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異世界転移したら、地球を所有してました。その裏で、地球では大騒動が始まっていた。  作者: りどみ


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地球Side◯◯より◯◯じゃねーか


 午前九時、普段なら朝の情報番組が流れている時間だが、今日は違う。


 画面の上部には、昨夜からずっと消えることのない大きなテロップが表示されている。

『日本人が異世界へ!!』


 各テレビ局は、政府の発表を受けて通常放送を大幅に変更していた。

 特集が組まれ専門家が呼ばれ、過去の映像が繰り返し流される。田中愛子についての分かっている情報が整理され、五人の調査団について詳しく紹介される。


 それでも視聴者は離れなかった。

 むしろ時間が経つほど、増えていった。

 そして朝を迎えても、どの局も放送を止めなかった。

 予定されていた番組は次々と変更され、画面の片隅には残り時間を示すカウントダウンまで表示されている。


『異世界出発まで残り54分28秒』

『日本人五名が、異世界へ』

『世界初の快挙なるか』


 そんな文字が、朝のテレビ画面を埋め尽くしていた。

 SNSでも、勢いが止まらない。


【もう九時か】

【寝てない】

【俺も】

【昨日の発表からずっとテレビつけっぱなし】

【各局本当に朝までやってたな】

【おい!!NHKで異世界調査団のLIVEが始まったぞ!!】

【マジ!?】

【きたああああああ!!】

【部屋の中映ってる!!】

【うわ、本当だ……】


 それまで首相官邸前の映像を追っていた人々のもとへ、NHKから新たな映像が届いた。

 映し出されたのは、部屋の一室だった。

 特別に許可されたNHKの二人のカメラマンが、その部屋の中へ入っている。

 世界で初めて、日本人が異世界へ向かうその瞬間を、生中継するためだった。


 だが――部屋の中には、テレビの熱狂とはまるで違う空気が流れていた。

 まず誰もカメラを見ていない。

 カメラマンがいることさえ、気にしている様子はなかった。そこにいる全員が、目の前の作業に集中していた。


 装備を確認し、必要な資料を読み返し、それぞれが最後の準備を黙々と進めている。

 その周囲では、内閣官房副長官の大関をはじめとする政府関係者が最終確認を繰り返していた。通信、医療、緊急時の手順――一つでも抜けがないよう、淡々と確認が続いている。


 そこにいる全員が自分の役割を理解し、行動していた。

 その様子を、二台のカメラが静かに捉えていた。


【すげえよ】

【誰一人カメラ意識してない】

【プロフェッショナル集団】

【五人とも顔つきが違う】

【こういう人たちだから選ばれたんだな】

【なんか急に心臓バクバクしてきた】

【頼むから全員無事に帰ってきてくれ】
















「……時間です」


 内閣官房副長官の大関が、静かに告げた。

 その瞬間だった。五人の足元に光る魔法陣が浮かび上がる。


「――っ!」


 NHKのカメラマンが息を呑む音。

 白い光は一瞬で、そこにいた五人の姿を跡形もなく消した。残されたのは、静まり返った部屋だけだった。





【本当に消えた……】

【マジで異世界行ったのか】

【魔法陣出てきた瞬間鳥肌立った】

【五人、跡形もなく消えたんだけど……大丈夫だよね?】

【歴史の教科書に載る瞬間をリアルタイムで見た】

【すげえ……】

【でも、これ大丈夫なのか?】

【五人とも無事に帰ってきてくれ】

【帰還用の魔法陣とかちゃんとあるんだよな?】

【そこ説明ないの怖すぎる】

【五人が戻ってくるまでが今回の作戦だからな】

【頼むから全員無事で帰ってきてくれよ】






 五人が消えた後の部屋にやがて、各テレビ局のカメラとアナウンサーが入り始める。


「こちら、五名の調査団が異世界へと消えた直後の現場です」


 カメラが、魔法陣が消えた床を映し出す。

 アナウンサーが、神妙な表情で続けた。


「政府関係者の皆さんも、まだ状況を確認しているところだということです。五名の状況も現在は分かっていません」


 そうした映像が、延々と流れていく。

 そして、あと少しで正午になろうとした時だった。

 アナウンサーを映していたカメラマンが、ふと画面の端に異変を捉えた。


「……!?」


 何もなかった床に、白い光が浮かび上がっている。


「魔法陣!?」


 咄嗟にカメラを向ける。

 次の瞬間。白い光が一気に広がり、その中心から一人の男が姿を現した。

 カメラを肩に担いだ――調査団のカメラマン、高橋だった。


「えっ?」

「高橋さん!?」

「戻ってきた!?」


 室内が一瞬で騒然となる。

 生中継の画面にも、その姿がはっきりと映し出されていた。

 だが、当の高橋は周囲の騒ぎを気にする様子もない。そのまま、まっすぐに大関のもとへ歩いていく。


「これ、二時間分のデータです」

「ぇ……」


 そう言って、持っていた記録媒体を差し出した。


「田中愛子さんとも無事に合流しました。全員、健康状態に異常ありませんので」


 そこで一度だけ周囲を見回す。


「では、また」

「は?」


 次の瞬間。

 高橋の足元に、再び白い光が走った。


「!?」

「ちょっと待っ――」


 白い光と共に高橋の姿は、再び消えた。


「「「…………」」」


 誰も、何も言えなかった。

 ただ、呆然とした人々だけが、その場に立ち尽くしていた。

 その一部始終は、全国に生中継されていた。




【ふぁっ!!?】

【????】

【うそやんwww】

【もう帰ってきたwww】

【普通に仕事してて草】

【まだ昼前よwww】

【えっ? 異世界こんな感じなの?】

【異世界、思ってたより近所だった件】

【沖縄より近いじゃねーか】







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