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11月初めのある日。
私は、高校になって二年目の図書委員の仕事を終えて、寒い中を一人帰ろうとしていた。
靴箱で靴を履き変えよう靴を手にすると、中からいつもと違う指の感覚とカサッと小さな音がした。
なんだこれ?
つまんでメモ用紙を広げてみた。
『話がある。
教室で待っててくれ。
谷沢』
谷沢?
谷沢とだけ書かれても、私の学校には谷沢が多い。
身近ですぐに思いついたのが、さっきまで同じ図書委員の仕事をしていた隣のクラスの谷沢くん。
私は、普段は用事のある時以外は男の子と話す機会はない。
谷沢くんも、それほど話した事はないけれど、同じ委員会なので他の男の子よりも話す方だった。
さっきまで一緒にいたのになんだ?
当番の交代ならさっき言えばいいのに…。
など考えながら教室の扉を開けると
誰かがいた。
電気をつけた明るい教室で、私の席の机を手で触れていた誰かが振りかえり照れたような笑顔で言った。
「来てくれたんだ。」
なんで、この人がここにいるんだ?
その声を聞き姿を確認すると何故か、開けた扉を閉め何も見なかった事にして帰りたくなった。