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斯くてドラゴンは人になる  作者: 冫メ况。
2章~白黒の番
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白黒の番19

「セラフィ、アリウス。先に黒竜と一緒に名前を考えておいてくれないか?」

「カリア、逃げるの?」

「いや…。賢者ヒスイに連絡して、ガイウスをここに連れて来て貰うんだ。白竜に残された時間は長くないからな。早めに連絡しておきたい。」

「あぁ、なるほど。」

「ねぇカリア。父様と一緒に、ラピスとロードも一緒に連れて来たらどうかしら?」

「…あぁ。確かに、ラピスはドラゴンを見たいって言ってたし、ロードを連れてくれば黒竜の翼を治療できるかもしれないしな。…黒竜。」

「なんだ?」

「お前の両翼を治せるかもしれないんだけど、治したいか?」

「…無論、治せるならそうしたいが…そんなことできるわけなかろう。」

「わかった。あまり期待せずに待っていてくれ。」

「変なことを言う奴よ。」

「あぁそれと、俺たちの友達をあと2人連れて来るつもりだけど、良いか?」

「…お主らの友人なら、まぁ良かろう。」


アリウスのことは認めてるみたいだが、他の人間にはまだ抵抗があるようだ。

そう言えば…黒竜にちゃんと聞いてなかったな。


「わかった。じゃあ2人も連れて来るように言うとして…。 黒竜、もう一つ聞きたいことがある。ガイウスのことは知ってるのか?」

「ちょっ…カリア!私もそれ話す機会伺ってたのに…!」

「じゃあ丁度良い機会だな。俺の代わりに話してくれるか?」


多分アリウスは、俺と同じことを話すつもりだろう。


「…うん。ありがとう。」

「ガイウス…。確か、お主らが白竜に話しておったな。白竜に風穴を空けた人間か?」

「…そうです。その人は私の父でして…。」

「ほぉ、そうであったか。」


ガイウスのことを知っているなら、ここに連れてくることを反対しそうなものだが…そう言った素振りは見せていない。


「その…黒竜さん。私の父が、白竜さんにしてしまったことを…恨んでますか。」

「…白竜があんなに幸せそうでなければ、恨んでおったかもしれんな。」


黒竜が視線を向けた先に居た白竜は、桃竜が卵の殻を食べる音を聞きながら度々話し掛けていた。

微笑ましい光景というのは、こう言う光景なのだろう。


「…恨んでいないのですか?」

「確かに、その者は白竜の仇とも言える人間だ。白竜の死を想像するだけで、ワシは耐え難い悲しみを覚える。恨む理由としては十分だな。」

「…。」

「だが…その者を恨むと言うことは、白竜の死を否定すると言うことだ。白竜の選択を受け入れたワシは、白竜の死を否定する必要が無い。必然、その者を恨む必要が無いわけだ。」

「…恨む必要が無いのはわかったけど、お前が抱いている感情に恨みは無いのか?」

「ぬぅ…。ワシなりに上手く説明できたと思ったが…まだまだらしいな。恨みの感情など無い。ワシの最愛のドラゴンが、あんなにも幸せそうにしておるのだ。これ程嬉しいことは無い。終わり良ければ全て良しと言うやつだ。まぁだが…そうだな。」

