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斯くてドラゴンは人になる  作者: 冫メ况。
2章~白黒の番
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白黒の番22

「ご馳走様でした。美味しかったです、ゾルさん。」

「おう。この村におる間はここで食って行きな。」

「それはありがたいのですが…本当に大丈夫ですか?私たちの分だけじゃなくて、ドラゴンの子どもに与える食材まで用意してもらって…備蓄を消費してしまうのは心苦しいのですが…。」

「心配することは無いよ、アリウス。備蓄ならたんまりあるからねぇ。」

「…ありがとうございます。何か、私たちもお返しできると良いのですが…。」

「…じゃあ、この件が落ち着いても、たまに顔を見せに来ておくれ。」

「はい!もちろんです!」


俺たちはイルミナスの家で食事をしながら、白竜の村での出来事を話した。

ドラゴンの子が産まれたことを話すと、イルミナスもゾル爺もワーグも大層驚いていたが、シャルの子ということもあり、3人とも祝福してくれた。

…しかしその後ガイウスの話をすると、その雰囲気が変わってしまった。


「それと、おばあ様…。父様のことは、ご容赦してもらえると…。」

「ふふふ。容赦も何も、普通に話がしたいだけだよ。明日ガイウスがこの村に来たら、私の家に連れて来ておくれ。」

「あはは…わかりました。」


アリウスが話しているのを後ろで聞いていたセラフィが、俺に小声で話しかけてきた。


「…村長、目が笑ってないね。」

「…あぁ。ガイウスのことを話題にした時もあんな感じだったな。ミリィが死んでから一度も顔を出してないみたいだし、積もる話もあるんじゃないか。」

「話すだけで済めば良いけど。」

「…さすがに命を奪ったりはしないだろ。本人も、話がしたいだけって言ってるしな。」

「…うん、そうだね。」


とは言え、セラフィの心配も理解できる。

それ程までに、イルミナスは鬼気迫る雰囲気を醸し出していた。


「カリア、セラフィ。そろそろ宿に戻ろうか?」

「そうだな。」

「うん。」


俺とセラフィはアリウスに促され、その場はお開きとなった。


────────────────────────


「…また俺の部屋なのか?」

「ちょっと聞きたいことがあるだけだから。」


宿に戻ってきたが、アリウスが聞きたいことがあると言って、セラフィを連れて俺の部屋に来た。

セラフィとアリウスは俺のベッドに腰かけたため、俺は床に座り込んでアリウスに話しかけた。


「それで?聞きたいことってなんだ?」

「うん…シャルさんが言ってたことなんだけど…。」

「何か言ってた?」

「ほら…シャルさんの命を助けようとした時言ってたこと…。別の器に魂を移す魔法…転生魔法のことよ。」

「「…。」」


そのことについて聞かれるとは思っていなかった俺とセラフィは、黙ってしまった。

黙ってしまった俺の様子を見るアリウスの目に、一瞬恐怖を覚えた。

ロードと初めて対面した時に怖いと言われたが、それと同じ体験をしているのかもしれない。


「…それがどうしたんだ?」

「そんな魔法って、存在するのかしら?」

「それを聞いて、どうするの?」


アリウスは次に、セラフィの様子を見ながら言葉を続けた。


「聞き返すって言うことは、やっぱりあるんだ?」

「…。」


これはもう隠せないな。


「アリウスの言う通り、あるにはある。でも他言無用にして欲しい。」

「あぁうん。大丈夫、誰にも言ったりしないから。」

「…アリウスは転生魔法を使いたいの?」

「ううん。単純に、転生魔法が実在するのかどうか聞きたかっただけ。」


そう言いながらアリウスは立ち上がった。

自分の部屋に戻るようだ。


「…それだけなのか?」

「うん、それだけだよ?…なに~?カリア、もしかしてまだ私と話したいの?寂しいの?」

「…はぁ。今日は普段より歩いたし、色々あって疲れてるだろ。早く自分の部屋に戻って休め。」

「はーい。じゃあおやすみ、二人とも。」

「「おやすみ。」」


アリウスはセラフィを残し、一人で俺の部屋から出て行った。


「…アリウス、ちゃんと自分の部屋に戻ったみたい。」

「そうか。…アリウスは俺たちの正体に気づいたと思うか?」

「ん〜…。まだ気付いて無い様子だけど、時間の問題だと思う。」


セラフィの言う通り、アリウスは俺たちの正体に辿り着くだけの材料を持ち合わせているはずだ。

いつ気付いてもおかしくない。


「…そうだよな。そろそろ、俺たちも覚悟を決めないとな。」

「そうだね。」


セラフィは俺に同調しながら、座っていたベッドに横たわった。


「…休むなら自分の部屋に戻れ。」

「疲れて動けない。」

