表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
斯くてドラゴンは人になる  作者: 冫メ况。
2章~白黒の番
31/77

白黒の番2

次の日の朝。俺は庭に来ていた。

魔法の練習をしに来たわけではなく、ロードと話がしたかったのだ。


「…よォカリア。早ェな。」

「おはようロード。お前も相変わらず早いな。」

「セラフィとここで待ち合わせか?今日から国の依頼で出るんだろ?」

「いや、ロードと話したいことがあって来たんだ。」

「何だよ改まッて、気持ち悪ィ。」

「昨日、国王ガイウスと話をして思い出したんだ。ユーベルトとオリファーのことは覚えてるか?」

「あァ…?身体が成長してなかッた、みたいな話をしてたやつだよな?」

「そう、まさにその話だ。結局理由はわからないままなんだけど、ロードはどうしてだと思う?」

「んなことわかるわけねェだろ。」

「正解が欲しいわけじゃない。ロードがどう考えるのか気になったんだ。」

「…そういう魔法を使ッたとしか考えられねェな。」

「まぁ、そうだよな。」

「お前はどう考えてんだ。」

「…ユーベルトとオリファーは、そういう人種だったんじゃないかな。」

「人種?」

「あぁ。普通の人間よりも長寿で、身体の成長がかなり遅い人種だ。」

「本の読み過ぎだな。」

「はは。確かに、そういう空想の存在が登場する物語もあるな。」

「お前そういうの好きだろ。」

「そうかもな。…ロード。もしもの話だけど、俺がそういう存在だったらどうする?」

「あァ?どうするも何も、納得する他ねェな。」

「え?納得?」

「いつも言ッてんだろ、お前と…あとセラフィもだが、俺たちと同い歳とは思えねェんだよ。お前はいッつもはぐらかしてるけどよ、実は中身が100歳だッて言われた方が納得すんだよ。」

「…俺ってそんなにおじいさんなのか。」

「外見だけ見れば、確かに俺と同じくらいだがな。」

「…ロードは、納得した後はどうするんだ?」

「はァ?どういうことだ。」

「例えば俺が本当に人外だったとしたら、ロードは今まで通り俺と話すことができるか?」

「…逆に俺がそうだッたら、お前はどうすんだ?」


いつか俺がドラゴンだということを打ち明けた時、拒絶されないかどうかを確認したかったが、逆に聞き返されてしまった。


「…変わらないかな。ロードはロードだ。例えそうだったとしても、ロードが料理屋を開いたら俺は絶対に食べに行くし、ラピスと結婚したら祝いに行く。」

「…じャあ、俺もそうすんだろうな。お前がセラフィと結婚したら、渾身の料理作ッて祝ッてやんよ。」


ロードがそう言ってくれて安心材料は一つ増えたが、正体を明かす勇気はまだ湧いて来ない。

ユーベルトとオリファーも俺の予想が当たっていれば、ガイウスに嫌われたくなくて正体を隠したのかもしれないな。


「セラフィとはそういう関係じゃないぞ。」

「はッ。」


ロードが俺の言葉を笑い飛ばすと、後ろから声をかけられた。


「おーい!二人ともおはよう!」

「おはよう。ラピス…何をしてるんだ?」


ラピスが布を広げて掲げ、ラピスの背後の景色を遮りながら、俺たちの方に歩いてきた。


「後ろにセラフィが居るのはわかるぞ。」

「あぁそっか、セラフィの魔力だけは感知できるのよね、カリアって。」

「あぁ。それで何やってるんだ?」

「んふふ。セラフィの新しい召し物のお披露目よ!」


そう言って、ラピスは広げていた布を降ろしてその場から少し横に移動し、後ろに隠していたセラフィを披露した。


「おぉ…。」


セラフィは修道服のようなものを着ていた。

ただ、シスターアルマたちが着ている服とは少し違うようだ。


「カリア、感想それだけ?」

「…あぁいや、なんだか新鮮だと思って。シスターアルマたちが着ているのとはちょっと違うな?ロングスカートにスリットが入ってて、可愛さとカッコ良さがいい具合に合わさってる。良く似合ってるよ、セラフィ。」

