覆面「なにやらい~匂いが漂ってきたもんだから、」
ハゲ「ちょーっとおすそ分けしてもらおうと思ってなぁ!」
秀平「お前ら、そんなに腹が減ってたのか……」
浩二「な、なら飯屋に行けばいいじゃないか! 何だって家に上がってきたんだ!」
悪三人「「「金が無いんだよ!」」
浩二「ひぃぃ!」
洋子「あなた……」
グラサン「つーわけで、」
覆面「食いもんと金目のものを、」
ハゲ「もってこいやゴラァ!」
浩二「ひぃぃ!」
秀平「進藤さん、どうするんです!?」
進藤「不用意に刺激するわけには行かない。ここはひとまず、彼らの言うとおりに。白石さん」
浩二「は、はい(はける)」
グラサン「おうおう。話の分かる奴が居るじゃねぇか」
覆面「おいそこの坊主! ぼさっとしてねぇで、とっとと飯でも用意しろい」
秀平「なにをっ!」
進藤「野村君」
秀平「……わかったよ! くそっ!(はける)」
ツグミ「秀平……」
覆面「オラオラそこの優男! オマエも行くんだよ!」
進藤「あぁ。ただし、彼女たちには手を出さないと約束してくれ」
ハゲ「ヴァカかお前! 自分の立場わがってねぇのか!」
グラサン「早くしないと女共から食べちまうかもなぁ!」
女二人「「ひっ!」」
悪三人「「「ぐわっははははは!」
グラサン「分かったならトットト行け」
進藤「くっ。(はける)」
グラサン「物分りのいい奴は好きだぜ。ぐははは!」
ツグミ「誰もアンタなんかに好かれたくは無いわよ」
洋子「ツグミ!」
グラサン「あぁ? なんか言ったか?」
ツグミ「いいえ、別にー」
進藤「おーい、お前ら!」
グラサン「なんだ? 早く食いもんもってこい」
進藤「わかってる。だが料理が出来るまでもう少しかかる。それまでその机の上の酒でも飲んでいてくれないか?」
グラサン「ああこれか。なら遠慮なくいただくぜ。おう、おめぇら。飲むぞ!」
悪二人「「おう!」」
悪三人、テーブルに置いてある酒を飲もうとしたとき、浩二が戻ってくる。その手には小さな金庫が抱えられている。
浩二「お、お待たせ、し、しました~」
洋子「あなた!」
ハゲ「おう、思ったより早かったな」
浩二「ゼェ、ゼェ。ど、どうも」
ツグミ「いや、褒めてないから」
覆面「で、金目のもんはどうした?」
浩二「で、ですからほら。金庫です」
グラサン「お前もしかして、こいつを持って帰れと?」
浩二「はい」
ハゲ「バカかおめぇ! こんな重いもん、持って帰るのにどれだけ苦労すると思ってんだ!」
浩二「えぇ!? でも金めの物といったらやっぱり金庫じゃ……」
ハゲ「そうだけど! ごと持ってくるなっつってるの!」
浩二「あぁ。なるほど」
覆面「分かったんならさっさと空けやがれ!」
浩二「いや~、それが……」
悪三人「「「それが?」」」
浩二「暗証番号……忘れちゃいました」
悪三人+母「「「このバカ!」」」
ツグミ「お母さん、お父さんってホントに昔はすごかったの?」
洋子「その筈なんだけど……」
浩二「い、いや、違うんです! 忘れたわけじゃないんです! もう少しで思い出せそうなんです! もう喉まで出掛かってるんです! 本当に、あと少しなんです!」
グラサン「はぁ。分かったわかった。じゃあ思い出したらすぐに開けろよな」
浩二「わ、わかりました。
グラサン「ったくよぉ、しっかりしてくれよおっさん。仮にも一家の大黒柱だろ?」
覆面「そんなんで家族を守れるのかよ……って、」
ハゲ「人質に取ってる俺らが言う台詞じゃねえよな!」
悪三人「がはははは!」
ツグミ「お母さん……ホントになんでお父さんと結婚したの?」
洋子「……言わないでツグミ。私だって、今不思議に思ってるんだから」
暗転