苦老婆さん
昔々あるところに、お婆さんが住んでいました。
朝、起きることにも。食べることにも。働くことにも。老婆は生きることに苦労しておりました。苦老婆さんがいました。
食べ物が欲しい!仕事が欲しい!お金が欲しい!欲しい!欲しい!欲しい!
あれもよこせ!これもよこせ!
お婆さんの心はすさんでいました。
そんなある日、一羽の雀がお婆さんの前に舞い降りました。
チュンチュン
「ふん!餌なんかないよ!あっちいきな!くっちまうよ!」
雀は、おっぱらわれても、お婆さんの近くに毎日毎日飛んできました。
次第に、お婆さんは、そんな雀がかわいくなってきて、話しかけたり、虫をあげたりしました。
お婆さんの歯が抜け落ちて、四本になって四つ歯になった頃。
お婆さんは、河原で倒れて微笑んだまま命つきました。
河原には、白詰草が群生していました。
やがて、四葉のクローバーは、幸せを呼ぶといわれるようになりました。