ツグミの一計
全員「「「「ごちそうさまでした」」」」
明かりが点くと、洋子以外全員食べ終わっており、机の上には空になった皿が置かれている。
ツグミ「あー、おいしかった」
浩二「久しぶりに食べたが、相変わらず絶品だ」
秀平「ありがとうございます」
進藤「秀平君、お店の場所を教えてくれないか? 年末の忘年会でぜひお邪魔したい」
浩二「いいですなー。あそこ、見た目のわりに結構広いですし。かなり入るだろうね」
進藤「さすがに社員全員とはいかないでしょうけど」
忘年会の話で盛り上がる浩二と進藤。
ツグミ、壁側で立っていた秀平のところへ。
ツグミ「さりげなく酷いこと言われてるわよ?」
秀平「気にしてねーよ。全部事実だし」
ツグミ「まあ確かに」
そんな会話をよそに、洋子はトンカツをじっと見つめている。
ツグミ、洋子の様子を見てにやりと笑い、一言。
ツグミ「お母さん。これが本当のトンカツよ」
洋子「これが……トンカツ本来の味……」
ツグミ「どう? お母さんのトンカツと比べて全っ然おいしいでしょ?」
洋子「……(コクリ)」
ツグミ「私、お母さんはこれを機に、もっと料理の練習をしたほうがいいと思うの。そのトンカツとまでは言わないけど、せめてもう少しマシなトンカツを作れるようになって欲しい。トンカツだけじゃない。もっといろんな料理を作れるようになって欲しいのよ」
秀平「だから出前を頼んだのか」
ツグミ「荒療治だけど、こうでもしないとお母さん、すぐに現実逃避しちゃうんだもん」
秀平「なるほどね」
ツグミ「秀平には迷惑かけちゃったかもしれないね。ごめん」
秀平「いいって。迷惑だったのは確かだけど」
ツグミ「やっぱり、今日も視えたの?」
秀平「夜は昼間の倍以上出るからななぁ……。あ、視たといえば、変な三人組を視たぜ」
ツグミ「三人組?」
秀平「ああ。グラサン掛けた奴と、ハゲと、覆面被った奴」
ツグミ「確かに変な奴らね。てか覆面って……。なんか見てみたいかも」
秀平「止めとけって。きっとろくな奴らじゃねえよ。……覆面だし」
???「それは!」
???「俺たちの!」
???「ことかぁ!」
窓の割れる音と共に、覆面、グラサン、ハゲ登場。
ツグミと洋子を人質に取る。
女二人「「きゃああ!」」
グラサン「動くなぁ!」
覆面「動くとこいつ等がどうなるか!」
ハゲ「分かってんだろうな! アアァ!」
暗転