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デートの約束をした翌日は、桜ちゃんとの帰り道。
昨日の夜に
デートに着て行けるような服がないのです。どうしよう。
桜ちゃんにメールで相談した。そうしたら今日の帰りに服を選んでくれる事になった。せめてこれくらいは…と化粧品も選んでくれる。
「初デートだね。どうなるか心配してたけど、なんか私まで嬉しくなっちゃう。谷沢くん見てたら真美ちゃん一筋だし。」
横を歩く桜ちゃんがにまにま微笑む。
「私は微妙に気が重たいよ。まだ賭けの事も聞けてないし。」
「デートの為に服を新しく用意するくらい好きなのに?今からそんな事、考えないで素直に楽しんできなよ。私からは、谷沢くんも本当に真美ちゃんの事が好きに見えるよ。」
嬉しそうに笑う桜ちゃん
「桜ちゃん。ありがとう。けど、私なにもあげる物持ってないよ?」
気持ちが軽くなり、笑いながら照れ隠しをしたけど涙がにじんだ。
久しぶりに家で体重を計ると母の入院前よりー5キロ。
元気をありがとう。体重計…。
デートの約束の前日の金曜日が来た。
その日は委員会の日。
断ったけれど、匠は三人組と教室で遊んで待つ事になった。
いつもより早く委員の仕事が終わり、教室にくると扉の隙間から賑やかな笑い声が聞こえてくる。
「それより賭けの事はどうなったんだ?」
扉を開けようと出した手が止まる。
「まだ…。」
匠の声に身体が固まった気がした。
「期限は明日なんだろ?出来るのか?」
「明日、映画行くからその日に勝負する。」
「勝ちの本当の付き合いにできるの?」
「勝つよ。」
「まぁちゃん、今までとタイプ違うしな。」
まだ、話は続いて笑っている様だけれど、これ以上聞いていられずそっと教室から離れた。
どうしよう…。
どうしよう…。
やっぱり賭けだった。
すぐに帰りたいけれど荷物は匠達のいる教室。
とりあえず何か飲もうと自販機の前に来た。暖かいミルクティーを買って近くのベンチに座りため息を落とす。
そうかぁ。
明日が勝負なのか。話の内容から本当の付き合いが出来たら、匠の勝ちなんだろうな。
お試しとゆうあやふやな今までの一ヶ月近い時間。楽しかったし、私の匠に対する距離も気持ちも確実に変わってきた。
初めから匠の賭けを否定する言葉はなかった。私からも聞く事が出来なかったから、ずっと疑いは頭のどこかに残り続けていた。
そんな、どこかで匠も悪いと思っている自分もハッキリさせない自分もとても嫌だった。
怒りや裏切られたとゆう感情は湧いてこない。
「賭け」を突き付けられた会話に寂しく悲しくなるだけ。
今更、後悔しても遅いけれど匠にちゃんと聞いておけばよかった。
明日どうしよう…。
「佐藤さん。」
顔を上げると自販機の前でお金を入れるミキさんがいた。
「あなた匠と不釣り合いすぎ。身の程しらずね。」
言い捨てて、ガコンと落ちたジュースを取り歩いて行った。
わかっています。お姉さん。
賭けだから近付いて仲良くしていた様なんです。
どうしよう…。
言いたくても言えるはずもなく、ピンと伸びたミキさんの背中をただ見送った。




