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どれだけレベルアップしたのか、笑う悪魔の匠は進化もしていた。
「一人誤解して勘違いした僕の賭けなんかの為のお試し期間中に絡まれた事も、受けた嫌がらせも隠してましたよね?
うっとおしくて迷惑ばかりかける嫌いな僕と、賭けと思っていても一ヶ月もちゃんと付き合ってくれてデートまでしてくれましたし。」
神様…。
ニヤニヤ笑う悪魔の匠が意地悪ばかりしてきます…。
もう、背中の汗は諦めます。
だから、この悪魔を天使…いや、せめて人にして下さい…。
匠が話してない事まで知っている。
聞こうとしても、匠の言葉は止まる事なく、居心地の悪さが増えるばかり。
「挙げ句の果てに勝手に自滅して取り乱して放心して、泣いて抱き締めていた僕の腕の中、僕の胸でめ泣き続けてあんなに可愛い泣き顔を見せてくれましたよね。
そんな佐藤さんが、僕以外の誰の為に告白の練習したんですか?妬けます。
誰に告白するつもりだったんですか?
佐藤さん?ちゃんと教えて頂けませんか?
図書委員の谷沢ですか?」
本当に来るんじゃなかった…。
匠の家じゃなく、黒ねこさんに荷物預けられる所に行くべきだった…。
いや、玄関の外に置いて会わずに帰れば良かった…。
それより、家で鍵をしてカーテン閉めて電話線を抜いて耳栓して寝てたら良かった…。
神様にお願いする事はやめ、現実逃避をしはじめた私にも匠の悪魔ぶりは止まらない。
存在に気付けとばかりに、ジリジリ私に近づいて来て現実にも追い詰められる。
背中の汗は止まり背筋が冷たくなってきた。
「佐藤さんは僕に嫌われようとして、こんな手紙を書いたんですか?もし、そうなら残念ですが限りなく無駄です。
俺の気持ちをそんな軽く見て欲しくない。
この手紙で今回、佐藤さんの思い通りに事が進んだとしても、後から必ず佐藤さんが人前で昨日の倍以上の恥ずかしい思いをするだけです。
例え、この手紙が本当だとしても相手は佐藤さんですよ?
僕達が付き合えるように絶対に色々と、佐藤さんを手に入れられるまで何度でも僕は事を起こし続けます。
だから結果は同じだけど、佐藤さんが今よりもっと困って遥かにいたたまれない思いをするだけです。」
それは嫌だ…。
想像だけで一週間は学校休めそう…。
本当に神様…。あの優しくて私が大好きだった、たっくんにどこで何があったのでしょうか…。
責められながらも口説かれてる気もしてきて、目の前の匠をじっと見つめてたら尋ねるように小首を傾げられ口からこぼれた。
「その話し方と佐藤さんは凹むので止めて。
あと…手紙と私の誤解で傷付けてごめんなさい。
それと、なんで初めに賭けや罰ゲームじゃないって否定してくれなかったの?聞かなかった私が一番悪いけど、否定しないたっくんも…。」
最後まで言えず言葉を濁したら、何故か匠は微笑み頭をなでられた。
「少しずつでも良いから、何でも今みたいに気持ち言ったり聞いたりして。俺はちゃんと答えるから。誤解されるのはもう嫌だ。
デートも、普通と変が交互のまぁちゃんだったし。」
だって賭けだと思ってたから…。
真剣に言う匠にそう言い訳は出来ずに頷いた。私も誤解はいやだ。
そんな私を見て匠が続ける。
「そんな顔しないで。いじめたかった訳じゃない。
手紙は、誤解のせいだと知ってるけど本当に不安になったから言っただけ。あんな話し方じゃないと落ち着いて言えそうになかったから使った。
誤解を昨日までずっとしていたってハッキリと分からなかった。柳が賭けの話を心配してたけど、俺どう話を出せば良いか分からなくて長く不安にさせてごめん。」
匠に頭に下げられツムジを見てたら言えた。
「私、賭けなのか怖くて聞けなかった…。ずっと頭にひっかかってた。
毎日、全部じゃないよ?お母さんの時とか凄く嬉しかった。ちゃんと楽しい時もあったよ。
昨日は賭けに勝つようにして別れるしか頭になかったから…。ごめんね。」
言いながら後悔の念が押しよせてくる。
頭を下げていた私の両頬に両手を添えられ、匠と目を合わさされた。
「登下校も俺にとってはデートだよ。また休みにしたらいいだけ。気にするな。
