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斯くてドラゴンは人になる  作者: 冫メ况。
2章~白黒の番
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白黒の番17

「白竜さんに嫌われる?」

「どうして私があなたを嫌うのよ。」

「それは…ワシが世界最強で無くなるからだ。」

「…?」


俺たち一同は首を傾げた。


「白竜。お主はワシにとって大切な存在だ。」

「…何よ、改まって。」

「ただでさえお主という存在があるのに、子まで産まれてしまっては…何と言うか…ワシはどうすれば良いのかわからんのだ。」

「…白竜も子どもも、大切にすれば良いんじゃないか?」

「無論そうするが…そういうことではない。ワシは…白竜や子のことを引き合いに出されたら…正常な判断ができる気がせんのだ。」

「あら、そんなに大事に想ってくれてるのね。嬉しいわ。」

「あはは…確かに大事にされてますね。大事にされすぎてるような気もしますけど…。」

「やはり、アリウスもそう思うか?」

「…悪いことではないと思いますよ?」

「だが、ワシにとっては良くないことだ。白竜や子を大事に想うあまり、それがワシの弱点になってしまっておる。」

「…まさか、その弱点が理由で世界最強を名乗れなくなると言っていたのか?」

「カリア、お主にはわかるまい。この弱点は、ワシにとって非常に大きな弱点なのだ。白竜に口止めした理由も今しがた理解した。ワシの弱点を吹聴して欲しくなかったからだ。」

「…なるほど。」


俺たちドラゴンに知られたからと言って、白竜を引き合いに出して何かするようなことはしないが…。

それ程知られたくない弱点だということか。


「でも、黒竜さん。世界最強じゃなくなったとしても、白竜さんに嫌われることは無いと思いますよ?」

「…ワシにはそれくらいしか取り柄がない。ワシからそれを取ったら何も残らん。白竜も愛想を尽かすだろう。」

「…そんなことないですよね?白竜さん?」

「もちろん、そんなことないわ。私、あなたにそんな風に思われてたなんて心外だわ。」

「…お主は、ワシのどこに惹かれたのだ。」

「あら、それを私に言わせるの?」

「…ダメか?」

「恥ずかしいから言わないわ。」

「…。」

「…後で私の記憶を残してあげるから、アリウスたちの用事が終わったら、使って見てみなさい。」

「くっ…。」


さっき、セラフィに預けると言っていたアレのことか。


「そもそも、黒竜。あなたもう世界最強じゃないと思うわよ?」

「…お主も、そう思うか。」

「えぇ。カリアと闘ったあなたなら、わかってるものだと思ってたけど。」

「…そうだな。カリア、世界最強の座をお主に譲ろう。」

「いや…要らない。」

「何故だ?」

「…そういうのは、ドラゴンの内輪でやってくれ。俺は…人間なんだ。」

「…そうか。」

「そんなことより黒竜。憂いはもうなくなったんじゃないか?」

「…。」

「白竜はお前が世界最強でなくとも、見限ったりしない。確かに子どもが産まれたらお前の弱点になるかもしれないけど、滅多に産まれるものじゃない。…もう、認めても良いんじゃないか?」

「…そうだな。白竜。」


黒竜は白竜に向き直り、言葉を続けた。


「ワシと、番になってはくれんか?」

「…ふふふ。えぇ…もちろん。黒竜、あなたと番になるわ。」


アリウスが隣で歓声をあげ、セラフィは祝いの言葉をつぶやき拍手した。

俺もセラフィに倣うとしよう。


「おめでとう。」

「…ありがとう。あなたたちが来てくれて、本当に良かったわ。」

「…ワシからも礼を言う。アリウス、お主には特に世話になった。」

「え!いえいえ!私は何も…相談に乗っただけですよ。」

「そのおかげで、ワシは自らの意を認めることができた。何より…こうして何の憂いもなく、白竜と番になることができた。ありがとう。」

「あぁ…えへへ。」


アリウスが照れくさそうにしていると突然、白竜と黒竜の間の空間が発光した。


「え?なに?これ…。」

「え…まさか。」

「…そのまさかみたいだな。」


空間の発光が徐々に収まり、そこを改めて見てみた。

するとそこには、白と黒で模様が描かれた卵があった。


「…!黒竜!これ、あなたに見えてるかしら…?何に見えるか教えてちょうだい!」

「た…卵だ。恐らく…ワシとお主の子が産まれた。」

「やっぱり!あぁ…あなたと番になれただけでも幸せなのに…子まで授かれるなんて。」

「…なんだか、凄い状況に立ち会っちゃった?」

「うん、そうだね。私も初めて見た。」

「俺も初めて見たな。」

「私、凄い経験してるはずなのに…凄過ぎて逆に落ち着いてるわ…。」


確かに、滅多に産まれないドラゴンの卵が誕生する瞬間に立ち会うという経験は、一生自慢できる経験かもしれない。


「は…白竜。ワシはどうすれば良い?」

「落ち着きなさい黒竜…。まずは結界を張って卵を守りましょう。」

「白竜も落ち着いて。白竜は負担になるようなことをしない方がいい。私が結界を張るから。」

「あ、ありがとう、セラフィ。」


白竜に負担をかけさせないのは良いが、結界は必要無くなそうだ。


「セラフィ。ちょっと待ってくれ。」

「どうしたの?」

「もうすぐ卵が孵る。」

「え?」


俺がそう言うと、この場にいる全員の視線が卵に向いた。

その瞬間、卵の表面にひびが入った。


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