「…?」

「ワシはその者を許したわけではない。白竜を傷付けた理由によっては、アリウスの父とて容赦はせん。」

「…後で白竜の記憶を見れば、その理由もわかると思うけど…悪い人じゃないよ、黒竜。」

「…そうか。まぁ、余程度し難い人間でもなければ殺めることは無い。」

「…そう言って頂けると、私も気が休まります。」

「この話は終わりだ。それよりも、名を考える手助けをして欲しいのだが…。」

「あ、はい!もちろんです!」


この様子なら、ガイウスを連れて来ても問題無さそうだ。


「じゃあ、俺は賢者ヒスイと話してくるから、そっちは頼んだ。」

「わかった。」


俺は皆から少し離れた場所へ行き、シスターアルマからもらった十字架のペンダントを取り出した。

これに魔力を流すと、賢者ヒスイに連絡できるそうだが…どのように作動するのかは想像できないな。


「とりあえず魔力を流すか…おぉ。」


ペンダントに魔力を流した途端、ペンダントが宙に浮き、微細に振動し始めた。


「この後はどうすればいいんだ…?魔力の供給は続いてるみたいだけど…。」


このまま魔力の供給を続ける必要があるのかどうか考えていたら、ペンダントから声が聞こえてきた。


『あ、もしもし?この声が聞こえてたら、ペンダントに向かって話しかけてみてくれ。』

「賢者ヒスイか?俺も話しかければいいのか?」

『あ〜そうそう!私は賢者ヒスイだよ〜。その声はカリアだね?』

「あぁそうだ。これ…凄いな。離れている人間と会話できる魔道具なのか。」

『凄いだろう?まぁこれ作るのめんどくさいから量産はできないんだけど…。それは置いといて、もう白竜の村の調査が終わったのかい?』

「あぁ、終わったんだけど…ちょっと急ぎで、頼みたいことがあるんだ。」


俺が要件を伝えようとすると、賢者ヒスイ以外の声が聞こえてきた。


『ん?その声はカリア君じゃないか!?娘は!アリウスは無事なのか!?』

『…ガイウス。心配しすぎだ。ごめんねカリア、今ちょうどガイウスの執務室に居てね。ガイウスにも会話が聞こえるんだ。』

「…そうなのか。ちなみにアリウスは無事だ。怪我ひとつないから安心して欲しい。」

『そ…そうか。良かった…。』

「今、黒竜とセラフィと一緒に楽しそうに話してるぞ。」

『…ん?黒竜と聞こえたのは気のせいか?』

「いや、気のせいじゃないぞ。知っての通り、黒い鱗のドラゴンのことだ。色々あって仲良くなった。」

『…カリア君!ちゃんと説明してくれ!本当にアリウスは大丈夫なのか!?黒竜に喰われたりしないだろうな!?』

『…カリア、とりあえず調査報告として説明してくれるかい?』

「わかった。」


俺は白竜の村に来てからの話を、かいつまんで説明した。


───────────────────────────


『…なるほど。しかし、白竜が本当に生きているとはな…。』


俺の説明を聞き、ガイウスは落ち着きを取り戻したようだ。


「あぁ、俺もセラフィも驚いた。でもさっき言った通り、あまり長くは生きられないんだ。ガイウス、白竜が話したがってるから、早くこっちに向かった方がいい。」

『…そうか。どうやら、迷っている暇は無いようだ。』

『…行くのかい?』

『行くしかないでしょう。ここで行かねば…私は一生後悔を抱えたまま生きることになると思います。』

『…そうか。じゃあ行ってくると良い。君の無事を祈ってるよ。』

『縁起でもないことを…。ん?師匠は行かないのですか?』

『私が行っても、何もすることはないからね。』

『そう…ですか。』

「あ、そうだ。ロードとラピスも一緒に連れて来てくれないか?黒竜には許可を取ってあるから大丈夫だ。」

『あぁ、わかった。ちなみに白竜の村へはどうやって行ったんだい?』

「途中まで馬車を使って行ったな。ナイト王国の関所近くに『旅馬』って言う店があるんだけど、その店の店長のグレースに聞いてみてくれ。俺たちを降ろした村まで来てくれれば、そこからは俺たちが案内する。」

『わかった。すぐに手配しよう。』

「出立はいつになりそうだ?」

『そうだな…早くても明朝になると思う。出立する時は、また師匠からカリア君に連絡してもらえますか?』

『あ〜…これ、私からカリアやセラフィに連絡することはできないんだよね。』

「…一方通行なのか。じゃあ明日、俺から連絡しようと思う。」

『ごめんね〜。』

「いや、大丈夫だ。それじゃあ、ロードとラピスも頼んだ。」

『は〜い。』

「…これ、どうやって切るんだ?」

『魔力の供給を切ったら、通話が終わるよ。』

「…それもそうか。」


賢者ヒスイに言われて魔力の供給を断つと、ペンダントは浮力を失い、その場に落ちた。


「とりあえず、ガイウスは間に合いそうだな。」


そう言えば…ここに来る前の村に、元白竜の村の住人が居ることを伝えてなかったな。


「まぁいいか。」


俺は大して気にすることも無く、セラフィたちの会話に混ざりに行った。

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