二回目の告白をしたら賭けか罰ゲームか聞かれて、意味わからなかったから考えてたら、すぐに反応出来なかった。否定する前に嫌われたと思ったから、あとは話しかけ続けるだけでやっとでさ…。
ついでにお試し期間も言えば、無理矢理貰ってでも俺が好きなまぁちゃんに近付きたくてだ。もっと話がしたくて一緒にいたくて誰にも取られたくなかった。
更に言えば、まぁちゃんが俺を好きになってくれて彼氏になれたらいいと前から思ってた。」
言い切って横を向いた匠の耳が赤い。
けど、沢山の匠の気持ちに頭がパンクしそうな事より驚きの方が大きかった。
「え?意味わからなかっただけなの?だって靴にメモの一回目の時に、あの三人が入ってきたから、てっきり賭けや罰ゲームのお遊びなのかなと思っちゃって…。
匠もおやつねだるみたいにお試し期間とか言うし…。」
ガクンと無言で肩を落とす匠。
「ほんと、たっくんだな俺…。奴らは偶然。だから、賭けでも罰ゲームも絶対にない。
まぁちゃんの近くに一ヶ月も一緒にいたから期限切れたからって言われても、前みたいに離れるなんてもう俺には出来ない。好きだから、ずっと一緒にいたい。
嫌がらせは俺も何とかするから安心して俺と付き合っといて。噂話は一緒に考えよう。」
「ね?」そう言ってシュルと眉を下げた匠に念押しされ頬にキスされた。
同じような事を思ってた。
嫌われてなかった…。
ちゃんと好きでいてくれたんだ…。
離れなくていいんだ…。
ずっと一緒にいていいんだ…。
気持ちが暖かくなり、じわじわ嬉しくなってきてニコニコ笑顔になれた。
私から匠は離れ内容は気に入らないけど、初めて真美からもらった手紙。テーブルに置いてどうしようかと真剣に悩んでいる。
それを、しばらく眺めて考えた。
あの手紙は、やっぱり「封筒のまま額に入れて飾ろうか」なんて気持ち悪い事を零した匠が持っていたらいけない。
恥ずかし過ぎて今夜も眠れなくなる。
取り返してタオルでグルグル巻きにして袋に入れてガムテープで超しっかりと封をしよう。それで箪笥の奥底にしまってから、どうするかゆっくり考えよう。
決意を固めコッソリ匠の近くに座る。
見つからないように手紙に集中して手を伸ばしていたら、匠の腕に胸が当たり反対の手で手紙を高くに上げられ手が届かない。
立ち上がろうとした所を、あぐらを組んだ匠の膝の上に抱きしめられながら座らされる。
匠の切なげな目と視線が合う。低く艶やかな声で、また言ってくれた。
「まぁちゃん。好きだよ。絶対に本当の気持ち。」
頬にキスを落とされ、そのまま唇にも掠めるようにキスされた。突然過ぎて驚きのあまり身体が固まる。
抱きしめる匠の力が強くなり、今度は唇に優しいキスを何度も何度も落とされ初めてなのにうっとりしかけたら、唇を舌で舐められ食べられはじめた。
匠の手が胸の下の方や脇腹をゆっくりなでている…。
いやいやいや。
無理無理無理!
ギブギブギブ!
ペシペシと匠の腕を叩く。しぶしぶ離れた匠の目に妙に色気が出ている。
「まぁちゃん…。用事なんて行くの止めにして、今日は俺とここに居てほしい。」
私の耳に湿ったキスをして耳元で掠れて更に艶めいた低い声で言われても、背中を何かに何度も走られ真っ赤な顔の私は、もう限界です。
「わかったから…。お付き合いも初めてだからスロゥにお手柔らかに…。」
そのまま匠から少し距離はとれたけど、結局は強くは出られなかった。
嬉しそうな匠に、また抱きしめられ耳を優しく食べられあの声で…
「じゃあ手紙は返してあげる。だから、携帯番号とメアド交換して。」
思わず頷く。
睨むように見た匠は、切なげな眼差しに色気を漂わせ
「本当に?ありがとう。これからもよろしくね。
毎日、告白するから。まぁちゃんも、いつかちゃんと気持ち教えて…。」
そう言いながら優しいキスを何度かまた落とされた所で、強引に部屋の隅まで逃げた。
そんなこんなで、始まった二人なのでした。
最後まで読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m感謝感謝です(ToT)
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