「…ありがと。」

「その服装で旅に出るのか?」

「うん。ずっと前から着てみたいと思ってたから。」

「創造神の信徒になりたいわけじゃないんだな。」

「それは興味無い。服装が好きなだけ。シスターアルマにお願いしたら、動きやすいように仕立て直してくれたの。」

「確かに動きやすそうだ。出立の準備はもうできてるか?」

「うん。でも出る前に、館でお世話になった人に挨拶したい。」

「じゃあ一緒に挨拶しに行こうか。」

「うん。」

「二人とも、行ってらっしゃい。」

「早く帰ッて来いよ。」

「寂しいのか?ロード。」

「なッ…早く店を開きてェだけだ!」

「はいはい。できるだけ早く終わらせるようにするよ。それじゃあ行ってくる。」


俺とセラフィは二人と別れた後、館で世話になった人たちに挨拶をして回った。


「二人とも、もう行ってしまうのですね。」

「うん。とは言っても、依頼が終わったらちょっとだけ戻ってくるけど。シスターアルマ、今まで面倒を見てくれてありがとう。」

「シスターアルマ、今までありがとう。この服も、凄く気に入った。」

「それは良かったです。サイズが合わなくなったらまた仕立て直すので、たまには館に寄って下さいね。」

「うん、わかった。」

「そうそう。御館様からこれを預かっております。どうぞ。」


そう言ってシスターアルマから、路銀と十字架のペンダントを渡された。


「助かるよ。ペンダントはシスターアルマが持っているのと少し似てるな。」

「えぇ。それに魔力を流すと、御館様に連絡できるようになってます。私が持っているものとは少し違いますが、特に問題は無いと思います。」

「なるほど。」

「村の調査が終わったら、連絡が欲しいとのことです。」

「わかった。…じゃあ、行ってきます。」

「行ってきます。」

「はい。気を付けて行ってらっしゃい。」


俺たちは館の外までシスターアルマに見送られた。

これからは本当に俺たちだけで行動することになる。ただ外に出るだけなのに、どうしてこんなにも楽しいと思えるのだろうか。


「カリア、ちょっと笑ってる?」

「え?あぁ顔に出てたか。俺たちだけで外に出るのは初めてだろ?楽しみで仕方ないんだ。」

「子どもみたい。」

「セラフィだって、ちょっとは楽しみにしてるんじゃないか?」

「…まぁね。」


旅のために服を新調する程だ。楽しみでないわけが無い。


「それじゃあ先ずは、御者を探そう。この国の関所辺りに御者が駐在してるから、そこに行こうか。」

「うん。」


そうして、俺とセラフィは外壁近くの関所へと向かった。


「確かこの辺に…あった。」

「来たことあるの?」

「あぁ。前にシスターアルマと買い出しに行った時に見せてもらったんだ。横に馬小屋もあるし、間違いない。」


俺たちは『旅馬』と書かれた建物に入った。

中は円形の机と椅子があり、食べ飲みしている人がちらほらと居た。飲食店も兼業しているようだ。

俺たちはカウンターの店員と思われる男のところへ行き、話しかけた。


「すまない。馬車と御者を探してるんだけど、ここで受け付けできるのか?」

「あぁ、ここが受付だ。あんたここは初めてか?」

「初めてだ。」

「じゃあとりあえず、行き先と人数を教えてくれ。」


受付の男は地図を出してきた。


「…多分ここか?行き先は白竜の村なんだ。」

「あぁ〜。白竜の村か…。確かいつもの道は使えねぇんだよなぁ。…ちょっと道の確認してくるから、待っててくれ。あと、人数は?」

「俺とこいつの2人だ。」

「わかった。ちょっと待ってろ。」


そう言って、受付の男は奥に消えていった。


「シスターアルマの杞憂が当たったのかもな。」

「うん。ちょっと遅くなっちゃいそう。」

「こればかりは仕方ないな。」

「…。」

「セラフィ?」


話をしていると、セラフィの顔が急に曇った。

体調が悪くなったのかと思った瞬間、『旅馬』に誰かが入ってきた。

そちらに視線を移すと、セラフィの顔が曇った原因をすぐに理解した。


「おやおや、こんなところでお会いできるとは。偶然ですね、セラフィさん。」


そこには、護衛を侍らせたアスベストが居た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