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斯くてドラゴンは人になる  作者: 冫メ况。
2章~白黒の番
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白黒の番13

「それで黒竜。尻尾を抱えて寝る癖は治ったのか?」

「…今その話はどうでもよかろう。それよりもお主の話だ。何故人間なんぞになったのだ?」

「…簡単に言うなら、ドラゴンとして生きることが意味の無いことのように思えたんだ。ある人から、人間に転生する魔法を教えてもらって人間に生まれ変わったんだ。かれこれ16年生きてるけど、かなり満足している。お前は理解できないかもしれないけど、人の生は良いものだぞ。」

「…ワシには理解できん。」

「理解できないのは良いけど、あまり人間を邪険にしないでやってくれ。」

「それは難しい話だ。人間の度し難さにはもう我慢ならん。」

「…お前は人間の悪い部分しか見えていないんだ。人間との仲を深めれば、見え方も変わってくるはずだ。」

「…人間と仲を深めた白竜は、人間に殺されかけたがな。」


白竜が人間にやられたことを知っていたのか。

ということは、やはり俺の予想は合っているかもしれない。


「黒竜…あの時、人間を滅ぼそうとしていたのはそれが理由か?」

「…白竜の仇を討とうとしたまでだ。」

「仇って…まだ死んでないだろう。」


黒竜がここまで言うのであれば、やはり白竜と黒竜はただならぬ関係にあると見て間違いない。


「実はな、ここに来る前にこの村の住人と話をしたんだ。そこで聞いたんだけど、黒竜と白竜は番なのか?」

「な…何を言うかと思えば。ワシらは番などでは…ない。」

「番でなくとも、それに近い仲ではあるだろう?」

「…さぁ。」

「今更はぐらかす必要ないだろう…。以前からこの村に…正確には白竜の元に、足しげく通っていたらしいじゃないか。お前たちがそんなに仲が良いとは、俺も青竜も知らなかったぞ。」

「…語る程のことでも無かろう。」


黒竜は多くを語るドラゴンでは無い。

だが、白竜なら黒竜のことを話題に挙げそうなものだけどな。


「…まぁ良いか。それで白竜は今、眠っていると言っていたな?具体的にどんな状態なんだ?」

「そうだな…。見た方がわかりやすいだろう。さっきの草原に来い。」


黒竜は風魔法を使って空を飛び、草原の方へ向かって行った。

とりあえず、黒竜とまともに話せる状況になったのは幸先が良い。だが、まだ話せていないこともある。青竜であるセラフィならまだしも、普通の人間であるアリウスを連れてくることを、黒竜は許さないだろう。

セラフィの魔力を探ってみたが、まだ結界の中には入っていないみたいだ。

セラフィたちが中に入ってくるまでに、その辺の話を着けないといけない。


俺は黒竜の咆哮魔法で広げられた獣道を走って行き、草原に出た。

確かに広い草原だったが、黒竜と白竜をすぐに見つけることができた。

俺が黒竜と白竜の元へ駆け寄ると、白竜の状態を確認するよう促された。


「…傷がないように見える。致命傷を負ったと聞いたんだけどな。」

「あの日、ここで眠りに就く前は確かに致命傷を負っていた。…白竜が腹に風穴を開けて帰ってきたのは、この目で見ておる。だが、ここで眠りに就いた時には傷が無くなっておった。」

「何か魔法を使ったということか。何の魔法かわかるか?」

「わからん。ワシも赤竜と同様、魔法の解析はてんで不得手でな。青竜ならわかると思うが…そう言えば姿が見えんな?来ておるのだろう?」

「…言い忘れてたけど、俺は今カリアと言う名前で生きているんだ。今後、俺のことはそう呼んで欲しい。青竜のことはセラフィと呼んでやってくれ。」

「ぬぅ…。面倒だな。呼び名に拘らずとも、お主とわかれば良いではないか。」

「いや…色々事情があってだな。確かに青竜も…セラフィもここに来てるけど、まだ結界の外に居るんだ。」

「結界の外?あぁ、白竜の結界か。あの結界はドラゴンには作用せんと聞いておるぞ。お主、どうやってここに入って来た?」

「普通に入って来たぞ。俺は結界に、ドラゴンと判定されたらしい。」

「であれば、青竜も入れるはずだ。なぜ結界の外に居るのだ?」

「あぁ、確かに入れる。でも、入れない人間を一人連れて来てるんだ。」

「…普通の人間を、か?」

「そうだ。その人間は俺たちの友達なんだ。友達をこの村に入れるために、セラフィが結界を改ざんしている最中だ。」

「…その人間が、お前の言う事情か?」

「あぁ…その友達は、俺たちの正体がドラゴンだということを知らないんだ。」

「そう言うことであれば気にすることはない。その人間をここに入れなければ良い。青竜だけ連れて来い。」

「そういうわけには行かない。その友達もここに連れて来たいんだ。…お前が人間を毛嫌いしているのはわかるけど、その友達は…アリウスは悪いやつじゃない。俺とセラフィが保証する。だから…この場に来ることを許してくれないか?」

