白衣の静かな裂傷
私は深い苦しみに沈んでいた。物心ついた頃から看護師になることを夢見てきた。心から願ったその道を、ようやく歩み始めたはずだった。患者の痛みに寄り添い、その心に触れる看護師になりたいと、胸の奥で燃えていたはずの志は、だが、今、どこにも見当たらない。私は、果たしてこの白衣にふさわしい人間なのだろうか。
先輩の叱責が響くたび、患者の苦しみを和らげられなかった瞬間に、私は自分の無力を突きつけられる。生きる意味が、指の隙間からこぼれ落ちるように消えていく。いつしか、仕事だけが私の生きがいとなっていた。それでも、現実は冷たく、どれだけ足掻いても、何も変わらない。努力は空を切り、報われることなどないように思えた。
そうして私の心は、知らぬ間にひび割れていた。自分の内側すら統べられぬ私は、看護師として、ただの欠陥品なのだろうか。静かな絶望が、私の胸を満たしていた。