表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

白衣の静かな裂傷

作者: 霜月希侑

私は深い苦しみに沈んでいた。物心ついた頃から看護師になることを夢見てきた。心から願ったその道を、ようやく歩み始めたはずだった。患者の痛みに寄り添い、その心に触れる看護師になりたいと、胸の奥で燃えていたはずの志は、だが、今、どこにも見当たらない。私は、果たしてこの白衣にふさわしい人間なのだろうか。


先輩の叱責が響くたび、患者の苦しみを和らげられなかった瞬間に、私は自分の無力を突きつけられる。生きる意味が、指の隙間からこぼれ落ちるように消えていく。いつしか、仕事だけが私の生きがいとなっていた。それでも、現実は冷たく、どれだけ足掻いても、何も変わらない。努力は空を切り、報われることなどないように思えた。


そうして私の心は、知らぬ間にひび割れていた。自分の内側すら統べられぬ私は、看護師として、ただの欠陥品なのだろうか。静かな絶望が、私の胸を満たしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