「そんな見え透いた嘘を──────」

「動けない。」

「…。」

「運んで。」

「…はいはい。」


俺はセラフィにお姫様抱っこを要求され、部屋まで運んで行った。


────────────────────────


「…あー。あー。聞こえるか?賢者ヒスイ。」

『もしもし?聞こえてるよ。』

「昨日話した時も思ったけど、もしもしって言葉は何なんだ?」

『あー…そっか。何て言うか…こういう風に遠距離で会話する時に、ちゃんと相手に自分の声が聞こえてるか確認する言葉?かな。あ、ちょっと皆静かにしててね。』

「…そうなのか。」


俺は朝起きて、日が少し高くなってから賢者ヒスイに連絡を取った。

予定通り、ガイウスたちが出立したかどうかを確認するためだ。


「近くに誰かいるのか?」

『うん。ガイウスとラピスとロード。あと、君が紹介してくれたグレースという御者も居るよ。今そっちに向かってるんだけど…実はね、私もガイウスたちに同行することになったんだ。』

「そうなのか?昨日は行かないって言ってたよな?」

『うん…。そのつもりだったんだけど、今回ガイウスの出立はお忍びなんだ。だから、仰々しい護衛は付けられないし、かといって護衛が手薄なのもいただけない。』

「だから、賢者ヒスイを護衛に付けたということか。」

『行きだけね。帰りはカリアとセラフィに任せるよ。』

「わかった。あとどのくらいでこっちに着くんだ?」

『あー…昼頃になるかな。あと2時間くらいで着くと思うよ。』

「おぉ、思ってたよりかなり早いな。」

『日が昇る前に出たからね。』

「わかった。こっちの人にも伝えておく。」

『よろしく頼むよ。…ちょっと話すかい?』


賢者ヒスイは、ラピスとロードに向かって話しかけたようだ。


『あ…これに話しかければいいんですか?」

「ラピス、聞こえてるぞ。」

『わ!すごい!』

『すげェな。』

「二人とも、遠くに呼び出してすまない。」

『ううん。話は少し聞いたけど…ドラゴンに会えるのよね?」

「あぁ。会えるし話もできるし、触ることもできるぞ。」

『え!すごいすごい!楽しみ!』

「アリウスが二人を誘うように言ってくれたんだ。後でお礼を言わないとな。」

『ありがとう!アリウス!』

『まだ早ェよ。』

「あ、それとロード。」

『なんだ?』

「こっちに来たら、黒竜の翼を治癒してみて欲しいんだ。」

『…黒竜の翼?まァやるだけやッてみるが…治癒できるかわかんねェぞ?』

「できなくてもいいから、やるだけやってみてくれ。」

『…わかッた。」


俺を治癒できたロードなら、きっとドラゴンを治癒することもできるだろう。


「グレース、聞こえてるか?」

『聞こえてるぜ、カリア君。』

「グレースも話は聞いてるのか?」

『あぁ…信じられねぇが、あの黒竜と仲良くなったんだってな?さすがはカリア君だぜ。』

「そんなことは無い。それより、また同じ場所に送ってもらってすまない。」

『それは全然いいんだけどな…本物の国王陛下と賢者様を乗せる日が来るとは夢にも思わなかったぜ…。緊張するなんてもんじゃあねぇ…。』

『私の娘を連れだしたとは思えん程に弱気だな?』

『は…はは…。』

『ガイウス、もうその辺にしておかないか?道中、何かにつけてグレースに小言を言ってるじゃないか。』

『小言で済んでいることに感謝して欲しいくらいです。』

「ガイウス、あまりグレースを責めないでやってくれ。それで言えば、俺とセラフィが連れだしたんだ。責めるなら俺たちを責めてくれ。」

『もちろん、そっちに着いたらそうさせてもらおう。』


余程アリウスのことで心労をかけてしまったみたいだ。

俺たちが怒られるのは良いが、グレースが怒られるのは忍びない。

ガイウスにも申し訳ないが…あと2時間だけでも静かにしてもらおう。


「そう言えばガイウス、言い忘れてたことがあったんだ。」

『なんだ?』

「イルミナスと言う人を覚えてるか?」

『…どうしてカリア君がその人を知っているんだ?』

「今ガイウスたちが向かってる村だけど、元々白竜の村に住んでた人たちで復興させた村なんだ。」

『…え?』

「イルミナスも村長として健在している。もちろんガイウスが来ることも伝えてある。」

『…え?』

「イルミナスはガイウスと話がしたいらしい。こっちに着いたら案内するよ。」

『…え?ちょっと待っ──────』

「それじゃあ、予定通りこっちに向かっていることを伝えておくよ。こっちでまた会おう。」


俺はそれだけ伝えると、ペンダントに流していた魔力を切った。

これで少しは大人しくなるだろう。


「アリウスの様子でも見に行くか。」


俺は自分の部屋を出て、アリウスの部屋へと向かった。

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