『欠けた場所に咲くもの』
とりあえず読んでみてください。
Ⅰ
欠けたるものよ
それは風の通り道
誰にも見えぬ傷の奥で
ひそやかに 光が芽吹く
Ⅱ
幼き日に閉ざされた扉の向こう
言葉は凍り 夢は影となり
けれど その音なき世界で
耳は 誰よりも遠くを聴くようになった
Ⅲ
見えぬものに触れようと
指先は 空気の震えをなぞり
名づけえぬ痛みを 色に変え
誰も知らぬ歌を 編みはじめる
Ⅳ
人は問う なぜそんなに
深く 細く 感じすぎるのかと
けれどそれは 欠けた場所に
そっと降りてきた 世界──
Ⅴ
欠損は 奪うだけではない
そこにしか咲かぬ花がある
夜の底でしか開かぬ
透明な花が
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