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その夜に匠の言葉を思い出してしまう。
「俺と付き合わない?」
匠に、今までそんな素振りも無かったので、いきなりすぎて何故そんな事を言い出したのか分からない。
匠の話題は、聞き集めるつもりも無いのに、ちょこちょこ耳にしてきた。
どこで遊んだやら、誰が匠に最近ベタベタしすぎてムカつくやら、どうやったら落とせるだろうとかとか…。
恋愛スキルの低い私には遠い世界の会話だし、ぐちゃぐちゃしてるのに巻き込まれたくない。
なのに…あれ?
あの時、たっくんの友達がきたよな…。
もしかして、あの告白は罰ゲームか賭けか?
なら私をその対象にするなよなぁ。
人生初めての告白が遊びだなんて…。一人で納得いく答えを出して、匠が全く知らない訳でもない私を、そんな遊びに選んだ事に少し落ち込み溜め息をついた。
明日、学校で何か言われたら断ろう。何もなければ、忘れたらいいさ…。
そう考えて私は眠りにつく事にした。
そして、迎えたいつも通りの朝。
カチャリと玄関の鍵を閉めて鞄にしまいながら、学校までの道程を歩きだす。
チリンと自転車のベルの音が聞こえたので振り返ると…
げっ。出たっ。
まさか、来てるとは思わなかった。
「おはよう。」
自転車にまたがり、朝から無駄に笑顔の匠がいた。
ちっ…。チャリまでかっこよく見える。きっと朝の清々しい空気のせいね。