「ならん。ここに連れてくるなら、命は無いものと思え。」

「…俺とやりあうことになるぞ。」

「臨むところだ。さっきの続きと行こうか?」

「なんでそんなに好戦的なんだ…。俺はできれば話し合いで解決したいんだけどな。」

「なぜその人間にそこまで入れ込むのだ。…まさか、絆されたのか?」

「絆された?」

「お主…青竜というものがありながら、他の者に目移りなどするものではないぞ。」

「なんでセラフィの話になるんだ…。別に特別な好意を寄せているわけじゃないぞ。友達なら普通のことだ。」

「…ほぉん。」

「いや…なんだその目は。…お前って、そういう色恋の話もできるんだな。」

「…ふん。白竜の話好きが移ったか。」

「あぁ…確かに、白竜はその手の話題が好きだったな。」

「あら、わかってるじゃない。私も話に混ぜてもらえる?」

「「!」」


俺と黒竜が話している横から、声が割り込んできた。

声の主は確認するまでもない。


「白竜!お主起きたのか!怪我はどうした!もう大丈夫なのか!」

「ちょっと…黒竜?一度に聞きすぎよ。落ち着きなさい。」

「あ…あぁ。すまん。」


…黒竜って、白竜相手だとこうなるのか。

完全に手玉に取られてるな。


「聞きたいことが色々あるのはわかるけど、私も聞きたいことがあるのよ。…そこにいるのは赤竜なのよね?あ、今はカリアって言う名前で生きてるのかしら?随分小さくなったわね?」

「え?いや、小さくなったというか人間になったというか…。白竜、もしかしてお前目が視えてないのか?」

「えぇ、そうなのよ。魔力と気配で何となく赤竜だってことはわかるのだけど…そう、人間になったのね。」

「あぁ…と言うか、俺たちの話が聞こえていたのか?」

「えぇ、ずっと聞いてたわ。青竜…セラフィも結界の外に居るのよね?もしかして、二人して人間になったのかしら?」

「…そうだ。」

「やっぱり!いいわねぇ…二人はもう結婚しちゃってるのかしら?」

「いやしてないけど…。俺よりも、黒竜と話したらどうだ?」

「え~?…まぁいいわ。後でセラフィに聞くから。」


相変わらずこの手の話題が好きだな…。


「…白竜。」

「黒竜、ごめんなさいね。あなたとも話がしたかったのよ?」

「…ワシもだ。なぜ今まで起きなかったのだ。」

「だってあなた、私の話をまともに聞いてくれそうに無かったもの。」

「どういうことだ?」

「…私が眠ってから、ず~っと殺気立ってたでしょう?私をこんな風にした人間を許さんぞ!って叫んでたし。」

「なっ!聞いておったのか…!」

「えぇ。あのまま死んでも良かったけど、黒竜がそんな状態だったから、心残りができちゃったの。私がこのまま死んじゃったら、黒竜が立ち直れなくなるんじゃないかって。だから私はこの大地と契約して、生命活動を維持してもらっていたの。」


大地と契約するなど、聞いたことがない。

さすがは白竜と言ったところか。

しかし、生命活動の維持とは…代償が想像できないな。


「…黒竜が落ち着くまで、待っていたということか?」

「その通りよ。でも、黒竜ったら全然落ち着いてくれなくてね?カリア、あなたが来てくれたおかげで、かなり落ち着いたみたい。ありがとう。」

「どういたしまして。」

「…その契約はいつまで続くのだ。」

「…私が代償として支払えるものが無くなるまで、かしらね。」

「具体的な時間は…どのくらいなのだ。お主が生き長らえることができる時間は。」

「代償として支払ったものの価値にもよるし、私の活動量が増えれば、それだけ生き長らえる時間も減っちゃう契約なの。だから、具体的な時間はわからないわ。でも、今日明日の話じゃないから、安心なさい。」

「…そうか。良かった。」


白竜が最低限の生命活動をしていたのは、より長く生きるためだったということか。

俺一人では黒竜を説得することは難しいと思っていたが、白竜が起きてくれて、かなり心強い味方ができた。

これならアリウスも、この村に入ることができそうだ。




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